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採用要件が曖昧なまま走る時、人事だけが地図なしで運転してる感じになる|採用活動で苦しむ人事のリアル

「いい人がいたら採りたい」
「でも、誰でもいいわけじゃない」
――この言葉が出た瞬間から、人事は少し苦しくなる。

何を満たせば“いい人”なのか、
どこまでなら許容できるのか、
その輪郭が曖昧なまま採用を進める時、
人事だけが見えないゴールに向かってハンドルを握っているような感覚になる。
そんな採用現場の、かなり地味でかなり消耗する話です。

採用要件が曖昧なまま走る時、
人事だけが地図なしで運転してる感じになる。

これ、採用をやっている人ならかなりわかる感覚だと思う。

もちろん、採用って最初から全部きれいに決まるものではない。
事業は動くし、組織も変わるし、現場の状況も変わる。
欲しい人物像が途中で更新されること自体は、別におかしなことじゃない。

でも、しんどいのはそこじゃない。

問題なのは、
“まだ言葉になっていない理想”を、人事だけが先に形にしないといけない時間
が長すぎることだと思う。

「こういう人がいたらいい」
「なんとなくフィットしそう」
「今の組織に足りない感じ」
「強いて言えば、主体性があって、でも協調性もあって…」

このへんの、まだ輪郭がぼやけている話を受け取った瞬間から、人事は走り出す。
求人票を直す。
エージェントに伝える。
候補者を見る。
面接官とすり合わせる。
でも、出発したあともずっと思っている。

で、結局どこに向かってるんだっけ。

これが地味にきつい。

1. 採用が難しいのは、市場のせいだけじゃなく“目的地の曖昧さ”のせいでもある

採用がうまくいかない時、理由はよく市場に向く。

応募が少ない。
競争が激しい。
年収が負ける。
知名度が足りない。
たしかに、それもある。

でも現場にいる人事の実感としては、
採用がしんどい理由って、それだけじゃない。

かなり大きいのは、
何をもって“この人だ”と言えるのかが曖昧なまま、採用活動だけは進んでいくこと
だと思う。

たとえば、

  • 経験年数は何年ほしいのか

  • マネジメント経験は必須なのか、歓迎なのか

  • 技術力と対人力、どちらを優先するのか

  • 将来性を見るのか、即戦力を取るのか

  • 組織に足りないのは推進力なのか、安定感なのか

このあたりが曖昧なままだと、採用は全部がぼやける。

なのに現実の採用は待ってくれない。
媒体は動く。
エージェントは聞いてくる。
候補者は選考に進む。
面接も始まる。

つまり、人事は
目的地がまだ定まっていないのに、とりあえず車を出さないといけない
状態になる。

それが、地図なしで運転している感じの正体なんだと思う。

2. 人事は“要件を聞く側”というより“要件を翻訳する側”になりがち

人事って、採用要件を受け取って動く仕事に見える。
でも実際はそれだけじゃない。

かなりの場面で、人事は
まだ言葉になっていない要望を、採用要件として翻訳する側
になっている。

現場が欲しいのは、たしかに“人”だ。
でも現場が本当に困っているのは、単純に人数不足だけじゃないことが多い。

  • チームを回せる人がいない

  • 顧客折衝が弱い

  • 炎上案件を落ち着かせたい

  • 若手を育てられる人がいない

  • 任せられる中核が足りない

本当はこういう課題がある。
でも、それがそのまま採用要件の言葉にはならない。

だから人事がそこを聞く。

「つまり、今回必要なのはプレイヤーですか、リードですか」
「この経験は必須ですか、それとも入社後キャッチアップ可能ですか」
「強い人が欲しいのか、馴染む人が欲しいのか、今はどちらですか」

こんなふうに、現場の課題を採用要件へ翻訳していく。

この仕事って、外から見るよりずっと重い。
なぜなら、翻訳を間違えると、その後の採用活動が全部ズレるからだ。

3. 地図がない採用でいちばん苦しいのは、“ズレているのに止まれない”こと

採用要件が曖昧なまま進む時のしんどさは、
単に手間が増えることじゃない。

もっと苦しいのは、
途中でズレを感じても、簡単には止まれないこと
だと思う。

候補者は来ている。
面接も組まれている。
現場も一応は会っている。
エージェントにも声をかけてもらっている。

だから、どこかで
「ちょっと違う気がする」
と思っても、全面停止にはしにくい。

この候補者は悪くない。
でも、本当に欲しい人かというと少し違う。
現場の反応も悪くない。
でも、熱量が高いかというと微妙。
要件も明文化はされている。
でも、読めば読むほど何を最優先しているのかが見えない。

