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3〜5歳、「数」と「言葉」と「好奇心」の土台——プリントより先に、"具体物"と"会話"で伸びる話

私自身は、0歳から特別な教育をしてもらえた子どもではありませんでした。母子家庭で、世帯の年収は約200万円。

それでも、週7の部活と両立しながら現役で旧帝大の理系に進み、大学からのTOEICは3〜4ヶ月で900点を超えました。社会に出てからも、20代のうちに管理職の経験や上場経験などを積み、数億円の資産を築いて自立して家族(妻子や母親)を養えるようになりました。

ただ、いま振り返ってつくづく思うのは、数と言葉の"根っこ"は、うんと小さいころに、遊びのなかで作られていたのだろう、ということです。

学力は、中学までに英語と読解を完成させ、数学は各学年で取り切る——それがゴールから逆算した子育ての型です(ゴールから逆算する子育ての型学力レーンの逆算)。前作の0〜2歳、うちの子に大事なのは「英語」より先にでは、その最初期にあたる「言葉と音」の土台を書きました。今回はその続きです。3〜5歳の主役は、「数量感覚」と「言葉」、そして「好奇心」——このどれもが、のちの算数・読解・学びに向かう力の根っこになります。

この記事は、「今から詰め込まないと遅れる」という早期教育の煽りにも、「小さいうちは放っておけばいい」という言い分にも、与しません。3〜5歳の力は、プリントを何枚こなしたかでは決まらない。でも、「ただ自由に遊ばせておけば勝手に育つ」というのも、正確ではありません。

同じように遊び、同じように過ごしていても、そこに親の"ひと工夫"があるかどうかで、育ちには差が出る——その差の正体は、お金ではなく、関わり方の技法です。今日は、そこを解像度を上げてお話しします。


「課金しない子育て」では、〈お金をかけすぎなくても、子どもの将来は諦めなくていい〉という立場で、家計の見直し・使える支援制度・お金をかけない教育を、具体的に書いています。よかったら note のフォローを(日々の発信は ThreadsX)。


1. なぜこの時期は「具体物」で、抽象プリントは早いのか

まず、出発点を確かめます。3〜5歳に、数字をなぞるプリントや、たし算のドリルを急いでやらせる必要は、まだありません。これは「勉強させるな」という話ではなく、この年齢の頭の育ち方に合った順番の話です。

「4」という数字と「4個」という量は、最初つながっていない

大人にとっては当たり前すぎて忘れがちですが、「4」という記号と、目の前にある「4個」という量は、子どもの中では最初、別々のものです。「いち、に、さん、し……」と口で唱えられることと、「これが4個ある」と量として分かることの間には、はっきりしたギャップがあります。

数を暗唱できる子でも、「4個ちょうだい」と言われると多めに掴んでしまう、ということがよく起こります。

「最後に数えた数が、全体の量」と分かる転換点が、この時期に来る

発達心理学では、子どもが数を正しく数えるために掴んでいく原則が整理されています(Gelman & Gallistel の「数える原則」)。そのなかでも大事なのが、基数性(cardinality)——「1、2、3、4」と数えたとき、最後に言った"4"が、その集まり全体の量を表している、という理解です。

この「最後の数=全体の量」という気づきが訪れるのが、だいたい3〜5歳にかけての転換点だとされています。

だから、量を"手で触れながら"数える経験が先に要る

この基数性は、プリントの上で数字を眺めていても育ちにくい。量そのものを手で触り、動かしながら数える経験が、記号(数字)と量を結びつける土台になります。

  • おはじきを一つずつ動かして数える

  • おやつを一個ずつ配る

  • 積み木を積んで「いくつ積めた?」と数える

抽象プリントは、この土台ができたあとで効いてくるもの。順番を逆にすると、意味の伴わない手続きだけを覚えることになりやすいのです。

言葉も好奇心も、同じ理由で「具体」から

これは数だけの話ではありません。言葉も、目の前の物・出来事とセットで覚えるほど根づきます。好奇心も、実際に触れて・見て・不思議に思う体験からしか湧きません。3〜5歳が「具体物の時期」だというのは、数・言葉・好奇心のすべてに共通する、この年齢の学び方そのものなのです。

2. 「普通の家庭」で自然に育つ範囲——保育園・幼稚園を含めて

ここで、いちばん先にお伝えしておきたいことがあります。特別なことをしなくても、標準的な家庭で普通に暮らし、保育園や幼稚園に通っていれば、この時期の土台は自然に育ちます。 まずここに安心してください。そのうえで、次の章から「もう一段」の話をします。

数量感覚——日常と園のなかで、自然に届くところ

多くの子は、3〜5歳のあいだに、10くらいまで数を唱えられるようになります。おやつを「一人ひとつずつ」配れるようになり、「どっちが多い?」がだいたい分かるようになる。

保育園・幼稚園では、朝の点呼、順番を待つ列、歌や手遊び、おやつの数——生活のあらゆる場面に数が埋め込まれていて、遊びのなかで自然に触れています。ここまでで、数量感覚の基礎は十分に立ち上がります。

