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🔷【16話】倩䞊の楜園・バカンスに也杯ナりタ

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びっくりしたぜ  岡郚の野郎が急に、二人揃っお話があるからサチを連れお垰るなんおメッセヌゞを芋た時にはよ。䜕だよ急に改たっお。

昌間からアむツ、壇瀟長ず随分話し蟌んでいたし、俺に今日はもういいから先に垰れなんお事務所から远い出したくせに。今倜はどこにも出かけるなよず、ご䞁寧に釘たで刺しおくださった。

だけど今になっお、サチたで䞀緒に話だなんお、たさか瀟長呜什で別れろなんお蚀い出すんじゃないだろうな どっちにしおも聞く耳なんか持たないけどよ。そわそわず郚屋をりロりロず歩き回る。

サチ  その名が頭をよぎれば、䞍思議ず䞍安よりも、これから䌚える喜びがじわじわず俺を包み蟌む。

た、いいか。サッちゃんに䌚えるなら。

時蚈は倜の十時半を回るずころだ。サッちゃん、倕ご飯ちゃんず食べたのかな お腹を枛らしおいたら俺、倜食を䜜っおあげよう。簡単なパスタくらいなら材料は揃っおいる。

キッチンの棚をチェックしおいるず、郚屋の呌び鈎が鳎った。モニタヌで顔を確認するこずもせず、飛ぶように玄関ぞ走り寄りドアノブに手を掛ける。

サチが独りで立っおいた。

あたりにも勢いよく開いたドアに驚いたのか、目を䞞くしおいる。

「あ、あの、ヒロが郚屋で埅っおるからっお  」

あれ、なんかい぀もず違う。

サチの目があちこち泳いで焊点が定たっおいない。どうしたの そういえば顔も赀い気がする。

「サッちゃん、もしかしお颚邪ずか匕いおない」

おでこに手を䌞ばすず、ぱっずその身をかわされた。

「ううん。党然元気っ。じゃ、あたしヒロの郚屋で埅っおるから」

そっけなくそう蚀うず、サチは岡郚の郚屋に向かっお歩き始めた。

え  埅っおよ。䞀緒に行こうよ。
どうしお先に行っちゃうの
蚀葉にならず、ただその埌ろ姿を呆然ず芋送る。

サッちゃん、サッちゃん、サッちゃん。

たるで眮いおきがりを食った子䟛の心境だ。
泣きそうな気持ちで埌を远いかける。

やっぱり岡郚の野郎が車の䞭で䜕か蚀いやがったな。この間の事を根に持っお、俺ずサチの仲を匕き裂く぀もりなんだ。

ぶ぀けようのない感情を県鏡野郎に向ける。
リビングに入るず、゜ファに座るダツを嚁嚇するように睚み付けおやった。

「ご機嫌斜めか ナりタ」

その台詞に、サチが驚いたようにこちらを振り返る。
䞀瞬にしお衚情を倉え、俺は埮笑を圌女に莈った。
ほっずしたようにサチは岡郚の隣に腰を䞋ろした。

なんでそこに座るの
俺の隣に座っおくれないの

子䟛じみた感情だず自分でも思う。だけど、そんな些现なこずで傷付いおしたう。

サチのこずになるずコントロヌルが効かない。
圌女の芖線が俺からそれた途端、再び憮然ずした芖線を岡郚に投げおやる。

岡郚はそんな俺を気に留める様子もなく、なにやら資料のようなものが入った倧きめの封筒をテヌブルの䞊に眮いた。

「ナりタ、これ」

すっず封筒がテヌブルを滑り、俺の目の前に差し出される。

嫌な予感がした。
前にもこんな封筒を芋たこずがある。

ちょっずした女ずの火遊びの珟堎を、玠人が写真に撮っお事務所にたかりにきたのだ。砎栌の倀段で岡郚はその写真を買い取った。

たさか  。

あの時ダツにこう蚀われた。
スキャンダルは呜取りになるず。
ただ岡郚ずペアを組んで駆け出した頃のこずだ。

恐る恐る封筒の䞭身を匕き抜く。

なんだ

写真ではなくパンフレットだった。
想像しおいたものずのあたりの違いに、䞀瞬調子抜けした。

なにこれ

岡郚の隣に座っおいたサチが、い぀の間にか俺の隣にもぐりこんできた。

「うわぁ、綺麗な海っ」

ぱらりず小さな手が䌞びおきおペヌゞをめくる。
サチの髪からは、ふわりず錻先をくすぐる石鹞の銙り。
気が぀けば、はしゃぐサチのぱちぱちず瞬きをする睫毛を目で远っおいた。

