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0〜2歳、うちの子に大事なのは「英語」より先に——「言葉」と「音」の土台をつくる話

高い教材をやってもらえなかった私が、いま、わが子の「言葉」に向けていること

私自身は、0歳から特別な教育をしてもらえた子どもではありませんでした。母子家庭で、世帯の年収は約200万円。それでも、週7の部活と両立しながら現役で旧帝大の理系に進み、大学からのTOEICは3〜4ヶ月で900点を超えました。社会に出てからも、20代のうちに管理職の経験や上場経験などを積み、数億円の資産を築いて自立して家族(妻子や母親)を養えるようになりました。

英語は、後から伸ばした口です。ただ、国語だけは違いました。大学入試の本番まで、ずっと苦しめられ続けた科目です。だからこそ、いまになって思います。英語も国語も、もっと早くから土台を作っておきたかった、と。

学力は、中学までに英語と読解を完成させ、数学は各学年で取り切る——それがゴールから逆算した子育ての型です(型の全体像学力レーンの逆算)。その両方に共通する土台を作るのが、実は0〜2歳のこの時期。論理も文字もまだ育っていないこの時期の主役は、「安心」「言葉」「体」、なかでも「音」です。

だから、親になったいま、私が本当に大事にしているのは、日本語でたくさん語りかけること、絵本を一緒にめくること、英語の歌を一緒に口ずさんで遊ぶこと——どれも、高い教材がなくても始められることです。

この記事は、その「0〜2歳の、言葉と音の土台をどうつくるか」に、私なりの答えを出すものです。「今やらないと手遅れ」という声にも、「早期教育なんて無意味」という声にも与しません。この時期に育つ"耳"の土台は、研究の上でも確かにある。けれど、それは教材の値段とは、ほとんど関係がない——ここが、今日いちばんお伝えしたいことです。


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1. この時期の子に、まだ「論理」は育っていない

まず、出発点を確かめておきます。0〜2歳の子に、机に向かう勉強はまだ早すぎます。これは根性論ではなく、発達の順序の話です。

論理や抽象思考をつかさどる脳は、10代〜20代にかけて育つ

計画を立てたり、ルールを筋道立てて理解したり、「もし〜なら」と抽象的に考えたりする力は、この時期にはまだ育っていません。そういう論理的・抽象的な思考をつかさどる脳の部分は、10代から20代にかけて、ゆっくり育ち続けていくものだとされています。まだ土台のできていない時期に、文字や計算を無理に詰め込んでも、うまく積み上がりません。それどころか「分からない・できない」という体験を重ねて、勉強そのものへの苦手意識を植えつけてしまうことがあります。

0〜2歳の主役は、論理でも文字でもなく「安心」と「言葉」と「体」

このあたりは、発達の順序を外さない——早すぎる勉強が「解けないトラウマ」を生むで詳しくお話ししたので、ここでは繰り返しません。ひとつだけ押さえておきたいのは、0〜2歳の主役は、論理でも文字でもなく、「安心」と「言葉」と「体」だ、ということです。

なかでも、この時期にしか持たない"旬"があるのが、言葉、とりわけ「音」です。ここが、次の章の主題になります。

2. だから、この時期にいちばん効くのは「耳」

この時期の言葉と音の土台づくりで、たった一つだけ意識することを選ぶなら、私は「耳」を選びます。理由は、この時期の耳が、大人にはもう戻ってこない感度を持っているからです。

生まれたての耳は、世界中の言葉の音を聞き分けられる

少し不思議な話をします。生まれたばかりの赤ちゃんは、実は、世界じゅうのあらゆる言語の音を聞き分けられる耳を持っている、という発達心理学の知見があります(Werker & Tees、Kuhlらの乳児音声知覚研究)。日本語にない音も、英語にしかない微妙な音の違いも、この時期にはちゃんと区別できる。

■ 生後1年ほどで、耳は「日本語仕様」に絞られていく

ところが、日本語ばかりに囲まれて育つうちに、耳は「日本語でよく使う音」に少しずつ最適化されていきます。そして、日本語では使わない音の聞き分けは、だんだん薄れていく。生後1年ほどのあいだに、耳が母語に"チューニング"されていく、というイメージです。

■ 英語の音を通しておくと、「聞き取れる音の引き出し」が残る

だからこそ、この時期に日本語以外の音にも触れておくことには、意味があります。早く始めることが有利に働くのは、この「発音・音の聞き分け」の部分だ、と複数の研究で示唆されてきました。

■ ただし、ただ聞かせるだけでは足りない——鍵は「人とのやりとり」

1点、正確に伝えておきたいことがあります。
同じKuhlらの研究チームは、生後9か月の米国の赤ちゃんに中国語(マンダリン)を聞かせる実験も行っています。

生身の大人が実際に語りかけながら聞かせたグループでは、音の聞き分けがはっきり育った一方、まったく同じ内容を録音音声や録画映像だけで聞かせたグループでは、学習効果がほとんど見られませんでした(Kuhl, Tsao & Liu, 2003)。

つまり耳の窓を開くのは「音を聞かせること」自体ではなく、「人とのやりとりを伴って音に触れること」。ただ流しっぱなしにするより、親が一緒に声を出したり、体でリズムをとったりすることのほうが、実は本体だということです。

