4年ぶり、3回いい夢見てきたヨルシカ『盗作再演』
ヨルシカの2025年アリーナツアー『盗作再演』。
GLION ARENA KOBE(神戸)
IG ARENA(名古屋)
Kアリーナ横浜
の3大都市3会場で開催された。
ヨルシカ LIVE TOUR 2021「盗作」
— ヨルシカ(n-buna、suis) / Official (@nbuna_staff) October 2, 2021
セットリスト
画像にて公開いたします。
朗読パート以外の楽曲をサブスクにてプレイリストまとめております。
是非お聴きください!https://t.co/cfrm7NqdSq#ヨルシカ_ライブ盗作 pic.twitter.com/8NlfmpIjD4
“再演”と名がつくように2021年に開催されたホールツアー『盗作』のリバイバルツアーとなっている。ホールツアーは全国6都市、2000〜3000人キャパで開催されたが、アリーナツアーは3都市に縮小した上で1万〜2万人クラスにキャパが拡大されている。
僕はこのうちの大阪「オリックス劇場(旧大阪厚生年金会館)」で参戦した経験者である。人生初のヨルシカライブで他のライブとは違う唯一無二のノンMC、オールシッティングの朗読劇に衝撃と感動を覚えた。

あれからちょうど4年、再び見ることが叶った『盗作』。経験者から見て、あのときを思い出し、何が変わったのかを比較しながらライブの全貌を見ていく。
特典冊子『生まれ変わり』

入場時、全員に小冊子が配布された。ホッチキス留めされた『生まれ変わり』というミニ小説だ。本の内容は本編にも通づるということで是非ご一読をと公式Xが勧めていた。1度目を知ってる僕にとっては改めて世界観を復習するいい機会になる。ちなみに4年前にも同じタイトルで配布されていた。
開演