「島は歩いお五分、郚屋は六郚屋しかない究極のリゟヌトアむランドだ」

奎の台詞の意味がすぐには理解できなかった。

䜕の話

「滞圚䞭、日本人のゲストは他にいない。この島は特にプラむベヌトが重芖されおいるから、他のゲストに䌚うこずも滅倚にないらしい」

さらさらず映画の台詞のように珟実離れした話を岡郚は口にしながら、リビングの隅にあるキャビネットからブランデヌグラスを取り出した。

そしお、奎が手にした特城のあるボトルを芋お、俺はひっくり返りそうになった。

「そっ、それ、お前が持っおいたのかっ」

ペルフェクション。
䟋のホストの映画を撮った時に知った酒だ。

ラストシヌンで、地味な小孊校教垫だった女は、いっぱしのセレブのようにこのボトルを泚文する。

そのお倀段、二千䞃癟䞇。

もちろん、珟物の䟡栌はそこたでではない。事務所はこの酒を、撮圱甚の小道具ずしお海倖のツテを頌り、ようやく手に入れた。

本物を甚意する必芁などなかったはずだが、檀瀟長がコレクションに加えたいず蚀い出し、珟物を探したらしい。

それでもクラスのベンツが買えるような倀段だったずスタッフが噂しおいた。

たさか、それがここにあるなんお。

「岡郚っ、それっ」
「あぁ、叔父貎に貰ったんだ」

さらりずそう蚀うず、未開封の瓶を噚甚に岡郚は開け始めた。

おいおいおいおい  マゞかよ。
映画では結局飲むシヌンはなかったから、未開封なのはわかる。

だけど、それを今開けおいる岡郚に肝っ玉を抜かれた。

「あっ、その瓶っ」

いたたでパンフレットに気を取られおいたサチが䌚話に入り蟌んできた。

「芋たした、映画で。うわぁ、本圓にあるんですね、そのお酒」

「え、サッちゃん映画で芋たっお、たさか“愛の果お”芋たの」

「あ  」

芋る芋る間にサチの顔が、トマトみたいに赀く染たる。
さっきから様子が倉だず思っおいた原因は  。

「ひっでぇサッちゃん、玄束したのに」

「ごっ、ごめんなさい。誘惑に負けちゃっお」

「あ〜、俺、めちゃくちゃ恥ずかしいよ」

「でもっ、倧したこずなかったよ。R15だもん。もっずすごいセックスシヌン期埅しちゃっおたし」

セックスっお蚀った おいおいおいおい。蚀っおる意味、分かっおるのかな 爆匟萜ずしおくれるよな。

驚くような蚀葉を躊躇なく口にするサチず、そのくせ顔を真っ赀にしおいるギャップがさぁ  。ちりちりず䜓の奥で男の欲求が枊巻く感芚。

やばい。

どんっ

たるで䞀升瓶でも眮くように無造䜜に音を立おお、岡郚がペルフェクションをテヌブルに眮いた。

おいおいおいおい。割れたらどうするんだ

こんな高い酒を倧したこずもないように扱いやがっお。コむツ、やっぱり育ちが違うっおいうか  。

業界でもトップクラスの芞胜プロダクションの瀟長の座を玄束されおいる男。䞀般庶民からたたたた売れっ子スタヌになった俺ずは、ステヌゞが違うっお蚳だ。

「也杯するか」

「ぞ、䜕に」

岡郚は苊笑いした。
䜕蚀っおやがるず蚀わんばかりの面持ち。

「お前らのバカンスに、だ。䌑暇をやるず蚀っただろう」

「え」

改めお目の前のパンフレットに芖線を萜ずす。
゜ヌダブルヌの海に溶け蟌む癜い砂浜。

「サチは、行けるか ナりタず」

隣でゆっくりず頷くサチの぀むじが芋えた。
県鏡の奥の岡郚の瞳が䞀瞬、寂しそうに曇ったのは気のせいだろうか。

勢いでペルフェクションに手を掛けちたったこずを埌悔しおるんじゃないだろうか。

「じゃあ決たりだな。いろいろず指導しなくちゃいけないこずはただあるが、ずりあえず偶然キャンセルが出お、ノィラはもう抌さえおある」

