【別便・今月の注目作】2026年4月――京都、差別、そして今月なお残る一冊
はじめに 今月気になっている二冊
今月の注目作として、中心に置きたいのは、磯前順一『京都 祈りと差別の千二百年』です。京都という都市を、たんなる古都や文化の集積としてではなく、祈りと差別の歴史が折り重なった場として捉えようとするこの本に、いま強く惹かれています。
あわせて、今月はフローベール『ボヴァリー夫人』もなお印象に残っています。こちらはすでに本便で記事にしましたが、読んだあとに残った感触が、今月の読書全体のなかでもまだ静かに続いています。
今月取り上げる作品は、以下の二冊です。
・磯前順一『京都 祈りと差別の千二百年』(亜紀書房)
・フローベール『ボヴァリー夫人』(光文社古典新訳文庫)
今月の注目作という欄は、毎回ひとつの論をきっちり閉じるためのものというより、その月に気になっている本や作品を置き、その先にどんな問いがあるのかを見渡す場でもあると思っています。今月はまず、磯前氏の本を軸に、差別と共同体の問題を考えてみたいと思います。
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