【ショートショート】『紙に踊らされる國』(リライト版)
政府主導の「働き方改革」の一環で、ペーパーレス化が徹底された。
稟議書片手に一日中スタンプラリーをする必要がなくなった反面、世の中には大量の紙が余ってしまった。
「ちょっと! この大量の紙、どうしてくれるんですか?!」
鳴りやまない製紙会社からの電話を前に、政府は頭を抱えた。
かつてマスクを大量に作ってしまった時のように、今度は紙の使い道を考えねばならぬ。
うず高く積まれた紙の山に囲まれて、首相の悲痛なつぶやきが聞こえる。
「誰か……助けて……国民に気付かれないように余った紙を上手に処理して……おねがい」
結果、ある新規事業が開始された。
『ビリビリ喫茶』──通称ビリカフェだ。
◇◇◇
ビリカフェは予想以上にバズった。
ワンドリンク制で30分の間、紙をビリビリし放題だ。
もちろん、ビリビリした紙を掃除する必要なんてない。
破って散らかしてスッキリする。それだけ。
とにかく国民は、気が狂ったように紙を破った。
こんなに皆ストレスをため込んでいたとは。政府も驚くほどだった。
そんなビリカフェブームに乗っかって、非合法な裏ビリカフェも多数現れた。
中でも、破った紙をコスプレ美女に投げつけてもらえる『ビリ学園』は、密かに連日行列ができる賑わいを見せた。
裏ビリカフェにはまりすぎて借金を重ね、パートナーに離婚届を投げつけられるなんて話もよく聞くようになった。
◇◇◇
またビリカフェの誕生を特に喜んだのは、『タウンページニキ』と呼ばれる者たちだった。
ペーパーレスのせいで破る対象を失い、生きる気力すら失いつつあった『タウンページニキ』たち。
そんなニキたちの筋肉が再び目を覚ましたのだ。『タウンページニキ』の快進撃は凄まじかった。
あっという間に、紙の在庫が尽きる店が続出した。
需要と供給のバランスが崩れ、貴重な紙を高値でビリカフェに横流しする業者も現れる始末。
こうなると本末転倒だ。
『タウンページニキ』たちの悲痛な叫び声が聞こえる。一旦閉じ込めていた欲望に再び火をつけられた彼らを誰も止めることはできない。
「もっと紙を! もっと破らせてくれぇ!!」
理性を失い紙を破り続けるニキたちの姿は、瞬く間にネットで全世界へ拡散された。
こうして、かつては『神の住まう國』と呼ばれた我が国も、いつしか『紙に踊らされる國』と揶揄されるようになった。
(958字)
豆島さん、マスクドnote3での感想をありがとうございました。
めちゃくちゃ嬉しかったです😆
めちゃ面白かったです。
面白いけど、お父さんが首相ってのもぶっ飛んでいるし、さらに「あぁ、そういうとこが嫌だったんだ。」という反抗期じゃないけど、大人になる息子が素敵だし、そしてラスト
”いつか父を支えられるくらい、色んな経験をして成長するまで。"
「超える」んじゃなくて「支える」✨
父親と息子の話、素敵だなぁ~ と感動いたしました。
副賞があるとのことで、こちらの作品でお願いしたいです✨
昨年の『秋ピリカ』に出したものなのですが、久しぶりに読み直してみると、思いのほか荒ぶってたのでリライトしました😂
元記事はこちらです▼▼▼
ちなみに当時は何がなんでも「なんのはなしですか」を付けたくてオチに持ってきていたのですが、めろさんからのコメントで「なんはな」要らないって言われたんですよね🥹
そして改めて読んだら、確かに余計だったな、と思ってそっと消したのでした🤣
豆島さんに読んでいただけるだけでも嬉しいのですが、感想もいただけるなんて楽しみすぎます。急ぎませんのでよろしくお願いします😊

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サポートいただきありがとうございます😊嬉しくて一生懐きます ฅ•ω•ฅニャー