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ネットで立ち読み|久保明教『内在的多様性批判』序論 このバラバラな世界をバラバラなままつなぐために

口上

天明を知るはずだった頃、僕は〈脱構築〉にどこか物足りなさを感じていた。
そんな2019年、〈存在論的転回〉という言葉に出会う。
「じゃないじゃない」から解き放ってくれる何かを求めて、文化人類学を読み始めたのがきっかけだった。
それ以来、デカルト的な二元論を超える〈存在論的転回〉の視点が自分にしっくりくるようになった。
そして今回、その〈存在論的転回〉をさらに深く掘り下げてくれる本が登場したという。
まずは本を買う前に、ネットで立ち読みしながら読書ノートを作ってみることにした。

1. 論点整理 ✍️

● 「バラバラな世界」とは?

• 久保は、現代の「多様性」には二つの様相があると指摘します:
1. 選択できる多様性:消費社会的で、ランキング・価格といった外的評価で担保される多様性。
2. 飛び移る多様性:人類学的なフィールドワークのように、慣れない異文化に身体的・感情的に飛び込む経験。 

● 矛盾する多様性の「規範化」

• SNSや監査文化を通じて、多様性は推奨されつつも、実は一定の基準(「いいね」「評価」)によって抑圧されるという逆説的な統治構造が生まれる。 

● 「内在的多様性批判」の目的

• 多様性そのものを過剰な規範に還元せず、「バラバラなまま」繋げる思考の道筋を探る批判的姿勢。
• ポストモダン批判以降の人類学の議論—特に「存在論的転回」を再検討し、それを多様性の内在的理解に活かそうとする試み。 

2. 用語解説

用語 意味と文脈

選択する多様性 消費社会的な多様性。選ぶ自由があるように見えるが、ランキングなど外部評価が前提。
飛び移る多様性 異文化への直接的な経験。身体や感情が変化しうる、人類学的フィールド体験に根ざす。
規範的多様性 社会や企業が推進する「ダイバーシティ」キャンペーン的多様性。基準化された「良い多様性」。
多様性による統治 多様性を推奨することで逆に個々の選択を形式化・監視し、秩序化する社会制度。
ポストモダン人類学 異文化理解がもはや客観的でないことを自覚し、表象としての「民族誌」を批判する潮流。
存在論的転回 2000年代初頭に人類学で「文化」や「社会」を実在する存在として捉え直す動き。ワグナー、ストラザーンらが中心。


3. 批判分析

◉ 「規範的多様性」と「内在的多様性」の衝突

• 一見許容的な多様性推進(例:SNSでの表現自由)は、実は評価システムに従属し、行動・思考を均質化する強制として機能。
• 久保はこれを、人々が多様性を追求しながら、無意識に同質化に向かう構造として「多様性による統治」と呼びます。 

◉ 「バラバラをつなぐ」方法の思考

• 客観規範なしに異なる存在を関係づけるにはどうすればいいか。久保はポストモダン/存在論的転回人類学の議論を素材に、その可能性を描きます。
• 単なる異文化の相対化(ポストモダン)を超え、各存在の「ありのまま」から切り出される多様性同士の接続に道を拓こうとする試みです。

◉ 初学者への配慮:美学・写真など視覚文化との接点

• 写真やアートで「多様性」はしばしば美的に称揚されるが、その美しさは世界のバラバラさを隠すマスクにもなる。
• 久保の問いは、「多様であること」をただ美しく見るのではなく、それぞれの存在を「バラバラのまま」どう観るか、つまり芸術表現の方法についても示唆します。

まとめ

1. 論点整理

• 「多様性」の二面性(選択 vs 飛び移る)と、その規範化のメカニズムを暴く。
• ポストモダンから存在論的転回への学術的流れを通して、「バラバラなものたちの接続」を試みる。

2. 用語解説

• 消費的多様性と、身体的経験に根ざす異文化理解という二層を区別。
• 多様性が「統治」装置となる構造と、内在的批判の方向。
3. 批判分析
• 多様性への肯定は表面であって、実際には規範による抑圧を伴う点を批判。
• 芸術・美学との接点では、「多様であることの見方」を問い直す視座を提供。

初学者へのコメント

• 思考の「梯子」を外す:単にランキング上の多様性を並べるのではなく、「どう繋ぐか」を問いかける。
• 表現としての多様性:例えば写真や絵画では、「見る人が何を感じ取るか」に依存する多様性そのものへの問いかけとして重要。
• これから読む人へのアドバイス:序論は理論と具体の往還が巧み。後半章に進むほど、事例豊かな論者たちとの対話が展開され、理解が深まります。



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