【エッセイ】忘れられない贈り物
お土産を渡す。
お菓子を渡す。
そんな何気ない行為が、私の人生観を大きく変えた。
昔の私は、もらう側だった。
職場でお土産のお菓子をもらうたび、素直に喜んでいた。
しかし、自分が旅行に行くとなると、話は別だった。
「お土産にお金を使うのはもったいない」
という気持ちが先に立ち、できるだけ買わずに済ませようとする自分がいた。
今思えば、ずいぶんとけちな考え方だったと思う。
しかし、社会人として経験を積むうちに、少しずつ考え方が変わっていった。最初は打算的な理由からだった。「お土産を渡せば、職場でいい風に見られるだろう」という、どこか計算高い思いもあった。
確かにそれも事実かもしれない。
でも、実際にお土産を選び、渡すようになって気づいたことがある。
それは、
人に喜んでもらうことが、何より気持ちいい
ということだった。
今では、あげる側になった。
旅行先で
「あの人はこれが好きそうだな」
「この人にはこっちが合うかな」
と考えながらお土産を選ぶ時間が、楽しくてたまらない。
そして職場で渡したとき、相手が笑顔になる瞬間を見ると、心から嬉しくなる。
お金を使うことへの抵抗感は、いつの間にか消えていた。
お土産を配るようになってから、職場の雰囲気も変わった気がする。
ちょっとした会話が増え、人と人との距離が縮まる。
たかがお菓子一つかもしれないが、それがきっかけで生まれるコミュニケーションには、確かな価値がある。
組織について考えるようになった。
働きやすい環境を作っていきたい。
そう思うようになったのも、お土産という小さな贈り物から始まった人間関係の変化があったからだ。
お土産は、人間関係を作る。
人に喜んでもらうことができる。
そんなシンプルな真実に、ようやく気づいたのだ。
自分だけが喜ぶ人生ではなく、せっかくなら自分と出会った人に喜んでもらいたい。
周りの人にも喜んでもらいたい。
そう最近、仕事をしながら強く思っている。
人に何かを与えるということは、自分の心を豊かにすることでもある。
もらう喜びも確かにあるが、あげる喜びは、それとはまた違う深い満足感を与えてくれる。
お土産という小さな贈り物が教えてくれたこの気づきこそが、私にとって
忘れられない贈り物
なのかもしれない。
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