旅は円を描いては輝くように
衆楽園の自然に寄り添うようなアート後にして
森の芸術祭を目指し訪れた津山と奈義。2日目の旅路
では1日目にたどった道をなぞるように、城西浪漫館
へやってきた。旅の風景は、記憶の中で円を描いては、
輝くようにつながっていく。その輝きをひろい集める
ようにして、旅は始まり、やがて終わりへ近づいて。

旅路は文字通り、円を描くようにして連なり

もう一度、昨日訪れた城西浪漫館へとやってきた

昨日の定休日の文字に、明日にはもう一度と
旅の計画を練り直し、二日目は早朝にホテルを出発し

津山から奈義、また津山へと、ようやく
森の芸術祭の会場でもある城西浪漫館へ

建物には外観から内部へと優美なデザインがつながって

円のデザインは、空間に光を柔らかく広げる

柔らかな木の質感に包まれた階段の踊り場に

掲げられたモノクロの写真が静かに当時を偲ばせて

階段の吹き抜けいっぱいの上げ下げ窓は、空間に光を満たす

円のレリーフと襞のようなシェードは建物の優雅さを高めて
西洋から海を渡った文化が、この建物に根付いている

見上げれば、手すり越しに展示室に緑がのぞくのは

ビアンカ•ボンディによる森林浴という作品

室内は緑に満たされるかのように

じわりと包み込まれるように

室内に取り込まれた緑は、空間を外部のように錯覚させ

光を蓄え反射する緑と

空間との関係の中を進む

天井から吊り下げられた切り取られた緑は

奈義で出会ったエルリッヒの真っ逆さまの自然を
思い起こさせる。展示室を埋め尽くす緑は

建物の空間の中で、森林を感じさせるものとなる

その先には、ルシーラ•グラディンによるウールや絹などの

素材が、刺繍や加工が加えられ作品へ

地域の植生などから、在来種を用いて素材を使い

作品に自然を閉じ込める。自然とつながる芸術祭では

森との結びつきを感じる作品が並ぶ。ウメッシュ•P•Kの

点を中心に回転しながら深みへ、という作品では

深い森の中、その深部へと続く光の渦

渦が作り出す回転の力により、周囲を引き寄せられるように

渦の持つ中心に、いつかの旅でも引き寄せられながら
渦のようなコンラッドの螺旋階段を見上げるほどに

中心へと視線を導かれるような、京セラ美術館の
美しい螺旋階段では何度も上り下りを

また、うずまきといえば、EXPO70パビリオンにある
渦巻き型都市の模型を思い出す。そして

極めつけは2つのリボンが、渦のように絡み合いながら
建物の頂点で交わるというリボンチャペル

ぐるぐると回る旅の景色。最後の作品は、

円形の板に色ガラスが散りばめられた、江見正暢氏による

万華鏡。色とりどりのガラスがちりばめられた変形の板は

それらを回転させることで、様々な鏡像が現れる

ガラスの板が光を浴びて輝く万華鏡

そして旅も万華鏡のように、輝きを放ち
光は様々なものを反射させ、旅に煌めきを与えていく

フェライト子ども科学館では、万華鏡のトンネルを抜け
その光の記憶は、今も心の中に残っている

日常に近い大阪での旅でも、見上げた空間には
それは万華鏡の光の綾のようにも
保存されて大切に使い続けられている建物。そこに
挿入されたアートは、その空間の記憶の琴線にふれ、
新たな風景を作り出す。旅は、そのひとときと交わり、
記憶は重なり、らせんを描くように広がっては、収束
していく。旅をするほどに、それは円を描いては、輝く
ようにして、まだ見ぬ風景といつかの記憶に共鳴して。