こういう“薄いズレ”が続く時、人事はかなり消耗する。

なぜなら、そのズレを毎回回収する役目も、だいたい人事だからだ。

  • 面接フィードバックを整理する

  • エージェントへ説明する

  • 候補者の温度感を見る

  • 次回どう改善するか考える

  • それでも募集は止めずに回す

進んでいるようで進んでいない。
でも、止めるわけにもいかない。
この感じが、地図なし運転のいちばん怖いところだと思う。

4. 採用要件が曖昧な会社では、人事だけが“正解探し”をやらされやすい

採用がしんどい会社って、要件が厳しい会社とは限らない。
むしろ、しんどいのは
要件の厳しさより、要件の曖昧さ
だったりする。

厳しいなら厳しいで、まだわかる。
難しい採用だと整理できる。
エージェントにも説明できる。
通過基準も合わせやすい。

でも曖昧だと、全部がふわっとする。

  • 書類をどこで通すか

  • 面接で何を見るか

  • どこまで妥協するか

  • 何が決め手になるか

これが毎回、空気で決まる。
すると人事は、正解が共有されていないのに、正解だけを求められる。

この状態って、かなりきつい。

人事って本来、採用活動を進める役割だけじゃなく、
組織に必要な人材像を言語化していく役割もある。
でも、その役割が過剰になると、
本来チームで持つべき問いを、人事だけが一人で抱える
ことになる。

その結果、採用がうまくいかない時も、
「何が悪かったのか」
を最初に掘るのは人事になる。

でも実際には、
“誰を採りたいのかが最後まで曖昧だった”
ことの影響はかなり大きい。

5. 人事が本当に欲しいのは、完璧な要件より“判断軸の優先順位”なのかもしれない

ここ、かなり大事だと思う。

人事って、別に最初から完璧な採用要件が欲しいわけじゃない。
市場も変わるし、組織も変わる。
途中で見直しが入るのも当然ある。

でも、それでも欲しいものがある。

それはたぶん、
優先順位のある判断軸
だと思う。

たとえば、

  • 今回は技術の深さより、チームで動けることを優先する

  • 今回は育成余地より、即戦力性を優先する

  • マネジメント経験が薄くても、推進力があるなら見たい

  • 年収レンジの制約がある分、何を譲って何を譲らないかを決める

こういう“優先順位”があるだけで、採用はかなり変わる。

なぜなら人事は、完璧な人を探しているわけじゃなく、
今の組織にとって意味のある選択肢を前に出したい
からだ。

でもこの優先順位がないと、
全部ほしい、でも全部は無理、の間で永遠に揺れる。

そしてその揺れの最前線に立つのが、だいたい人事だ。

6. 自分も、採用要件が曖昧なまま走る時がいちばん疲れる

これはかなり実感がある。

難しい採用だから疲れる、というより、
どこに向かっているのかが曖昧な採用
のほうが消耗する。

難易度が高いなら、その前提で戦える。
年収が厳しいなら、訴求を考える。
競争が激しいなら、スピードや面接体験を見直す。
打ち手が見える。

でも、採用要件そのものの輪郭がぼやけていると、
打ち手をいくら増やしても芯に当たっている感じがしない。

候補者を見ても、
「この人、ありなんだっけ?」
となる。
面接官の反応も、
「悪くないけど、なんか違う」
になる。
フィードバックを読んでも、
“で、今回何を一番見たいんだっけ”
に戻る。

この感じ、かなり疲れる。

人事って、採用活動の実務を回すだけじゃなく、
その活動に意味を持たせるための“解像度”も担わされやすい。
だから、要件が曖昧なまま進む採用ほど、地味に心が削られる。

7. 名言を借りるなら、“目的地のない努力”ほど人を消耗させるものはない

ここで思い出すのは、セネカの
「どこの港に向かうのか決まっていない者に、追い風はない」
という言葉だ。

これ、採用にもかなり当てはまる。

エージェント数を増やす。
求人票を直す。
スカウトを強化する。
面接回数を調整する。
打ち手はいくらでもある。

でも、そもそもどこに向かうのかが曖昧なら、
その努力は追い風になりにくい。

むしろ、頑張るほど疲れる。
手は動いているのに、進んでいる実感がないからだ。

採用って、量も大事だし、スピードも大事だ。
でも、それ以上に大事なのは
“何のために誰を採るのか”が言語化されていること
なんだと思う。

ここが曖昧だと、人事は永遠に仮説運転になる。
そして、仮説が多いほど、失敗の責任だけは増えていく。

8. 結論。採用要件が曖昧な時、人事が苦しいのは能力不足じゃなく構造の問題

採用要件が曖昧なまま走る時、人事だけが地図なしで運転してる感じになる。

これは、人事の詰めが甘いとか、整理不足とか、そういう単純な話じゃないと思う。

本当はチームで持つべき問い。
組織で決めるべき優先順位。
現場とすり合わせるべき判断軸。
それらが十分に言語化されないまま、最前線だけが先に動いてしまう。
その構造のしわ寄せが、人事に来やすいだけなんだと思う。

だから、もし今まさに
「どこに向かっているのかわからないまま採用だけが進んでいる」
と感じている人事がいたら、まず言いたい。

そのしんどさは、あなたの能力不足だけで起きているわけじゃない。
かなり構造の問題です。

もちろん、人事が整理する役割を担う場面は多い。
でも、人事だけが地図を描いて、人事だけが運転して、人事だけが結果責任まで持つ状態は、やっぱり健全じゃない。

採用は、人事の仕事である前に、組織の意思決定だ。
だからこそ本当は、
誰を採るかの前に、何を優先するかを一緒に決めること
が必要なんだと思う。

地図がないなら、人事だけが我慢して走り続ける必要はない。
まずは、どこへ向かうのかを言葉にするところからでいい。
それができた時、採用はやっと“走る”から“進む”に変わるんだと思います。

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