言葉——語彙が一気に増える時期を、会話と絵本が支える

3〜5歳は、語彙が爆発的に増える時期です。日常の会話、絵本の読み聞かせ、園でのお友達や先生とのやりとり——このなかで、子どもは驚くほどの速さで言葉を吸収していきます。

家庭で普通に話しかけ、寝る前に絵本を読み、園に通っていれば、この時期に必要な言葉のシャワーは、じゅうぶんに浴びられます。

好奇心——「なぜ期」は、放っておいても始まる

この時期は「なぜ期」とも呼ばれます。「なんで空は青いの?」「どうして?」と、大人が答えに詰まる質問を、子どもは次々に浴びせてきます。虫を追いかけ、水たまりに入り、砂を掘る。

好奇心のエンジンは、この時期、放っておいても勝手に回り始めます。園庭や公園での外遊び、家での「なんで?」のやりとりで、そのエンジンは十分に温まります。

だから、まず前提として——「これで土台は育つ」

つまり、ここまでで挙げた「普通の家庭・普通の園生活」で、数量感覚も言葉も好奇心も、土台は確かに育ちます。「うちは何もしていない」と焦る必要は、まったくありません。次の章からお話しするのは、この土台を否定するものではなく、同じ日常のなかに、もう一段の"ひと工夫"を足すとどうなるか、という話です。

3. そこから一段抜ける家庭がしている工夫

普通の家庭で土台が育つ、と書きました。そのうえで、同じように暮らしながら、育ちがもう一段伸びる家庭があります。差の正体は、繰り返しますが、お金でも教材でもありません。「その日常の一場面に、意図的にひと言を足しているか」——ただそれだけの違いです。

数量感覚——おやつ分けを、"数える会話"に変える

いちばん分かりやすい例を、一つだけ丸ごとお見せします。おやつの時間です。

普通に配るなら、いちごをお皿に「はい、どうぞ」と置くだけ。ここに、ひと工夫を足します。子どもの目の前で、一つずつ置きながら「いち、に、さん。はい、いちご3個ね」と数えて渡す。 ポイントは、最後にもう一度「ぜんぶで3個」と、全体の量として言い直すこと。これが、前半でお話しした基数性——「最後に数えた数が、全体の量」——を、耳から結びつける瞬間になります。

さらに、こう続けられます。「あなたのは3個、弟くんのは2個。どっちが多い?」「うん、あなたのほうが1個多いね」。多い・少ないだけでなく、"1個多い"と差まで言葉にすると、比較と引き算の芽が、遊びの顔をしたまま入っていきます。買い物でも同じで、「りんご、2つカゴに入れてくれる?」と数を持たせるだけで、日常が数の練習場に変わります。

これは、特別な教材も、まとまった時間も要りません。おやつを配る"その動作"に、数える言葉を乗せるだけ。同じおやつの時間が、片方は「食べるだけの時間」、もう片方は「数と量が結びつく時間」になる——この差が、積み重なっていきます。

ここから先は——言葉・好奇心の"ひと工夫"と、数量感覚の続き

いま見せたのは、「一段抜ける工夫」のうち、数量感覚の一つだけです。ここまでの無料部分で、「なぜ具体物が先か」「普通の家庭で土台は育つ」「そこに意図的なひと言を足すと伸びる」という設計図は、すべてお伝えしました。

ここから先は、その"ひと工夫"を、言葉と好奇心にも広げ、さらに数量感覚を深めていきます。そして最後に、幼児教室・通信教材・知育プリントに実際いくら払う価値があるのかも、具体的な数字で整理します。たとえば——

  • 絵本を「読んであげる」から「問いを挟みながら一緒に読む」に変えるだけで語彙が伸びる、対話的な読み聞かせの具体的な問いの型(どのページで、何を、どう聞くか)

  • 「なんで?」に、面倒がらず・かといって難しくもせず、"どう返すか"の答え方——曖昧に流した子と、きちんと説明で返された子で、その後の追究心に差が出るという研究がある

  • 数量感覚を後の数の理解にまでつなげる、「3個まで」で止めない"大きな数の会話"——4個から10個くらいの、少しまとまった量を指す会話の量が、後の数の理解の伸びを予測するという研究がある

  • そして、「一段抜ける」のさらに上——親が答えを"教える"のをやめ、子ども自身に問いを立てさせる関わり方まで

  • 幼児教室・通信教材・知育プリント、実は価格帯の"桁"がまるで違う——同じ「くもん」でも、教室に通うか市販品を買うかで8〜10倍の差がつく、という具体的な数字

  • 値段の高い・安いでなく、まず"リターン"を定義してから比べる判断のコツ——私自身がディズニー英語システムに課金した、本当の決め手も含めて

——という、家庭で今日から動ける関わり方の"技法"に加えて、「実際いくらで、何を選べばいいか」というお金の判断基準まで、この先で渡し切ります。

念のため書いておくと、この記事は980円です(メンバーシップなら月500円で、これまでとこれからの記事がすべて読み放題になります)。ここから先だけで、家計に跳ね返る節約と、失敗しない有料サービスの選び方をお伝えするので、記事の値段以上の元は取れると思っています。

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