さみしい夜にはペンを持て|読書記録
明けない夜はない。
ひとりぼっちの夜をくぐり抜け、朝を迎えに行くんだ。朝は、きみを待っている。
『さみしい夜にはペンを持て』古賀史健
あらすじ
「ぼくは、ぼくのままのぼくを、好きになりたかった」
うみのなか中学校に通うタコジローは、公園で出会ったヤドカリおじさんにすすめられ日記を書き始める。「日記を書く」ことを通じて自分と向き合っていくー。
13歳に向けて書き下ろされたという本書は、イラストも可愛らしく、見開きにも仕掛けがあり読みやすい1冊です。
舞台は「海の中」。
ヤドカリおじさんとタコジローの対話を中心に物語が進み、その合間に挿入される日記からは、彼の書き方の変化が伝わります。
「書くこと」への具体的なアドバイス
本書には、書くことへの具体的なアドバイスが詰まっています。
・「考えること」は、答えを出そうとすること。日記として「思い」を「考え」として書くことで悩みが解決に向かう。
・日記を書くと悩み事が多いときは、考えても答えが出ない「心配ごと」と深く考える価値がある「考えごと」を分ける。
・ネガティブな悩みごとは「〜と、思った。」をつけて気持ちと距離を置く
私も頭の中でぐるぐる考えてしまう時がよくあるので、参考にしようと思います。
他にも書くことが好きになるコツを、具体例を交えながらわかりやすく紹介されています。
「秘密の書きもの」から「秘密の読みもの」へ
実は私は、日記が続かない性格です。
何度挑戦しても、続きませんでした。
本書では続けるコツとして「日記の読者は未来の自分である」と説かれています。
私の場合は、つらい時の手書きの日記は当時の悩みがなまなましく蘇ってしまい、見返すことができません。
でも、本文にある「一人称を変えて書くこと」を試していれば、「私だけの小説」として日記を続けられていたかもしれません。
当時の自分を「ウミウシさん」と名付け客観視し、「あれ?このウミウシさんすごく頑張っている」と温かい目で見守れていた気がします。そうやって、「自分だけど自分じゃない主人公」として応援できていたかもしれません。
何より心を打たれたのは、自分に向けて書くことで日記が「秘密の書きもの」から未来の自分が楽しみに待つ「秘密の読みもの」になるという視点。
「続きが読みたいから書き続ける」。
そんな風に思えていたら、もっと怖がらずに明日を迎えられたかもしれません。
中学生の日常って大人が思っているよりずっと時間の流れがゆっくりで、繊細なもの。
そんな時に友達を頼るのもいいけれど、自分の中に居場所があれば少し安心して過ごせたはず。
他人に心を委ねるよりも、自分の中に積み上げた言葉の方が、ずっと確かな財産になっただろうと感じます。
大人が読んでも深い学びがありますが、やはり中学生の頃の自分に一番に届けてあげたい。
けれど、大人に「これを読みなさい」と勧められたら絶対に読まないので、本棚にそっと潜りこませておいてあげたい。
そんな風に思える1冊でした。
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