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「誰のために」書くべきか(『庭の話』の一年を振り返る)


今日は『庭の話』について、少し振り返りたい(もうすぐ発売から1年なので)。この『庭の話』はたぶん僕の代表作になる本で、個人的にもかなり手ごたえのあるものに仕上がった。

この自己解説にあるようにこの本は僕のこの数年の集大成のような一冊で、かつ「庭プロジェクト」や「宇野書店」はこの本の理論の実践だ。

実際に読者の反応もよく、そして3000円以上する高い本にもかかわらず20000部以上部数も出て……つまりセールスも上々で良いことずくめじゃないか……そう、読者のみなさんからは見えているかもしれない。しかし、実際はここまで来るのは本当に大変だった。というか、苦労させられた。書いている間もそうだったけれど、むしろ出したあと、こんなに苦労させられた本は他にはなかった。

『庭の話』は実のところ不遇な本で、以下にまとめたように発売当初は版元から冷遇されて、予約開始からかなり売れているのにほとんど増刷されず、12月発売なのに1月いっぱい丸々品切れしていた。僕はこのペースだと絶対に品切れになるので、余ったら僕が買い取るからもっと増刷して欲しいとまで言ったのに、却下された。その結果発売直後に一カ月近く品切れするというとんでもない機会喪失に見舞われた。

また当時の担当がなぜか、事前に打ち合わせして決めていたプロモーションをほとんど動かしておらず、連載が掲載されていた雑誌に発売月に紹介すら出ず、担当部署のSNSもほとんど告知しなかった。

読者のみなさんは逆に、この時期ガンガン『庭の話』が話題になっていた印象があると思うけれど、それは品切れ前に買って読んでくれた人がたくさん「面白い」と感想を投稿してくれたのと、僕が直接窓口になってYouTubeやウェブマガジンの取材を受けまくっていたからだ。ピボットやTBS DIG、ニュースコネクトなどが大きかった。これは、すべて『庭の話』に興味を持った媒体が僕個人に連絡をくれて出演したものだ。

帯に推薦文をくれた安宅和人さん、國分功一郎さんをはじめ、仲間たちのプッシュもありがたかった。僕は論壇の党派や大学のバックもないし、権威筋からはやっぱり疎まれているというか、僕みたいな仕事の仕方をしている在野の書き手はなかなか認められない。だから、普段は書評の類は売れている本でもほぼ出ないのだけと福嶋亮大さん、酒井信さん、三宅香帆さんなどの新聞書評、篠田真貴子さんや太田直樹さんのブログ記事などにとても助けられた。

そして何より新宿紀伊國屋、青山ブックセンター、代官山蔦屋、ブックファースト新宿などの書店さんのプッシュが大きかった。

まとめると『庭の話』は版元や権威筋からは冷遇されたけど、ずっと仕事をしてきた仲間との横のつながりと読んでくれた人の口コミでヒットした本だと思う。

個人的的に内容も手応えがあったし、値段が高い本なのにかなり部数も出た。しかし何より、自分が何に支えられている書き手なのか、よく分かった仕事だった。それが一番の財産だと思う。

その上で、いま考えているのはあれから一年、自分がこれからどうするかということだ。

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僕はもはやFacebookやTwitterは意見を表明する場所としては相応しくないと考えています。日々考えていることを、半分だけ閉じたこうした場所で発信していけたらと思っています。

宇野常寛がこっそりはじめたひとりマガジン。社会時評と文化批評、あと個人的に日々のことを綴ったエッセイを書いていきます。いま書いている本の草…

僕と僕のメディア「PLANETS」は読者のみなさんの直接的なサポートで支えられています。このノートもそのうちの一つです。面白かったなと思ってくれた分だけサポートしてもらえるとより長く、続けられるしそれ以上にちゃんと読者に届いているんだなと思えて、なんというかやる気がでます。