鳥のさえずりと草原のざわめきがBGMで流れた。
開演時刻から少し過ぎると、映画で聴くブザー音が鳴り、暗転。ヨルシカのギタリストでコンポーザーn-bunaさんがステージ下手かは登壇。木造のグランドピアノに座り、朗読を始める。n-bunaさんは観客を背にしていて、顔は見えない。
「追憶」
ステージバックのモニターに映像が映る。「追憶」というタイトル、コンクリート剥き出しで殺風景な建物の中で無精ヒゲの男性が木の椅子に腰掛けて本を読む。時折、緑豊かな田舎の風景が登場する映像だ。田舎のバス停で出会った彼女との思い出話を語り始める。始まってすぐにそれが夢であることに気づく。
朗読の途中には演者のテロップもブラックバックで挿入される。
Vocal suis
Guitar n-buna
Guitar 下鶴光康
Bass キタニタツヤ
Drums Masack
Piano&Keyboard 平畑徹也(4人一挙に表示)
一旦暗転し、n-bunaさんが立ち上がってステージ中央へ。ギターを持ってラップのような調子で弾き語る。最後に一節とタイトルバックが出てくる。
この胸に在る「魂」、それはまさに、
盗作
である。
春ひさぎ
同時に『春ひさぎ』のリズムギターイントロが始まる。立ち見可能な公演では着席してた全員がスタンダップし、一部は手のひら下にして挙げて、上下に動かす。横浜1日目ではアリーナは立ったが、LEVEL5(5階席)のスタンドはなぜか全員遠慮していた。
2023年12月のフェス『RADIO CRAZY』では公開リハーサルであの曲を披露。みんながこういう感じでノっていたのを思い出す。手を上下させてノってる姿はいい意味で強烈な違和感があった。
一方で全席着席の公演は原則オール着座。コロナの5類移行と規制緩和でいろいろ大きく変わった時の流れを感じるが、このスタイルではふと4年前にタイムリープしたようだ。
思想犯
続けて来るのが『思想犯』。ステージバックのモニターには歌の歌詞が出てくる。僕はこの歌詞に沿って、口パクだけする。噛み締めるように味わうように世界に浸る。そして涙も…
強盗と花束
小気味いいリズムとともに『強盗と花束』。暗色ショートヘア、黒いレースドレスのsuisさんは軽くステップを踏んで左右を行き来。数字の歌詞に合わせて指数字も作る。柔軟な表現力を感じる。
そんなsuisさんはこの曲が入ったep『創作』リリース時のApple Musicのインタビューでn-bunaさんについてこう語った。
n-buna君は、枯れない泉なんです。
コンスタントに曲をリリースしたり、楽曲提供、制作参加など幅が広く活動するn-bunaさん。活躍を見ていると、まさに「枯れない泉」。言い換えれば、鳥取・奥大山の湧き水のようだ。
「バスを降りて」
バスに乗って、無人駅近くで降りる。夏祭りへ向かうために列車に乗ろうとするが、事故(あるいは車両故障?)で下り列車が止まったことを知る。仕方なく隣町まで山を越えて歩くことになる。
白地に緑の山模様のバスをよく見てみると一瞬会社名が映り「濃飛バス」とある。岐阜県飛騨地方を拠点にしているバス会社で、飛騨地方から北陸、信州、東名阪への高速バスも運行する。
バスが走る岐阜県というのはn-bunaさんのふるさと。岐阜県のバスが出てくるということはn-bunaさんが曲を思い描く情景に最も近い世界だ。n-bunaさんのふるさと愛にちなんでいるのだろうか。
昼鳶
語りが終わり、n-bunaさんはアコースティックギターを持つ。右手指で打ち鳴らして「スラップ」し、次の曲『昼鳶』が始まる。suisさんは男性顔負けの低音を響かせて歌い上げる。
映像は男女、レズビアンのような女性2人のキスシーンが多く、最後のサビでは口元が隠されている。4年前と全く同じ構図だ。
うわぁエッロいなぁ
と4年前と同じ感想を抱いた。なぜか鉄道とエッチな映像を鮮明に覚えている。
こんなんオレ、完全にスケベやないかい!
レプリカント
青いライトがスモークとともに幻想的に踊るそして、ギターのカッティングとともに『レプリカント』が始まる。モニターには「Panasonic」に似た青文字ゴシック体で「Replicant」が映る。吼えるような心の叫びのようなこの歌を歌うsuisさんが心に響いて、再び涙が止まらない。
平畑さんの方を見るとサビで激しく頭を上下に振って、ヘドバンしてるではないか!!ヘドバンだけでなく最後のサビの直前では階段2、3段ぐらいジャンプまでしている!!4年前に見たときも平畑さんのヘドバンは印象に残ってて、あの衝撃の光景が蘇ってくる。
はっちゃけ、はっちゃんさん(平畑さん)や!!
花人局
誰もいない部屋と一輪の花の映像が映る。
美人局を疑う
という歌詞からいろいろ考える。この寂しげな情景を歌い上げるsuisさんも聴いてて惚れてしまう。そういえば、美人局を「つつもたせ」と読めるようになったのはこの曲がきっかけかも。
横浜1日目ではCメロの歌い出しを間違えるハプニングがあった。これでリズムが崩れたのか歌詞も1ヶ所飛んでしまった。「suisさん大丈夫!?」とこっちも動揺したが、これ以降目立ったミスなくやり切っていた。
「山の草原」
山を越えて草原でひと休み。「前世」を信じるかの話になり、彼女が幽霊だと知る。その後、夏祭り会場にたどり着くまでが描かれる。
この語りが始まるとステージ両サイドが慌ただしくなる。連なる提灯が出現。カーテンを落とすと、ステージ下手に盆踊りの太鼓やぐら、同じく上手に神社が現れる。語りでも夏祭りの情景が映る。
逃亡
夏祭りの描写からMasackさんのコンガで太鼓囃子が始まる。そこから次の曲『逃亡』へ。ステージには屋台が現れる。歌詞には真夏の光景や夏祭りの光景が歌われている。まさにこの曲の世界観が現れた。ただ、4年前にはなかった演出で個人的には驚いた。
このパートからは楽器、衣装も変わる。ドラムのMasackさんはコンガなどのパーカッションメインに、ベースのキタニさんはエレキベースからチェロに似たウッドベースに持ち変える。ギターは下鶴さんがアコースティック、n-bunaさんがエレキになる。アコースティックのなめらかで温かみのある音で盛り上げていく。
歌い出しで下手から、そろりそろりと出てきたsuisさんはくすんだ紫の着物にお色直し。帯が細い袴のようなタイプで、京都市の門川大作元市長の着物にもよく似てる。和装もよく似合うし、太い帯がない方が動きやすいのかな?
風を食む
suisさんが優しい歌声で歌い上げる『風を食む』。この優しくささやくような歌声もできるし、『昼鳶』のようなダークネスな低音までこなせる。この幅広さを聴いてるだけで泣けてくる。
『風を食む』はTBS系『news23』エンディングのタイアップだった。これを聴きたいがために夜にテレビをオフタイマーにして、聴きながら寝てたのを思い出す。番組の小川彩佳キャスターは曲についてこう語る。
静かな憂いを帯びながら、聴き終えるとどこかホッと救われたような気持ちに包まれました
suisさんの優しい歌声から小川キャスターの言葉を通じて、曲の温かさが伝わってくる。suisさんもとあるラジオで『ブレーメン』の制作秘話で「自分も救われなきゃ」とコメントをしていたのを思い出した。こういうところがsuisさんの歌い方のこだわりの1つなのかもしれない。
夜行
列車をモチーフにした曲で夕暮れ空の下を「ぶどう色(こげ茶色)」旧型国電風味の電車が走っていく。

