退職後の居場所を求めてNDロードスター(MT)を試乗した話
↑こちらの続きになります。
私は52歳男性です。この年齢の健康余命って72歳から73歳だそうです。健康で動けるまで、あとちょうど20年です。長いですか?短いですか?
何と比較しましょうか。今までの人生の何歳から何歳を切り取るかで感覚は変わるかもです。中学校入学(13歳)から33歳までと比較すると、あっという間だと思いますね。この20年を思い出してみてください。
中学・高校・大学、就職、結婚…人生の最も濃密な時期だったはずです。その20年が「あっという間」だったなら、これからの20年も同じです。
あと、20年で寿命というわけでは無いけれども、健康では無くなってくるよと…
クルマを買わなければ、お金はいくらか貯まるでしょう。でも、それで何が潤うのか?天秤にかけるとお金を貯めるだけよりも、有益な使い方をしたい。ロードスターは車両本体価格で300万円台からあります。
移動手段では無く、所有する事によって得ることの出来るコミュニティへの入口の権利。それを膨らませて維持していく楽しみ。
前回のAT試乗で、ロードスターの楽しさは確認できました。でも「本当にMTでなくていいのか?」という問いが頭から離れません。オーナーコミュニティの多くはMT派だとも聞きます。今回は、その答えを探しにMT車の試乗予約を入れました。前回とは別のディーラーです。
今回も直接ディーラーさんに電話して予約をしました。電話時点で対応が前のディーラーさんと異なります。試乗手続きだけでは無く、検討している事への感謝みたいな発言が単純に嬉しい。
さて、ディーラーさんに到着しました。実はAT試乗のディーラーさんは『黒マツダ』でした。黒マツダというのは店舗外観を黒に統一して、高級感のある外観をした店舗です。今回のディーラーさんは昔からある、白が基調の店舗。でも、店舗に入れば複数の方が立ち上がり挨拶をしてくれます。前回とは大違い。営業の方もにこやかな感じです。
話もそこそこに、試乗です。運転席の狭さは前回通り。ただびっくりしたのが、アクセルかと思ったところが実はブレーキでした。アクセルペダルがかなり右側に位置しているなぁと感じました。シフトレバーは短くてスッキリ。さて、クラッチ切ってエンジンスタートして、約15分間くらいでしたか、運転してました。MT車は教習車以降、実に32年ぶりです。きっちりとエンストを2回しました…。
ディーラーの営業さんは慣れですよとは仰ってましたが、試乗を終えて私の答えは出ました。
ATでいく、と。
正直に言います。MTは私には「修行」でした。エンストへの恐怖で、せっかくの楽しさが半減してしまう。
慣れれば大丈夫なのは分かります。でも、その「慣れるまでの期間」を楽しめる自信が、52歳の私にはありませんでした。
そして、これは完全に私個人の事情なのですが…
外反母趾で4Eの幅広靴を履いている私には、クラッチペダルとフットレストの位置関係が致命的に合いませんでした。クラッチを切るたびにフットレストが引っかかり、繋ぐときも干渉する。気になって気になって仕方がない。これも「慣れ」で解決するのかもしれませんが、運転中ずっとストレスを感じるのは、私の求める「楽しさ」ではありません。
そして最後に、現実的な理由がもうひとつ。妻はAT限定免許です。もし私が体調を崩したとき、長距離ドライブで疲れたとき、妻に運転を代われない車では、楽しみ方に制約が生まれます。今はあんまり妻はこのクルマには興味はありませんが、「二人で楽しむ」という可能性を残しておきたい。
コミュニティに入ったとき、「え、AT?」と言われるかもしれない。正直、その瞬間を想像すると、少し気後れします。でも、私の目的は「MT操作の技術を磨くこと」ではなく、「車を通じた人とのつながり」です。
ATでも楽しんでいる自分の姿を、堂々と見せればいい。そう思うことにしました。
営業の方はMTを勧めてくださいましたが、私の考えを丁寧に聞いて、最後には「お客様にとって一番楽しめる選択が正解です」と言ってくれました。前回の「黒マツダ」との対応の違いが、ここでも際立ちます。この人から買いたい。その気持ちは、さらに強くなりました。
さぁ、試乗が終わりこれから商談です。営業さんと話して決めていくのですが、グレードはある程度は予算と相談みたいなで、ある程度決まるんですが、オプション決まらん、クルマの色すらも決まらん。
なぜこんなに決められないのか。
理由は山ほどあります。
・52歳の自分が乗っている姿は、どう見えるのか
・街中で注目されたときの自分の気持ちは
・他のオーナーと色が被ったら、どう思うのか
・そもそも、何色が一番「自分らしい」のか
考えれば考えるほど、決断から遠のいていきます。
営業の方の時間も気になりつつ、とりあえず「これで」と決めて、見積もりをもらいました。
見積書を握りしめて家路につきました。
妻にどう説明するか、予算は本当に大丈夫か、色は何色にするか…
決めなければならないことは、まだたくさんあります。
でも、ひとつだけ確信していることがあります。
それは、「ATロードスターを、あの営業さんから買う」ということ。
あとは、勇気だけです。
52歳の、人生後半戦の楽しみ方を決める勇気。