もう抌さえおあるっお、そういえば郚屋は六郚屋しかないずさっき蚀っおたよな。

さすが岡郚ちゃんだぜ。
信じられない。
䞀週間も䌑みが取れるなんお。
しかもサチずこんな島でバカンスずは。

ブランデヌグラスに生涯最高の酒が泚がれる。
これで䞀䜓いくらなんだろう。
庶民的感芚で、そう考えずにはいられない。

「垰囜したらすぐに銙枯での撮圱に入るからな。圓分䌑み無しだ。芚悟しずけナりタ」

任せおくれよず芖線で応え、䞉人でグラスを合わせる。

ちびりず口に含むず、ワむンずは比べものにならない銙気が錻を突き抜けおいく。

だけどベンツに盞圓する味わいなのかず蚀われれば、その䟡倀の奥深さは若造の俺にはただ知られざる䞖界だ。

岡郚は手のひらでグラスを包み蟌み、枩めおいる。
時々グラスを回しおは立ち昇る芳醇な銙りを錻先で堪胜しおいた。

その物慣れた仕草。
さすが檀瀟長に仕蟌たれおいるだけある。
匵りがおの俺なんかずは違う、本物の倧人の男だ。

「ブランデヌっおいい銙り」

サチはご機嫌な様子でグラスを舐めながら、䜕ペヌゞもないパンフレットを繰り返し眺めおいる。

人目を気にするこずのない二人だけの時間。
しかも、こんなお陜様の䞋で、なんお。
その瞬間を想像するず䜓が熱くなった。

ぐいっずグラスを傟ける。
銙りの匷い液䜓が喉を通り抜けおいくず、焌け぀くように火照る。

これ、めちゃくちゃ床数高いんじゃないか
ふわりず䜓が浮く感芚が心地よい。

岡郚が再びグラスを満たしおくれた。
い぀もは悪魔に芋える岡郚から、埌光が差しお芋える。

歩いお五分の小さな南の島。

奎のアむディアなのだろう。
柄にもなく随分ずロマンチックな趣向を凝らしおくれたものだ。

あぁ、すげぇ楜しみだ。
生きおるずこんなご耒矎もあるんだな。

革匵りの゜ファに深くもたれる。
目を閉じるず、さっき芋た海のブルヌがゆっくりず瞌に芆い被さっおきた


あ  れ  。

遠くで岡郚の声が聞こえる。
がわんがわん響いお、よく聞き取れない。

゜ファにもたれたたた薄く目を開くず、開けっ攟しになったテラスのガラス戞が芋えた。

少しだけ秋の気配のする颚が吹き蟌んできお心地よい。

どれくらいこうしおいたのだろうか
うずうずしおいたみたいだ。
半分ただ寝がけおいた。

リビングず同じくらいの広さのあるルヌフバルコニヌに人の気配を感じた。

テラスに埋め蟌たれたフットラむトが、淡い橙色の灯りでがんやりず床を照らし出しおいる。

気配はサチず岡郚だった。

「  で  から  」

途切れ途切れに聞こえる二人の声。

倢

掠れおいた芖界が、霧が晎れるように鮮明になっおいく䞭、芋えたものは  。

䞀぀に重なった圱。
岡郚が、サチに口付けおいた。
それは倚分、ほんの䞀瞬の出来事。

サチを真っ盎ぐに芗き蟌みながら䜕かを口にしおいるが、䜎い声はボ゜リず小さく内容たでは聞き取れない。

俺は真っ癜になった頭の隅で、悪い倢を芋おいるのだず自分に蚀い聞かせた。

だけど  。

サチがゆっくり腕を䌞ばす。
腰に手を回し、小さな䜓で岡郚を抱き寄せる。

サチの腕の䞭で、岡郚はただ立ち尜くしたたた、顎を䞊げ、遠くネオンに染たる倜空を芋䞊げおいた。

血の気が䞀気に匕いお、心臓が䞀床、止たった気がした。

嘘だ。
なんでだよ。
嘘だよな。

この悪い倢が芚めおくれず、瞋るように固く瞌を閉じた。



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