映像に出てきた電車の色味がこれっぽい?
中身も木造でウッドベースのような雰囲気。
アコースティックになると音が優しくなってる気がしていい。昭和時代や阪急電車などの濃い木目調の温もりのような感じ。『花人局』までのパートがゴリゴリロックだったから、いい箸休めだ。
ヨルシカ盗作再演名古屋公演では、アコギのバインディングが剥がれました!(レスポールスペシャルのツマミはまだ割れてません)
— 下鶴光康 / anone (@simomits) September 21, 2025
普段大丈夫なのに何かが起きる本ツアー….次の神奈川が楽しみだな!!!!
2日間ありがとうございました🎉 pic.twitter.com/g8H85fHw5p
ちなみに名古屋2日目では下鶴さんのギターにあるバインディング(縁の飾り)が外れるトラブルがあった。ギターリフの途中で音が外れたのを聴いて「弦切れた?」と異変を感じた僕。案の定、本人のXでこういうことだったと明かされる。思いもしないハプニングもライブならではだ。
幼年期、思い出の中
曲が終わると、平畑さんによるピアノソロが聴こえてくる。これを聴いた僕はアルバムにあるインストゥルメンタルのどれかだと思い調べる。短音のピアノでピンと来て『幼年期、思い出の中』だとわかった。
ヨルシカにはときどきピアノのインストゥルメンタルが何曲かある。過去のライブでも閉演後のBGMとして使用されることが多かった。歌もいいけど、ピアノソロだけでもn-bunaさんの世界観を感じられる。
嘘月
『幼年期、思い出の中』と接続する形で『嘘月』が始まる。後ろのモニターいっぱいに満月が広がる。名古屋公演の1日目が雨模様、名古屋2日目は晴れていたがほぼ新月、横浜のときは月すら見つけられなかったが、ライブだけでも十五夜満月の気分だ。ちなみに神戸公演の夜に夜空を見上げたら満月だった。(行けへんかったけど、月は見た。)
『前世』のときはストリングスを従え、オーケストラチックな壮大な音を奏でていたが、『盗作』は優しいアコースティックになった。どちらがいいかと聞かれれば、甲乙つけ難い。でも、世界観からしてみればどっちもいい。
「夏祭り」
夏祭りを楽しんで、花火を見てきた2人。帰路に着く頃にはようやく戻りの列車が動き出していた。

JR四国キハ32の車内。
夏祭りの語りパートでは列車に乗るシーンが登場する。前にも見たときにも列車が出てきて、「あー!キハ32や!」と興奮し、聖地巡礼したこともあった。ただ、今回は別の列車が登場した。
最初は水色だけで
あれ!?水島臨海鉄道やん!!!

