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会社の会議はなぜ決まらないのか──現場で見えてきた「意思決定が止まる構造」

※全体像から読みたい方は、こちらの入口記事からどうぞ。
「属人化と人材不足を生む“経営停滞”」

※はじめての方はこちら
withchatとは?(自己紹介)



会社の会議を見ていると、
「なぜこんなに決まらないんだろう」
と思うことありませんか。

議論はある。
説明もある。
でも、なかなか決まらない。

私は普段、会社の意思決定の構造について書いています。

すると時々、こう聞かれます。

「どうして、そんなに見えるんですか?」

特別な勉強をしたわけでも、MBAを取ったわけでもありません。

ただ、振り返ってみると、長いあいだ
会社の意思決定の現場を観測する仕事をしてきました。

結果として、「会社が止まる構造」が、
だんだん見えるようになっていきました。

今日は、その話を少し書いてみます。



損保という「判断の会社」

私の最初のキャリアは、損害保険会社でした。

保険会社という業界は、基本的にこういう構造です。

すべての判断には基準とマニュアルがある。

案件は基本的に、

事実確認

約款・マニュアル

判断

という流れで処理されます。

つまり、

判断基準が文章化されている世界です。

約款
マニュアル
手順
判断フロー

誰が対応しても、同じ基準で判断する。
それが前提になっています。

それが当たり前の世界でした。

だから社員は自然と、

「この事象は、どの基準に当てはまるのか」

という思考になります。

いわば、
判断の構造が最初から設計されている世界


是正案件で見た「混乱の現場」

損保時代、会社全体で是正対応が続いていた時期がありました。

2005年前後に発生した保険金不払い問題です。

金融庁が保険会社全社に対し、

・説明義務の強化
・支払い管理体制の整備
・保険業法や監督指針の見直し

などを求めました。

問題が見つかる。
是正が入る。
ルールが更新される。

ただ、その当時はまだ
是正のマニュアルが整っていない状態でした。

マニュアルが整備されていないまま、
現場は動かなければならない。

決まりは、五月雨式に降りてきます。

現場では

「これはどう処理するのか」
「どの書類が必要なのか」

そのたびに判断しなければなりません。

私がいた部署は、特に是正案件が多い部署でした。

その結果どうなるかというと、

・対応が人によってバラバラになる
・書類の流れが分からない
・誰が判断するのかも曖昧

現場は、かなり混乱していました。

私は通常業務を行いながら、
是正対応のメイン担当を任されることになりました。

当時やっていたことは、
特別なことをしていた感覚はありません。

ただ、

・書類の流れを可視化する
・どこで詰まるのかを見る
・支社内でマニュアルを共有できるようにする

そういう整理をしていました。

感覚としては、
交通整理をしている感じでした。

混乱している流れを見て、
詰まっている場所をほどき、
流れを作る。

ただそれをやっていただけです。


別の会社に入って驚いたこと

その後、別の会社に入ったとき
私は一つのことにかなり驚きました。

それは、

判断基準そのものが言語化されていない。

ということです。

何か問題が起きたとき、

基準

判断

ではなく、

状況

上司に相談

空気

なんとなく判断

この流れで意思決定が動いていることが多かったからです。

しかもその判断は、

文章にも残らない。
共有もされない。

あるのは

・上司の感覚
・マネジメントサイドの好み
・その場の空気

というケースが多かったのです。

だから同じ問題が、また別の場所で起きる。

これは個別企業の問題ではなく、
構造の問題だと感じるようになりました。

※マニュアルがあっても機能していないことに関しては、
こちらの記事で触れています。
▶なぜ経営改善は元に戻るのか?


