また名画座へ行ったよ
昨日の午前中、柳ケ瀬にあるロイヤル劇場という名画座で昭和の映像を観てきました。
今回の映画はこれです。

もはや説明無用の人気刑事モノドラマの映画化です。大昔にテレビ版はかすった程度に観ましたが、何分ドボズ(子供)の時でしたので、複雑な刑事モノのストーリーなんて理解できる訳がありません。今回が実質初見です。
あらすじとしては、(当時の)国鉄上野駅構内で殺人事件があり、(七人の刑事が)捜査をする過程で、真犯人が所属する反社が身代わりを押し付けられた別構成員と、彼が気にしていた女性従業員が組織を抜け出す…
という展開です。
最初に気が付いたのは(白黒映画という件も影響してるかもですが)まさに昭和の映像だ、という点にです。すべてが昭和なんです。今風を感じさせるものがほとんどありません。
・くわえタバコしまくり
・物価は、うどん60円、○○定食90円(ガード下食堂)
・ハコを機関車が牽引してる長距離列車
・事務所の中には黒電話(スマホなんてある訳ない)
等々を白黒で観せられたら昭和は遠くなりにけりの感慨を新たにして、再確認して、シミジミすること請け合いです。1965年の製作ですから高度経済期真っ只中でしょう。欧米先進国に追いつけ追い越せの時代は困難だったんだ、という新発見もあります。
そういった気付きに加えて、これはないわ~って思う点があります。よほどの悪人ではない限りは基本性善説って言うんでしょうか。それとも、情報(コンフィデンシャル)管理がガバガバって言うんでしょうか。いまの感覚ではありえん~ってな機密を扱っています。
上記反社に属する女性従業員(ワルではない、ただ所属がそう)を署内に待たせるのはいいが、刑事同志の打ち合わせの声がその女性にまる聞こえ。
さらに、その彼女の前で被害者(死体)の写真を整理。そしてその写真はその彼女に持ち去られる。
ストーリーの構成上、そんなガバガバ、甘々な設定にしたかもですが、それにしてもエエ加減過ぎます。
それと上野駅の位置付けです。上野駅って東北本線、常磐線、信越本線、上越線の急行以上のターミナルです。特に東北本線(その奥の奥羽本線も)、常磐線は東北地方から東京への玄関口という事で、「おのぼりさん」をハメようとする輩であふれています。
純朴な東北出身者にとって、最初に都会の洗礼を受ける場所なのです。いまの上野駅もそのような要素はあるかもですが、白黒映画を通して観る上野駅は迫力があります。
そうしたおのぼりさんは東京に職を求めて出てくるのでしょう。劇中、事件に巻き込まれる男女(前述の「身代わりを押し付けられた別構成員と、彼が気にしていた女性従業員」両方とも無罪)は上京前は貧農出身という設定、女性は駅前旅館の従業員で客を取らされていました。男性はそういった旅館を仕切る反社の構成員です。
上記に貼り付けた日活のサイトには
被害者の背後に潜む農村の貧困にメスを入れる
とか記載されていますけれど、まるで産業の構造的な格差のみに原因を見出そうとしてるようであまり好きではありません。たとえ、高度成長の過程で東北地方と東京の間に生じた経済的格差が原因だとしても、悪いのはおのぼりさんを食い物にする反社でしょう。
本来なら、そのような想定外の事態に対して、そういった人達のために、受け入れ側である東京やその周辺地域に救済支援施設や態勢を確立させるべきなのなのです。
しかし(高度成長期ゆえの)あまりにも急で規模が大きい事態であるために、官民ともに追いつけない、終始後手に回った、ということがこうした事件につながったのだと思います。
このふたりは上京以前から十分に「農村の貧困」ゆえの苦難を背負っています。本来なら、活路を見出した東京でそこから解放されるべきなのに、「農村の貧困」をネタにした反社にさらなる苦難を背負わされる、というのが正解だと思います。
