僥倖アゲイン
この度、『パーティーはいつか終わる』という拙作が、創作大賞2025の恋愛小説部門にて双葉社文芸出版部賞をいただきました。読んでくださった皆さま、改めて本当にありがとうございます。
最終結果発表があった金曜日の夜に開催された授賞式に出席させていただいたのですが、もうなんか夢でも見ているんじゃないかという感じで終始現実感がなく、今になって色々と思い出しながらこの記事を書いています。
恐縮ながら昨年の創作大賞ではエッセイ部門で入選を頂いていたので、四谷のnote本社で開催された授賞式に参加させていただいたのですが、その時は出版社の方とお話しする機会は一切なく、そもそもクリエイターという自覚が皆無だった僕には"創作"大賞の授賞式という場は正直相応しくないんじゃないかという気持ちすらありました。
(↑当時の想いを綴った、改めて読んだら何とも小っ恥ずかしくてムズムズした記事はこちら)
そんな感じで、昨年の授賞式の場では圧倒的場違い感に苛まれていたんですが、それと同時に実はすごく刺激を受けておりまして。noteの社員さんやクリエイターさんの方々と少しばかりお話しさせていただく中で、交わした言葉数はそう多くはなかったんですけど、「自分も創作してみたいかも」という好奇心がふつふつと込み上げてきて何だか居ても立っても居られなくなったことを覚えています。
小説を書こう、と思ってから本を読むようになりました。最後に小説を読んだのは高校時代だったかもなぁ(それも2冊程度)、という感じでこれまで小説を読む機会はほとんどなく、漫画やドラマで育ってきた人間としては活字オンリーのコンテンツにはどうしても距離感を感じていましたが、いざ読んでみるとこれがすごく面白かったんです。
そして、この"面白い"は高校時代に出会ったものとはどこか違っていました。分かりやすいエンタメ的な面白さではなく、こんな表現どうやったら思いつくねんと驚きのあまり一言一句声に出して読んでみたくなる日本語を発見することの楽しさ。文章を書くと決意してから、小説の読み方も楽しみ方もだいぶ変わったんですね。活字にはこういう面白さもあるんだ、と気付いてからは今まで読んだことがなかったような純文学系の作品も何作か読んで、自分の好きなジャンルのようなものが徐々に見え始めました。
ある程度インプットを済ませてから今年の5月にようやく小説の構想を練り始めて(「今年の創作大賞では小説を書こうと思っている」と居酒屋で突然彼女にカミングアウトして)、6月くらいからせっせと書き始めて、7月の頭になんとか完成させました。


旅先でも時間を見つけてはカキカキし、何もない休日なんかはタリーズに10時間くらい篭ってカキカキしたり、ひどい時は1日で市内にある4店舗すべてのタリーズをハシゴしてカキカキしたりもしてました(本当にお世話になりました)。
そんな感じで何とか書き上げた小説をnoteに投稿して、ありがたいことに色んな方々から感想コメントをいただき、なんかもうこれだけで本当に書いた甲斐があるなあとしみじみしながらも、やはり結果発表が近づくにつれどうしてもドキドキしてきます。
そして9月中旬に中間選考通過の連絡をもらいドキドキは頂点に達しました。去年の経験から受賞者には9月末には内々で連絡が来るだろうなとは思っていたので、9月中旬から下旬にかけて気が気でない日々が続きます。携帯にGmailの通知が来ればマッハで確認し、その度にZOZOTOWNやら楽天市場やらの広告メールしか届いてなくてひどく落胆し、この日に連絡がこなければ落ちたと思うことにしようと考えていた9月30日にも一切連絡がなく、あぁそっかまあそうだよなあと諦念に至った結果、コメントで「面白い」と言っていただけた方がいらっしゃったにも関わらず「この小説を面白いと思ってるのはひょっとして自分だけなのかも」なんて自己嫌悪すら込み上げてきました。
ほぼ終了モードで迎えていた10月1日の午後2時。仕事をしている最中にピコンとGmailの通知がスマホのロック画面に表示されます。
ちょうど作業中だった仕事が割と大変なものだったのですぐには確認できず、この厄介な仕事を片付けた暁には絶対受賞メール届いてるはずやろそうじゃなきゃ割に合わんじゃけという怒りにも似た希望で仕事を終わらせメールを開くと、まさかの本当に『メディア賞のご連絡』という件名が目に飛び込んできて思わずスマホを投げ飛ばしそうになりました()
という感じで冒頭の話に戻りますが、今年はメディア賞の受賞者として式に出席させていただきました。

(今年の会場はなんと恵比寿ガーデンプレイス)

(いくらしたんですか?とnoteの方に聞こうと思ってやめときました)


(食べたい気持ちをグッと堪え、懇親会では沢山食べるぞー!と決意する)
授賞式のスピーチが無事終わり、写真撮影なども済ませるとようやく懇親会に。
ほとんどぼっちで周囲とあまり会話もせず、これは腹を満たすことに徹するべきだと早々に判断し会場に並んでいた豪華な食事と缶ビールを部屋の隅っこでガツガツ貪っていた昨年の授賞式から一転、今年の懇親会ではご飯一口も食えませんでした。
というのも、ありがたいことに色んな出版社さんの方々から挨拶をいただき、そしてクリエイターさんの方々とも沢山お話しさせていただいたので、ご飯を食べる時間なんてないほど本当に充実した時間を過ごさせていただいたんです。空きっ腹にずっとビールを流し込みながら、身体は間違いなく幸福で満ちていました。そして案の定酔いました。
念の為50枚ほど作って持って行った名刺も気付けばなくなり、お会いしたかった方々と楽しくお話しさせていただいたりしていたらあっという間に終わりの時間に。
撤収のギリギリまでnote社員の方々に挨拶させていただき、会場の外に出てからもクリエイターの方々とお話や写真撮影を交わし、ほっくほくの気分で帰路についた矢先、携帯に何件か着信が入っていたことに気付きます。何だろう?と思って折り返してみると電話口はまさかのnoteスタッフの平野さん。
開口一番、「YASUさんの鞄が会場にありますので取りに来てください」という言葉で一気に酔いが覚めるわたくし。その時手にしていたものはトロフィーが入ったnoteのトートバッグのみで、肝心の鞄を忘れていたことに全く気付かず帰りの電車に乗り込もうとしていたのです(どんだけ満たされてんねんこいつ)。恵比寿駅の動く歩道をガンダッシュして会場に戻ると、撤収作業がすでに終わっていたようで、平野さんが雨の中おひとりで僕の鞄を持ってじっと待っておられました。
その節は本当の本当に申し訳ございませんでした。
そんなこんなで授賞式&懇親会が終了し、恵比寿から移動して地元の高校兼大学時代の友達と朝まで飲み明かしました。



ちなみにこの友達は昨年の授賞式の後も同じ場所で一緒に飲んでくれた友人で、その時の僕は「来年また授賞式出れたらなぁ〜」的な妄想を口にしていた気がするので、一年後にこうしてまた同じ場所で同じ友達と一緒に飲めているという事実に何だか感慨深さが込み上げました。
朝まで飲んでそのまま始発の新幹線で帰って地元の駅に着いた時、まるで夢から覚めてしまったような切ない後味がふいに訪れましたが、いや待てよ、とすぐに思い直します。この先、担当編集者さんと打ち合わせを重ねて自分の書いた物語が本になるんだ。そう思うとむしろここからが始まりなんだという気持ちになって、いつもと同じ帰り道をまったく新しい気分で歩いて帰りました。
来年の刊行に向けて頑張りますので、皆さま楽しみにしていてください。