「今を逃したら手遅れ」では、まったくない

ここで、強く線を引いておきたいことがあります。いま「早いほうが有利」と言いました。でも、これを「だから今やらないと一生手遅れ」という脅しに使うのは、事実に反します。理由は3つあります。

  1. 敏感期は「崖」ではなく「なだらかな下り坂」だから。 ある年齢を境に、扉がバタンと閉まって二度と開かない——そういうものではありません。海外で暮らし始めた時期と、後の英語力の関係を調べた研究でも、始める年齢が遅くなるにつれて到達度が少しずつ下がっていく、という緩やかな傾斜が見られました。突然ゼロになるわけではないのです。

  2. 早く有利になるのは「発音・音感」であって、試験のスコアとは別の話だから。 英検やTOEICといった試験では、ネイティブそっくりの発音は問われません。試験で問われるのは語彙・文法・読解が中心で、これらは後から始めても十分に伸ばせる領域です。冒頭で書いた通り、私自身が、早期の英語なしで後から試験のスコアに届いた実例です。「耳の窓」と「試験で測る英語力」を、混ぜて怖がらないでほしいのです。

  3. その「耳」を育てるのに、高いお金は要らないから。 これが次の章の核心です。音を聞き分ける感度は、教材の値段では買えません。日常のなかで、英語の音に自然に触れられれば、それでいい。

■ 研究が示す事実を、恐怖商法の燃料にしない

つまり、この時期に「耳」を意識するのは価値があるけれど、それは「高額教材を買わないと手遅れ」という話とは、まったく別物なのです。研究が示す事実を、恐怖商法の燃料にしてはいけない。ここが、この記事のいちばん大事な線引きです。

3. では、この時期に何をすればいいのか

答えは、拍子抜けするほどシンプルです。語りかけ・絵本・多聴。この3つで、0〜2歳の言葉と音の土台は、じゅうぶんに作れます。どれも英語のためだけの手立てではありません。語りかけと絵本は、まず日本語の言葉と語彙——のちの読解の土台——を育て、多聴のなかに英語の音を少し混ぜることで、英語の「耳の窓」にも効いてくる。言葉と音の土台は、英語と読解の両方に向かって、同時に効いていきます。

なぜ「語りかけ・絵本・多聴」の3つなのか

なぜこの3つなのか。少しだけ整理しておきます。

  • 語りかけは、言葉そのものの土台を作ります。子どもが発した声や表情に、親が言葉で応え返す。この「応えてもらえる」という安心が、言葉を含めたあらゆる挑戦の出発点になります。

  • 絵本は、日常の会話には出てこない言葉と、「本は楽しいものだ」という感覚を届けます。

  • 多聴、つまりたくさんの音を聞かせることは、日本語の言葉のシャワーであり、そしてここに英語の音を少し混ぜておくことが、さっきの「耳の窓」に効いてきます。

大事なのは、この3つのどれも、高い教材を必要としない、ということです。むしろ、いちばん効くのは、お金では買えない「親の声」と「日々の関わり」のほうです。

無料で一つだけ——語りかけは「視線の先」に言葉を返す

では、具体的にどうやるのか。一つだけ、語りかけの例をお見せします。

赤ちゃんが、窓の外の犬をじっと見て「あー」と声を出したとします。このとき、ただ「そうだね」で終わらせるより、子どもの視線の先を一緒に見て、「わんわんだね。大きいね。しっぽ振ってるね」と、その子が今まさに見ているものを、言葉にして返す。子どもが向けた注意に、親が言葉をかぶせてあげる。これが、言葉がいちばん入る瞬間です。「何を話すか」より「子どもが今どこを見ているか」に合わせること——これが、語りかけの質を決める、たった一つのコツです。

ここから先は、今日から動かす「手順と基準」

このコツを、語りかけ・絵本・多聴のそれぞれで、もっと具体的に落とし込んでいきます。ここまでの無料部分で、「なぜこの時期は耳と言葉なのか」「高い教材は要らない」という設計図は、すべてお伝えしました。ここから先は、その設計図を、今日から実際にどう動かすか——手順と基準まで踏み込みます。たとえば、

  • 語りかけは「量」と「質」のどちらを優先すべきか。忙しい親が、無理なく量を増やすための、生活のなかの"仕掛け"

  • 0〜2歳の絵本を選ぶときの、具体的な3つの基準と、その基準を満たす実際の作品名(まず1冊選ぶなら、というところまで)。図書館でタダで揃える導線も

  • 英語の多聴を、1日どれくらい・何を使って・いくらで用意するか(ただ流すだけでは足りない理由と、私が実際にやっている関わり方も)。私が実際に使っている無料チャンネルの名前と、逆に「刺激が強すぎる」と指摘のあるチャンネルの見分け方

  • 遊びの顔をしたまま英語に触れさせ、いざ勉強が必要になったとき「もう知ってる」に変えておく、私なりの考え方

  • 高い教材を「買う・買わない」を、値段の高さではなく〈総額 × 続ける年数 × 親の手間〉で判断するフレーム(100万円超の教材が、実は割高とは限らない家庭の条件まで)

——という、家庭で今日から動ける具体です。

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