小説|百奇夜行 本編045 背中〜世界が救われるまで、あと55話〜
『背中』
「な、お前は『百奇』側だろ!」
もう一人の俺、サイコパスを羽交締めにしている。
さすが武闘派。
「俺にはこいつが来ることが分かっていた。
それなのに、怖くて、足がすくんで、ただ立ち尽くしてた。
あんたの一言が俺の背中を押してくれたんだ!」
俺はやっぱり、あんたのファンだよ。
「あのー、もし迷惑ではないようでしたら」
神の使いが話しに割って入ってくる。
「私が車で送って差し上げましょうか」
後部座席のドアが開けられ、俺が乗れば車を出すと。
でも。
「俺のことはいい!早く行け!」
このまま行けば、もう一人の俺は助からない。
カフェで山本さんの手を離してしまった時の記憶が蘇る。
今回は、今回こそは助けたい。
その思いがどうしてもかき消せない。
残り十五秒。
既に『秒読』となっているカウントダウンが見えた。
場所はもう一人の俺の頭上。
ああ、命を救えるまでのカウントダウンだこれ。
残り十秒。
ってことは、今ならもう一人の俺を助けられる?
「カウントダウンの『秒読』は『百奇』の罠だ!」
「お前、もう喋んなくていいよ」
拘束を振り解いた凶刃は、もう一人の俺の横腹へ向かった。
残り五秒。
「ごふっ」
もう一人の俺が吐血している。
何かを必死に喋ろうとしているが、声が出せないようだ。
それでも。
俺は俺の助けを拒んでいることは分かる。
残り一秒。
助けたい。助からない。敵わない。でも二人なら。
残りゼロびょ
「行けぇぇぇぇぇぇ!崎山ぁぁぁぁぁぁ!」
俺は俺のその声に、背中を押されたような気がした。
気が付くと神の使いの車に乗っていた。
「いいんですか、行っても」
「…はい」
アクセルを踏まれた車は主人の指示通りに走り出す。
もう一人の俺の姿を、最後まで見届けることは出来なかった。
「どこに向かうべきか、『行先』の答えは出ましたか」
「表参道の中西という居酒屋へ向かってください」
「残念ながら…正解です」
そう呟いて、神の使いはスピードを上げた。
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登場人物/設定/題名
『小林』…ガチ部屋の創始者。
類い稀なる問題解決能力の持ち主。
とある講座で知り合った私の友人。
緑の点で正気を失い『』の中へ。
崎山…ガチ部屋のメンバー。
『一奇夜行』の読み手。
『十奇夜行』の書き手。
類い稀なる素直さといい声の持ち主。
とある講座で知り合った私の友人。
神の使いと共にラスボスの元へ向かう。
山本…ガチ部屋のメンバー。
『十奇夜行』の読み手。
『百奇夜行』の書き手。
類い稀なる??の持ち主。
ただの私。
行列から吊橋へ連行される。
あなた…この物語の読者。
想いを言葉にした時、『結末』は変わる。
ラスボス…??
世界を救う為に倒すべき存在。
神の使い…ラスボスに繋がる鍵を握る。
『秒読』…百奇夜行 No.093の題名。
決断には制限時間がある物語。
本編登場済:71/100 話
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