「病院事務のAI副業」 - 経験は他者の目線でAIに血を通わせる【実録vol.20】
元病院事務のAI副業実録 — 第二部・経験×AI実践
ファミレスだった。
久しぶりに会った知人と、オープンな席に向かい合って座っていた。同じ病院事務出身で、今も現場にいる。
食事をしながら近況を話した。流れで副業の話になり、AIでマニュアルを作りココナラに出品していると伝えると、知人の目の色が変わった。
「見せてよ」
普通は思いつかない話だったはずだ。だから興味津々だった。
食べ終わった後、スマホにデータを送った。二台並べた。一台でマニュアル、一台でサービスページ。知人が両方の画面を交互に見ていた。
ヒヤッとした瞬間
最初にサービスページを見た瞬間だった。
「電子カルテが止まった瞬間、受付に数百人が押し寄せたことがあります」
知人が息を呑むように画面を見つめ、「ヒヤッとした」と言った。
「そんなことなかなかないだろうって流しがちだけど、実際にあったから……」
当時を思い出していた。その表情を見て、vol.19で書き直した一文が機能していたとわかった。
ロープレゲームの指摘
次にマニュアルに目を移すと、知人が一番長く画面を止めていたのは「適用範囲」と「指揮者」の項目だった。
AIに「このマニュアルの課題は何か」と聞いた。こういう答えが返ってきた。
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「本マニュアルは体系的な構成となっており、障害対応の基本的なフレームワークとして機能しています。改善点としては、対象者のスキルレベルに応じた段階的な習熟プロセスの明確化、各手順における責任者の権限範囲の詳細化、および実効性を高めるための定期的な訓練計画の策定が挙げられます。また、障害発生時の心理的プレッシャーを考慮したサポート体制の整備も重要な観点です」
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知人の感想は鮮やかだった。
「ロープレゲームのラスボスの倒し方を教えてもらったとしても、レベル1だったら基礎能力不足で倒せないよね」
思わず笑った。でもその通りだと思った。
同じマニュアルを見た感想だった。
続けて具体的な指摘が飛んできた。
・ 「指揮者の章、発見者が暫定的に初動対応って書いてあるけど、発見者が役職者とは限らないから無理がありすぎる」
・「個別指示の詳細が欲しい。具体的にどの部署にどう指示を出すか」
・ 「障害レベルが逆じゃない?レベル1が軽微で、上に行くほど重度じゃないとおかしい」
AIに「発見者はどう動くべきか」と聞いた。こういう答えが返ってきた。
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「障害発見時において、発見者は冷静さを保ちながら状況を正確に把握し、エラーメッセージや発生時刻、影響を受けている端末数などの基本情報を迅速に記録した上で、定められた報告ルートに従い速やかに上長および担当部署への連絡を行うことが求められます。同時に、周囲のスタッフへの状況共有と初動対応の開始を並行して進めることが重要です」
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冷静さを保ちながら、という言葉が出てくる。
vol.18で書いた。現場の担当者が血相を変えて駆け寄ってきた。顔が青かった。どうしたらいいんですか、と。
落ち着いていられる発見者など、現場にはいない。その感情が、AIには1ミリも入っていない。
知人が話す言葉を聞きながら、頭の中でAIへの指示をまとめていた。ファミレスの席で、次にAIに何を渡すかが決まっていた。
帰ってから、頭の中を一気に吐き出した
帰ってから、知人の言葉・表情・感情を頭に留めたまま、AIに指示を出した。
今まで自分の主観だけで渡していたものが、この日は違った。
・発見者は報告のみに限定。パニックになっている人間に初動対応は無理だから
・指揮者が即座に現場に向かう
・外来受付・会計・診療科受付・案内係・外来医師・看護師・検査部・放射線部・薬剤部・委託業者それぞれへの個別指示を詳細に
・事務系と委託業者を先に動かす理由も明記
何度かやり取りを繰り返し、Ver3.0が完成した。


画面を見た。
AIが作ったものなのに、少し血が通った気がした。
もともとそういうものを求めていなかった。サンプルだから機能すればいいと思っていた。
でも違った。
入れるものが変わると、出てくるものが変わる
画面を見ながら、考えていた。
今まで何が違ったのか。
自分の頭の中にある経験を、自分の主観でAIに渡していた。それだけだった。病院事務20年の経験がある。システムダウンを3度経験した。指揮を取ったこともある。その経験は本物だった。
でも全部、自分の目線だけだった。
この日は違った。現場を知っている人間がマニュアルを見た瞬間に感じたものが、頭の中に入っていた。
・ロープレゲームのラスボス
・一目でわかる障害レベルの違和感
・冷静さを保ちながら、という言葉への現場のリアリティの欠如
その目線を持ったままAIに渡した。
入れるものが変わったから、出てきたものが変わった。これはテクニックじゃなかった。何を入れるかだった。
自分の主観だけで渡してきたことに、20回書いてきて初めて気づいた。あなたはどうだろうか。
そしてこれは、病院事務の話じゃない。
文章を書く人も、画像を作る人も、音楽を作る人も、詩を書く人も、同じことが起きるんじゃないか。
自分の主観だけで渡していたものに、誰かの目線と感情が加わると、AIの答えが変わる。
それだけのことだった。でもそれだけのことが、今まで抜けていた。
視点が変わった
なぜそうなったのか。この日、視点が変わっていた。
今まで目の前のAIとのやり取りにいっぱいいっぱいだった。
でもこの日は違った。一歩引いて全体が見えていた。どこに何を入れるか。何が返ってくるか。その先まで見えていた。
例えるなら、将軍が戦局を碁盤の目で見るように、AIとのやり取りを俯瞰で見られるようになった。
これは普段から、仕事や日常生活で自分が心掛けていることだった。
AIを使う時も同じだった。
vol.1でこう書いた。
一般:[AI]→使えないもの
自分:[経験と知識]→[AI]→使えるもの
あのとき見えていたのは、何を入れるかだった。
今回わかったのは、どう見てどう入れるかだった。知人に見せたから気づいたわけじゃない。その見方が、自分の中になかっただけだった。
渡し方で返ってくるものが変わる。誰かのテクニックを真似しても、入れるものの質が変わらない限り、出てくるものは変わらない。
そういうことだったのか、と思った。
正直な現在地
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収益:1,700円
クラウドワークス:登録完了・案件待ち
ココナラ:サービスページ公開中・問い合わせ待ち
X:フォロワー390人・広告ツールとして運用中
note:フォロワー1,000人・主戦場
有料記事:公開済み・全面アップデート済み
AIとのやり取り:工程ごとに分けて管理中
noteシリーズ:vol.20まで公開完了
サンプルマニュアル:Ver3.0に改訂済み
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数字はまだ小さい。でも、視点が変わった。それだけで、次が変わる。
(vol.21に続きます。)
👉シリーズ記事はマガジンにまとめてあります。
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