読むとはどういう行為か?ロラン・バルトの文学理論を中心にテクストを捉えなおす │ 哲学ラジオ
本シリーズは哲学科卒の私うぇいが、哲学っぽい話題をざっくり解説する音声コンテンツです。
今回は、「読む」という行為の本質について探りました。フランスの哲学者ロラン・バルトの文学理論、テキストと読者の関係、そして読むことと会話の関係についてもお話ししました。ロラン・バルトによると、読むことは読み手とテクストの共同作業であり、一意な解釈ではなく多様な読みこそ本質なのです。
話すスピードがゆっくりに感じられる方には、倍速視聴がおすすめです。
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▼主な内容
読むことはただ単に情報を受け取るという受動的な行為なのではなく、読むことによって初めてテクストの価値が生じてくるような、積極的な行為である
テキストとは多様な要素が絡み合って成立しており、それにより多様な読みが生まれる
テクストは誤解を生み、会話は誤解を生むことがある。ただそのことが、「他者」との出会いに他ならない
導入と本動画のテーマ
皆さんこんにちは。この番組では大学で哲学を学んだ私ウェイが、哲学的なトピックを中心に語っていきます。今回は、フランスの思想家や哲学者の文学理論を中心に、「読むとはどういう行為なのか」について考えていきます。
「テクスト」という概念
読む行為を捉え直す上で非常に重要なのが「テクスト」という言葉です。元々この言葉は「織物(テクスチャー)」から来ており、文章とは単なる文字の羅列ではなく、過去の引用や多様な価値観、文学技法など、様々な要素が複雑に絡み合って組織されたものであることを意味しています。20世紀後半のフランスを中心に、この「テクスト」という言葉を掲げて「読む」行為を捉え直そうとする運動が起こりました。
ロラン・バルトの文学理論(読むことは共同作業)
従来は、「絶対的な創造主としての作者がおり、読者はその作者の意図(たった1つの正解)を正確に読み取る」という、現在の受験国語のような受動的な読書観が一般的でした。
しかし、フランスの批評家ロラン・バルトはこれに反対し、「読むとはテクストと読者の共同作業である」と主張しました。テクストは読者が読みに来て初めて価値が生まれるものであり、読み手の向き合い方次第でテクストの現れ方は多様に変化するのです。
実演:『桃太郎』の多様な読み方
例えば『桃太郎』のような誰もが知る物語でさえ、多様な読み方が可能です。
プロップの理論を用いて「欠如した老夫婦への授与、鬼退治という試練、犬猿雉という援助者」といった物語の構造として読むこともできれば、ポストコロニアル批評の視点から「鬼=外国人や異文化の人とみなし、討伐と略奪を正当化している」と批判的に読むことも、あるいは鬼側の視点から描き直すこともできます。
内在的な読みと外在的な読み
文学理論においては、テクストの読み方に大きく2つのアプローチがあります。
1つは、書かれた文章だけを徹底的に追い、どれだけ整合的に読めるかを試す「内在的な読み」です。もう1つは、その文章が書かれた社会情勢や著者の経歴など、テクスト外部の要因も踏まえて解釈する「外在的な読み」です。これら両方の読み方ができるようになると、解釈の幅が大きく広がります。
「誤読」の豊かさ
クリエイターや作者は「自分の意図を100%誤解なく伝えたい」と願いがちですが、それは不可能です。どんなコンテンツにも必ず矛盾や曖昧さ、説明が繋がらない不連続な隙間が紛れ込みます。
しかし、そうした読者が「突っかかる箇所」や「誤読の可能性」こそがテクストを豊かにし、自分とは異なる他者と出会う面白さを形作っているのです。
振り返りとエンディング(対話への応用)
「読む」という行為は、テクストと共に非常に積極的でアグレッシブに行う創造的な行為です。これは文章を読む時だけでなく、生身の人間と対話する時も同じです。
誤解やすれ違いが生じたり、相手の無言を解釈しようとしたりする中で、自分とは異なる「他者」の存在と向き合うことになります。それこそが、この世界の豊かさを形作っていると言えるのではないでしょうか。
もし今回の内容が面白かったら、チャンネル登録と高評価をお願いします。それではまた次回の動画でお会いしましょう。
▼使用文献
土田知則・神郡悦子・伊藤直哉『ワードマップ 現代文学理論―テクスト・読み・世界』新曜社、1996年
〇「桃太郎」のアイデア出し
▼関連・参考文献
亀井秀雄監修・蓼沼正美著『超入門!現代文学理論講座』ちくまプリマー新書、2015年
瀬田貞二『幼い子の文学』中公新書、1980年
佐藤和哉『〈読む〉という冒険──イギリス児童文学の森へ』岩波ジュニア新書、2022年
三原芳秋他『クリティカル・ワード 文学理論──読み方を学び文学と出会いなおす』フィルムアート社、2020年
野家啓一『物語の哲学』岩波現代文庫、2005年
石川美子『ロラン・バルト──言語を愛し恐れつづけた批評家』中公新書、2015年
]廣野由美子『批評理論入門──『フランケンシュタイン』解剖講義』中公新書、2005年
ジャック・デリダ『グラマトロジーについて(上)』足立和浩訳、現代思潮新社、2012年
ジャック・デリダ「白い神話──哲学テクストのなかの隠喩」『哲学の余白 下〈新装版〉 』放送大学出版局、2022年
宮﨑裕助『読むことのエチカ──ジャック・デリダとポール・ド・マン』青土社、2024年
三谷宏治『戦略読書 増補版』日経ビジネス人文庫、2020年
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▼関連動画
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