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劇団四季「美女と野獣」と「ノートルダムの鐘」

2022年10月から舞浜アンフィシアターでロングラン公演されていた「美女と野獣」が、2026年3月15日に千秋楽を迎えました。

「美女と野獣」という物語は、“人を見かけで判断してはならない”というテーマを持つ作品です。王子は老婆の醜さを嘲り、野獣の姿へ変えられる。
けれど長い孤独の果てにベルと出会い、他者を思いやる心を学んでいきます。

そして劇団四季版「美女と野獣」の冒頭で、ベルが読んでいる本が「ノートルダムの鐘撞き男」です。 以前の演出では、ベルが読んでいた本はアニメ版と同じく「ジャックと豆の木」だったのですが、2022年からの新演出版から変更になった様です。
村で“変わり者”と呼ばれていたベルは、大聖堂に隠れて孤独に生きるカジモドに、自分を重ねていた部分もあったのかもしれません。

(因みにエマ・ワトソン主演の実写映画版「美女と野獣」では本はシェイクスピアの「ヴェローナの恋人たち」になっていて、他にもベルは「ロミオとジュリエット」の一節を暗唱しており、ベルが恋への憧れを抱いている様子が表れています。)

「ノートルダムの鐘」は今年7月から大阪で、2027年4月からは横浜で上演されます。
「ノートルダムの鐘」は重厚な音楽と物語で、劇団四季のラインナップの中でも特にミュージカルファンから篤く支持される作品です。

“人間と怪物のどこに違いがあるのだろう”
という問いが物語全体を貫いていて、カジモド、エスメラルダ、フロロー、それぞれの生きる姿勢が鋭く描かれていきます。

外見ゆえに差別されるカジモド。
ジプシーというだけで排斥されるエスメラルダ。
そして“正しさ”を掲げながら欲望に飲み込まれていくフロロー。

「 美女と野獣」でも描かれたルッキズムと差別、それに加えてさらに人間の弱さと不条理に踏み込んだ作品だと思います。
私は、「美女と野獣」でベルや野獣が美しい衣装を纏った時に感じる感動と、「ノートルダムの鐘」でカジモドが美しい声で力強く歌い上げる瞬間に感じる感動は、どこか似ている気がしています。それは人の内側にある美しさが、歌や姿となって現れた瞬間であるからのように思います。

ミュージカル版の「ノートルダムの鐘」はディズ
ニーのアニメ版とは真逆の辛い結末ですが、エスメラルダが歌い上げる「いつかsomeday」の歌詞

いつか人がみんな 賢くなる 日が来る
祈るわ 争いの焔が 消える 時まで

彼女はこの祈りを貫き、いわれなき差別に苦しむ人々がいることの不条理さを群衆に身をもって訴えかけることとなったのだと思います。

何と言ってもミュージカル版にしか無い演出の凄みがあります。特に物語冒頭でクワイヤが荘厳に歌う中、まっさらな状態で登場したカジモドが次第に顔を歪め背に瘤を背負い、人間が宿業を背負って生まれる様を見せつけるオープニングなどは唯一無二で、鳥肌が立つものです。
魂が震えるような衝撃を貰える魅力があるこの作品。また観られる日が楽しみです。

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