またまた名画座へ行ったよ
11月に柳ケ瀬の名画座で昭和の名作を観たという件を書きました。これでしたよね。なかなかおもしろかったでした。
また行きました、ロイヤル劇場へ。今度もおもしろそうな映画だったからです。今回の映画はこれです。

点と線 | 東映
松本清張氏の小説の映画化。時刻表を駆使したアリバイ工作に立ち向かう刑事を描いた(いわゆる)推理モノです。
官界と財界の癒着に挟まれた善良なお役人さんが、心中に見せかけられて服毒死させられる。一旦は心中と断定されましたが、その経緯に疑問を持った刑事さんが、列車時刻表を巧みに読みこなしてアリバイ工作をした真犯人を追い詰めていく。
背景となる時代背景はいかにも高度成長時的な要素を含んでいました。前回観た「七人の刑事」は1965年製作ですが、今回観た「点と線」は1958年。もしかしたら高度成長期さえも始まっていないかもしれません。
それ故に(もちろんストーリーにも引き込まれましたが)街並み、着ている服、家庭内の調度品、事務所内の事務用品とかが「いかにも」的な雰囲気を醸し出しています。
今時、どんな富裕層様でも家庭内に「ばあや」なんて雇いませんでしょう。
時刻表上でも楽しい場面があります。新幹線開業以前の東海道線は東京発九州方面行の花形列車が目白押し、被害者ふたりが乗り込んだ車両は博多行寝台特急あさかぜ(どうでもいい事ですが、優等列車ですから名古屋には停車しても岐阜は通過です)
それも被害者が乗り込むのは(寝台車両ではなくて)二等座席車です。博多行ですが、熱海 20:00、静岡 21:01、名古屋 23:25 ですので、東海道線内利用者にも便宜を図っているのでしょう。(下URL参照)熱海 20:00 なんて「当時の富裕層様が、仕事終わりに熱海でお楽しみ」なんて需要にも応えているのかと思います。
さらに説明しますと、当時の国鉄の座席は三階級制(一等 / 二等 / 三等)を採っていました。「二等」とは今のグリーン席、三等は普通席です。一等とは列車の最後尾に連渇される展望席です。(別に当時の日本や国鉄が階級差別的であった訳ではありません。今でも旅客機はファースト / ビジネス / エコノミーですから)
それと、まぁ、実際と虚構にここまで言及するのも野暮ってもんですけど。以前、読んだことなので…
・善良なお役人さんは、心中に見せかけられて(知り合い程度で深い関係のない女性と)服毒死させられてますが、その薬物は青酸カリなんです。
・心中場所に選んだ現場は(特急あさかぜの終着駅に近い)香椎という場所(福岡市内)の海岸ですが、そこで発見された二体の死体は「整った着こなしで、仰向けで横たわり、手をつないで」いました。
ボクはこのシーンを観た時点で「あり得んやろ」って思いました。
というのも青酸カリを服毒したら、絶命するまではどうなるかを知ってたからです。
参考までにこんなサイトを
>激マズな上に口内に激痛が走るため、飲み込めず大半を吐き出してしまう。
>それでも致死量を摂取した場合は、めまい・頭痛・嘔吐(おうと)・けいれんなど、さまざまな自覚症状が出て
めまい・頭痛・嘔吐・けいれん等の症状が出るのに「整った着こなしで、仰向けで横たわり、手をつないで」発見されるなんてあり得んやろ、という事なんです。のたうち回って胃の中のモン吐き散らして絶命したに決まってます。
であるのにも関わらず、(通報を受けて現場に急行した)福岡県警がそのような「キレイな遺体」を見て、その後「青酸カリ服毒心中」と断定するなんてあり得ないと思うんです。
初見で「これは心中に見せかけた他殺だな。」って絶対に気付くと思うんです。
刑事でも鑑識でもないボクだって気が付くことなんです。
この辺をもっと考えてもらえたらなぁ…って思いました。
この映画のエンディングは、真犯人が、奥さんが(青酸カリを盛って注いだ)ビールを飲んで絶命します。そして真犯人が一口飲んだ後は奥さんが飲んで後追いします。
その後に逮捕に駆け付けた刑事さん方が見た二人の遺体はただ倒れているだけでした。
毒薬の服毒は絶命まではキツイんだ、って啓蒙するためにももう少しリアリティを出しても…その方が服毒自殺の抑制につながるかも…
とボクは思いました。
