海を夢見るように旅を続けて
移ろう風景を、過ぎ行く時間を
言葉に置き換えながら旅を続けている。文章を綴り
始めたのは、九州で過ごした2年半の間のこと。海
に包まれた風景を、めぐる旅を繰り返した。そして
関西に戻り、また旅を続け、この島までやってきた。

大きな石積の防波堤に

切り出され重ね合わされた大きな石は

港の風景の一部となる

海へと伸びる防波堤とつながる島々の影

砂浜に降りる。沈む砂の音と

打ち寄せては引く波の音。紡がれる海の風景に

ぽつりと置かれたアート作品の

向こうには、瀬戸内の海と島並みが続く

海を夢見る人の場所と名付けられた作品に
海の風景をたどってきた過去に思いをはせる
船を乗り継ぎ、海を越え、島をめぐり
豊島へとやってきた旅
九州で始まった島への旅を繰り返し
鮮やかな海の風景に引き寄せられるようにして
海の風景の記憶とともに、この場所へたどり着いた

そこに設置された海を眺めるためのベンチは

動き出すかのような生命感をまとい

有機的な形が織りなす影は、砂浜と呼応し

砂の上に揺らめく影は漁網のよう

ベンチは現代彫刻のような佇まいで

砂浜の上で光を浴び、自然をまとう

緩やかに湾曲するシルエット

叩き上げられた鉄は、軽やかでも力強い

アートとしてのベンチは変化に富んでいて

その形を手に取るように、隅々まで感じながら

ベンチと海と空と

自分の体を作品に添わせるようにして

作品が眺め続ける風景にも、身を寄せる

作品はその風景に、意味を与えるものとなる

ここは海の風景の記憶を思い出させる場所

豊島の甲生の港の風景を旅をした
砂浜に置かれたアート作品でもあるベンチは、風景
を浮かび上がらせる。流木や漁網をモチーフとした
ベンチは、鍛鉄により、柔らかで有機的な形となる。
ごつごつとした鉄の質感。砂浜に落ちる影。ベンチ
の先に広がる穏やかな瀬戸内海と、遠くにかすむ
島のシルエット。そこでアートは自然を取り込み、
一体となって、訪れる人に新たな風景を提示する。
またこの先も、海を夢みるように旅を続けていく。