営業として見た「たくさんの会社」

その後、営業の仕事をするようになり、
さらに多くの会社の会議に参加する機会が増えました。

不動産会社
店舗ビジネス
サービス業
飲食業
そして財閥系を含む大企業まで。

さまざまな企業の人と会い、
名刺交換だけでも数百人規模になります。

毎週のように他社との会議に参加し、
多くの担当者や経営者と話をしました。

実は、営業時代に使っていた名刺ケースは
気づけば 4箱以上になっていました。

正確に数えたことはありませんが、
おそらく 500〜600人くらい とは名刺交換していると思います。

業界も、会社規模も、役職もバラバラです。

それだけの会社の会議や
意思決定の場面を見ていると、

自然と見えてきたことがあります。

会社ごとに文化は違う。
規模も違う。
業界も違う。

それでも、

意思決定の詰まり方には、共通のパターンがある。

ということでした。

会議はある。
議論もある。
でも、

決断だけが起きない。

誰が判断するのか曖昧。
基準も曖昧。
責任も曖昧。

そうすると、人はどう動くのか。

空気を読む。
摩擦を避ける。
判断は先送りになる。

結果として、

会議は増えるのに、決断は増えない。

そんな場面を、何度も見ました。


会社が止まるとき

会社が止まるとき、
能力不足が原因のことは、実はあまり多くありません。

多くの場合、起きているのはこれです。

誰が決めるのか分からない
判断基準が共有されていない
責任の流れが曖昧

つまり、

意思決定の構造が見えない。

この状態を、私は

「判断構造の霧」

と呼んでいます。
判断はあるのに、判断の構造が見えない状態です。


会社批判ではありません

記事を書いていると、
会社を批判しているように見えることがあります。

私は会社を批評したいわけではありません。

むしろ逆です。

会社の中で働く人たちは、
多くの場合とても真面目です。

一生懸命働いています。

誰が悪いわけでもなく、

それでも組織が止まるとき、

そこにあるのは能力の問題ではなく、

構造の問題

であることが多い。

ただ

判断主体
責任の流れ
意思決定の前提

が言語化されていないだけ。

私は長い間、

会社の意思決定の現場を見続けてきました

提案内容を決める現場。
是正が必要になった現場。
営業として関わった現場。

そういう場所で、

「どこで判断が止まるのか」
「なぜ流れが詰まるのか」

それを観測し続けてきただけです。


経営OSという視点

会社が止まる多くの場合、

会社にはそれぞれ、

・誰が決めるのか
・何を基準に判断するのか
・責任はどこに流れるのか

という

無意識に使っている
意思決定の前提構造

があります。

その観測を言葉にしたものが、

経営OS

という考え方です。

多くの会社では、
このOSが言語化されていません。

この構造が曖昧なままだと、
人は判断できなくなります。

どんなに優秀な人がいても
組織は動きづらくなります。

その結果、会社はゆっくりと停滞ではなく、
相対的に後退していきます。


私がやっていること

今、私がやっていることはとてもシンプルです。

会社や組織で起きている

違和感
停滞
混乱

これらを、
構造として観測し、言語化すること。

混乱している流れを見て、

散らばっている前提を整理する。
見えていない構造を言語化する。

損保の是正案件でやっていた
あの「交通整理」と、

実はあまり変わりません。

ただ今は、書類の流れではなく、

意思決定の流れ

を整理しているだけです。

言い換えると、

思考と意思決定の交通整理

のようなものです。

損保の現場でやっていたことも、
営業で見てきたことも、

振り返ってみると、
全部同じことだったのかもしれません。


結論

だから私は、
会社を評価したり、批評したりすることにはあまり興味がありません。

興味があるのは、
なぜその流れが起きているのか
という構造の方です。

意思決定は、個人の能力だけで起きるものではありません。

多くの場合、
その会社が無意識に使っている
判断の前提構造(経営OS)の中で起きています。

だから、
会社を変えようとするよりも先に、

会社がどんなOSで動いているのか

を知ることが大切だと思っています。

withchatには、これまで観測してきた会社の構造や、
意思決定が止まる仕組みについて、少しずつ整理して書いています。

もし、
あなたの会社でも似たような違和感を感じている方がいれば、

その違和感は、
個人の問題ではなく構造の問題かもしれません。

構造は、善意や努力では動かないからです。

どこかの話が、
ヒントになることがあれば嬉しいです。


🏢 経営の停滞を、設計から見直したい方へ

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会議・KPI・制度が揃っているのに前に進まない。
その背景にある“前提構造”を整理しています。


💼 社会や仕事に違和感がある人へ

▶努力大国・日本の正体──AI時代、決めない社会の静かな恐怖

ちゃんと働いている。
責任も果たしている。
周りも悪くない。

でも、なぜかずっと疲れている。

帰り道のエレベーターで、
「このままでいいのかな」とだけ浮かぶ。

このまま5年経っても、
景色は同じかもしれないと、どこかで気づいている。



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