一般公募から選ばれた特別仕様車両。
大きなひまわりがトレードマーク。
岡山県倉敷市を走る「水島臨海鉄道※」の「MRT300形」。暗がりだったが水色にトレードマークである大きなひまわりの黄色ですぐ反応した。
※倉敷市駅〜三菱自工前駅〜倉敷貨物ターミナル間の「水島本線」と水島駅〜東水島駅間の「港東線」で構成される第三セクター鉄道。倉敷市〜三菱自工前間で旅客営業を行い、その他は貨物専用線になっている。
映像は地上駅だったが、
水島臨海鉄道にあんな地上駅あったっけ?
と思っていると、横浜公演を見た後に
ひたちなか海浜鉄道じゃない?
という説が出た。そっくりな車両もいるし、もしかしてと思った。あと、屋根の形も水島臨海とは違う気がした。
調べてみると、前面水色、側面黄色のラッピング車両「キハ3710形」がヒットした!記憶の中ではカーテンもあり、これは水島臨海鉄道にはない。座席の色もよく見ると水色っぽい。いろいろ違うとなると、ひたちなか海浜鉄道説が濃厚になった。
あと、田舎の駅の光景がJR高山本線ぽかったので探してみたい。
そうやってオタク魂燃えたところで、ライブはラストスパートだ。楽器は元に戻って、Masackさんはドラムセット、キタニさんはエレキベースになり、再びロックモードだ。
盗作
アルバム及びライブのタイトルトラックの『盗作』。このタイミングでステージ上から歪な形のミラーボールが降りてくる。赤や黄色など虹色にも近い。ライブのキービジュアルを表現している。
個人的にはお気に入りで地下鉄でよく聴いている『盗作』。名古屋の地下鉄では名城線や桜通線などでヘビロテしていた。そんな曲がラストスパート1発目に出てくるのは気持ちが上がってくるし、涙も。
爆弾魔(Re Recording)
長めのイントロから来たのが、『爆弾魔』。元は2018年発売のアルバム『負け犬にアンコールはいらない』で初登場。2020年のアルバム『盗作』では“Re Recording”として再録したものになる。suisさんの歌い方やピアノのメロディなど違いがある。比較のために2018年版も下に貼っておく。
サビに入るとステージ10ヶ所ぐらいの筒から炎が上がる!炎は4年前になかった初めて見る演出だ!個人的に新快速や阪急の特急などでヘビロテするお気に入りの1曲だけあって、序盤より涙が出てきて、泣きすぎて苦しさに似た感情も湧いてくる。怒られているときにボロ泣きするメンタルにも似てきた。でも、燃え上がる炎の如く心がアツくなって叫びたくなる!!
嬉しいのか辛いのかわからへん!!!!
でも、『爆弾魔』大好きや!!!!!!😭
春泥棒
下鶴さんのアコースティックギターからイントロが始まる『春泥棒』。9月で最近ようやく暑さが落ち着いた頃だが、ここで聴く分なら今でも違和感はない。
Cメロではn-bunaギター→ドラム→ベース→下鶴ギター→キーボードの順に軽いソロをアドリブで披露するのが定番。毎度毎度メロディが変わるのでけっこう楽しみな聴きところだ。名古屋2日目ではあの順番でsuisさんが手を向けて注目させる仕草が印象的だった。
花に亡霊
平畑さんのピアノとともに『花に亡霊』。サビではモニターに花火が打ち上がり、幻想的で圧巻なクライマックスを迎える。

こんな感じの花火がモニターに映る。
映像の花火を見てると今年も大津や木之本、長浜など滋賀県各地で花火見てきた思い出が蘇ってくる。これらの花火とともに結局ヨルシカでリールを作ってる。レッスン仲間が伊丹の花火観にいかへん?と誘われているし、行って、この曲でリール作るやろな。
「前世」
思い出に浸って曲が終わると、最後の朗読パート。夜のバスを降りるシーンから物語の振り返りになる。「幽霊」である彼女との刹那を振り返り、最後にはピアノのBGMとともに『春ひさぎ』直前の語りがリピート。ただ、内容は物語を経てるものに変わっている。それでも最後の締めの言葉は変わらない。
この胸に在る「魂」、それはまさに、
盗作
である。
n-bunaさんは起立して、ステージ上手へ歩き出す。ハットを左で持ち、腕を左後方へ伸ばす。無言の「あばよ」とともに去っていった。1時間半の短い夢のようなひとときが幕を下ろした。
盗作再演を振り返る
2021年の『盗作』を大阪で一度見てきた僕。「再演」でセトリやsuisさんとn-bunaさんの衣装もあの時とほぼ一緒。4年前のホールではできなかったような演出やセットが追加されている。それによって、より世界観を表現できる幅が広がった。夏祭りのセットや『爆弾魔』の炎がまさにそうだ。映像もたぶん新録らしく、鉄道だけでそれがわかった。鉄オタってこういうところが怖いもんだ。(おだまり!)
今回はわざわざ名古屋と横浜という遠方だけでヨルシカを見てきた。関西人の僕にとっては神戸の「GLION ARENA KOBE」でも見たかったが、抽選、チケットトレードともハズレて叶わなかった。
とはいえ、ヨルシカだけはいい思い出になれて3回も見れただけよかった。ヨルシカは「なんぼ見てもいい」と個人的に言うが、複数見ることが気づけなかったことにも気づけることだと思う。だからたくさん見にいくのだ。
2021年の『盗作』2025年の『盗作再演』と見に行った僕にとっては懐かしさと新発見の多いライブだった。そして、いい夢を見れた。僕の心の中にいる柳沢慎吾さんが叫ぶ。
名古屋と横浜で、いい夢見たよ!!
ヨルシカ、また会う日まであばよ!!!!
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