なぜ成功者は日本に戻ってくるのか
オリエンタルラジオの中田敦彦さんが、日本へ帰国したことで話題になっている。
以前シンガポールへ移住する際、「これからは海外だ」という姿勢を発信していたこともあり、「今さら日本に帰ってくるのか」と批判する声もある。
一方で、「日本に高額納税者が戻ってくるのは、歓迎すべきことだ」という声も少なくない。
また、なぜ炎上しているのか理解ができなくて、この件について興味がないというコメントを出している人もいる。
私は今回の出来事を見ていて、中田敦彦さんの帰国そのものよりも、このようなネット上の反応のほうが面白いと感じた。
同じ出来事を見ているはずなのに、人によって受け止め方がまったく違うからだ。
物事の見方には、一つの正解があるわけではない。
円錐は、真正面から見れば三角形に見えるし、真上から見れば円に見える。
どちらも間違いではなく、ただ見ている角度が違うだけだ。
だから、今回の中田敦彦さんの帰国について、どちらか一方の意見に肩入れしたいわけではない。
色んな意見を見ている中で、特に印象に残ったのが、起業家のやまもとりゅうけんさんの言語化だ。
りゅうけんさんは動画の中で、こんな趣旨のことを話していた。
多くの人は、お金の不自由から解放されたくてお金を稼ぐ。
それなのに、節税のために住みたい場所を我慢して海外へ移住するのであれば、それは結局、お金に人生を支配されていることになる。
自由になるために稼いだはずなのに、お金のために住む場所まで縛られるのは、本末転倒ではないか。
この考え方は、とても興味深かった。
もちろん、中田敦彦さんが実際にそう考えて移住したのかは本人にしか分からない。
子供の教育のためかもしれないし、単純にシンガポールという国への興味かもしれない。
有名人であれば、自分を知る人がいない土地で気ままに住んでみたいと思うのも、自然な感情だろう。
だから今回の話は、中田さん本人を評価したいわけではない。
私が面白いと思ったのは、「成功者が海外移住をやめる理由」を、お金ではなく"自由"という視点から言語化したことだ。
お金は人生を豊かにするための手段である。
それなのに、お金を守ることが目的になってしまう。
もっと税金を減らしたい。
もっと手元に残したい。
そのためなら、住む場所も、人との距離も、生活の快適さも我慢する。
日本に会いたい人がいれば、長時間かけて往復するという時間的なコストも払う。
お金に振り回される人生から自由になるために稼いだはずなのに、結局はお金に人生を支配されている状態といえるだろう。
もちろん、若いうちは少しでも多く手元に残したいと考えるのも自然なことだ。
ただ、いざお金が十分にある状態になると、人が求めるものは少しずつ変わっていくのかもしれない。
節税で数千万円得をすることよりも、住み慣れた環境や、家族や友人との距離、毎日の暮らしやすさのほうが大切だと感じるようになる。
特に日本は食べ物も美味しく、治安もよく、暮らしやすい国だ。
最近は物価高が続いているとはいえ、シンガポールなどと比べれば、日本の生活コストはまだ低い。
だからこそ、海外生活を続けた成功者の中には、「やっぱり日本が一番住みやすい」と考え、帰国を選ぶ人も少なくないのだろう。
本来、人生を豊かにするために選んだはずのものが、いつの間にか自分を縛るものになってしまう。
こうしたことは、お金に限った話ではないと思う。
健康になるために運動を始めたのに、数字ばかり気になって毎日ストレスを抱える。
自由な働き方を目指したのに、仕事を増やしすぎて会社員時代より休めなくなる。
楽しむためにSNSを始めたのに、「いいね」の数ばかりが気になり、しんどくなる。
幸せになるために始めたことが、いつの間にか自分を不自由にするものへ変わってしまう。
そんなことは、誰にでもある。
私自身も、お金について考えることは多い。
投資もするし、税金や節税について考えることもある。
▼税金について考えたnote
でも最近は、「いくら残せるか」より、「どう生きたいか」のほうが大事だと思うようになった。
お金は自由を広げるための道具であって、人生の目的ではない。
だからこそ、お金を増やすこと以上に、お金に縛られないことのほうが大切だと考えるようになった。
自由になるために稼いだはずなのに、いつの間にかお金に自由を奪われていないだろうか。
幸せになるためにお金を増やしたのに、節約や節税自体が目的化して、今の暮らしを苦しくしてしまっていないだろうか。
そんな問いを、改めて自分自身にも投げかけたくなった。
参考:
