【3分間小説】18時の岐路|もう二度と・・・ ― BENI
この作品はフィクションです。特定の曲や歌詞にインスピレーションを得て執筆していますが、実在の人物・出来事とは関係ありません。音楽をきっかけに生まれた短い小説としてお楽しみください。
純ちゃんが東京へ行くことを知った日、頭が真っ白になった。
どうして教えてくれなかったのか、その理由を聞くより先に、体が勝手に動いていた。
小さい頃から、当たり前のように隣にいた。
兄弟みたいで、友だちみたいで。恋人じゃないからこそ、ずっと続くと思っていた存在。
離れ離れになるなんて、想像すらしていなかった。
出発の日、私も卒業旅行で駅にいた。人混みの中で、何度も視線を巡らせたの。もしかしたら、と思っていたの。
でも、会えなかった。
胸の奥に何かが小さく引っかかったまま、時間だけが過ぎていく。
純ちゃんは一度も地元に帰ってこなかった。
思い切って送ったメールは、エラーメールとして戻ってきた。もう、この距離は埋まらないのだと、そのとき初めて実感。
私は地元に残り、高校の頃から付き合っているたっくんと19歳で結婚。幸せだった。
でも、幸せだと思っていたのは私だけ。
たっくんはずっと浮気していた。
22歳の冬、たっくんと離婚。
若いうちの結婚と離婚で、周りからは好奇な目で見られた。小さなコミュニティの中、ヒソヒソとあることないこと言われ続けた。
毎日苦しくてしかたがない。逃げたい。
でも地元から出たことがないから、逃げ場所なんてどこにもない。
こんなとき、純ちゃんがいてくれたら──
ハッとした。
なんで純ちゃん?
胸がきゅっと痛んだ。
ううん、もう気づいてた。
ずっとそばで私のことを見守ってくれていた純ちゃんが好き。
でも、もう二度と会えない。
唇を噛んで顔を上げる。
あの日と同じように、雪は冷たく、夕陽はオレンジ色。不思議と少しだけ温かかった。
私は今日もここで生きていく。
もう一度会いたいよ 声聞きたいよ
Tell me why you had to go その手離せないよ
あの頃のように 笑っていたいよ
I just wanna hold you close ずっと忘れないよ
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チップありがとうございます!
大変はげみになります。