50代からの仕事づくりは、速さより続けられる形が大事だった
教員を退職したあと、早く次の仕事を形にしたいという気持ちがありました。
それまで当たり前にあった「教員」という肩書きがなくなり、自分はこれから何をする人なのか、すぐに答えを出したいと思っていたのかもしれません。
SNSを開けば、
「最短で収益化」
「まずは行動」
「迷っている時間がもったいない」
という言葉が目に入ります。
たしかに、動いてみなければわからないことはあります。
考えているだけでは、仕事につながらないこともあります。
ただ、50代から仕事をつくるとき、速く進むことだけを目標にすると、少し苦しくなることがあります。
退職後の仕事を続けるなかで大切だと感じたのは、速さよりも「無理なく続けられる形」でした。
「できる仕事」と「続けたい仕事」は同じではなかった
一時期、周囲から期待され、これまでの経験を活かせる仕事を引き受けていたことがあります。
自分にもできる。
これまでの経験も役に立つ。
相手からも必要とされている。
条件だけを見れば、続ける理由は十分にありました。
けれど、取り組んでいるうちに、自分の中から「ワクワクする感覚」がなくなっていることに気づきました。
仕事ができないわけではありません。
経験が活かせないわけでもありません。
それでも、このまま続けるのは、自分にとっても相手にとってもよくないのではないかと考え、退かせていただきました。
この経験から、
「できる仕事」と「続けたい仕事」は、必ずしも同じではない
と感じるようになりました。
期待されることは、ありがたいことです。
自分の経験を必要としてもらえると、うれしくもなります。
ただ、期待に応えられるからという理由だけで続けていると、少しずつ自分の気持ちが置き去りになることがあります。
50代から仕事をつくるときには、
「経験を活かせるか」だけでなく、
「この仕事に、もう一度取り組みたいと思えるか」
も大切な目安になるのだと思います。
仕事が増えることと、仕事が育つことは違う
現在、私は教材制作、文章作成、Web講座づくり、校正・校閲、生成AIの活用などに関わっています。
最初から、今の仕事の形が見えていたわけではありません。
声をかけていただいた仕事に取り組む。
必要なことを学ぶ。
実際にやってみて、自分に合うかを確かめる。
そうしたことを繰り返しながら、少しずつ今の形になってきました。
仕事が増えるとうれしい。
新しい依頼をいただくと、期待に応えたいと思う。
でも、引き受ける仕事が増えることと、自分の仕事が育つことは同じではありません。
仕事を増やしすぎて余裕がなくなれば、丁寧に取り組めなくなります。
自分の気持ちが動かない仕事ばかりを続ければ、経験を活かせていても負担になっていきます。
だから、「できるかどうか」だけではなく、
「この形で続けられるか」まで考える必要があると感じています。
続けられる形は、人によって違う
続けられる仕事の形に、ひとつの正解はありません。
毎日、決まった時間に働く方が安心できる人もいます。
複数の小さな仕事を組み合わせたい人もいます。
人と関わる仕事と、一人で集中する仕事を両方持ちたい人もいます。
大切なのは、誰かの成功例をそのまままねることではなく、自分の生活や体力、気持ちに合う形を見つけることです。
試行錯誤を重ねて、現在は以下の目安で新しい仕事を受けるかどうかを決めています。
どれくらいの時間なら、無理なく使えるか。
どんな仕事なら、自分らしい丁寧さを保てるか。
その仕事に取り組むことで、ワクワクするか。
どれほど収入になりそうでも、続けるたびに心身を消耗する仕事は、長く育てるのが難しくなります。
反対に、最初は小さな仕事でも、無理なく続けられるなら、経験や信頼を少しずつ積み重ねられます。
小さく試してから決めてもいい
50代になると、これまでの経験がある一方で、若いころと同じようには動けない部分も出てきます。
使える時間。
体力。
家族や生活とのバランス。
それらを無視して、仕事だけを大きくしようとすると、どこかに無理が出てきます。
最初から完成したサービスをつくらなくてもいい。
まずは、一人の相談に乗ってみる。
短い文章を整えてみる。
小さな資料をつくってみる。
得意なことを、身近な人に伝えてみる。
実際にやってみると、
「ここまでは無理なくできる」
「この部分は思ったより時間がかかる」
「この仕事、面白そうだ」
ということが見えてきます。
小さく始めるのは、失敗しないためだけではありません。
自分が続けたいと思える仕事かどうかを、確かめるためでもあります。
速く進むより、やめずに育てられる方へ
前回の記事では、仕事の種は、これまで何度も頼まれてきたことの中にあるかもしれないと書きました。
その種を見つけたら、すぐに大きく育てなければならないわけではありません。
経験を活かせる仕事であっても、自分の気持ちがついてこないことがあります。
反対に、最初は小さくても、「またやりたい」と思える仕事もあります。
大切なのは、仕事の大きさや進む速さだけではありません。
今の生活の中で、無理なく続けられるか。
自分らしい丁寧さを保てるか。
その仕事に取り組むことで、ワクワクするか。
そうしたことを確かめながら、仕事の形を少しずつ整えていく。
50代からの仕事づくりでは、速く結果を出すことよりも、自分がやめずに育てられる形を見つけることが大事なのだと思います。
仕事は、一度つくったら完成するものではありません。
実際にやってみて、少し直す。
続けにくければ、形を変える。
ときには、続けないと決める。
それも、仕事づくりの一部です。
遠回りに見えても、自分が続けられる形を探す時間は、これからの仕事を育てるために必要な時間なのだと思います。
次回は、シリーズ4本目として、
「50代の経験を、仕事の言葉にしてみるために」
というテーマで書きます。
これまでの経験を、単なる経歴ではなく、
「何を頼める人なのか」が相手に伝わる言葉に変える方法を考えます。
同じように、50代からの仕事づくりを焦らず考えてみたい方は、フォローしておくと続きが追いやすいと思います。
