「Voicyが新規事業に失敗していた2年間」の記事を読んで思ったこと
※このnoteは2025年3月25日のSpotifyの音源をもとに記事化したものです。
Voicy代表・緒方さんが語る2年間の焦燥と迷走、そしてV字回復への誓い
2025年3月25日、音声プラットフォームVoicy(ボイシー)の代表取締役CEOである緒方さんが、自身のnoteを更新し、過去2年間の事業における苦悩と、そこからの学び、そして今後の展望について赤裸々に語りました。
以下、一部を抜粋して要約します。
27億円の調達、焦燥と迷走
2022年4月、Voicyは27億円という大型の資金調達を発表し、大きな期待を集めました。
しかし、緒方さんは「調達を完了し、さあこれからだと言う時、僕は大きな落とし穴にはまってしまったんです」と当時を振り返ります。
その落とし穴とは、一定規模の会社に成長する中で、数字という目に見える成果を追い求めるあまり、Voicyが創業以来大切にしてきた「パーソナリティファースト」という価値観を見失ってしまったことでした。
資金調達に向けた動きの中で、Voicyは強引なユーザー獲得に走り、インフルエンサーや著名人に対し大量のスカウトメールを送付。
一時的にパーソナリティの数や放送数、課金額は増加したものの、スカウトしたパーソナリティへのケアは行き届かず、放送の継続率は低下。
結果として、「将来の成長を前借りし、その付けを後で払う形になってしまった」と、緒方さんは苦渋の思いを吐露します。
また、リスナーへの新しい放送との出会いを促進するためのアプリのトップページ改修も、期待された効果が得られず、むしろ興味のない放送ばかりがマッチングされるというユーザー体験の悪化を招いてしまったと言います。
組織の機能不全とボイスドラマ事業の失敗
Noteでは、組織の機能不全や、2022年7月にスタートしたボイスドラマ事業の失敗についても触れられています。
詳細、経緯や背景、3つの主な失敗要因が分析されており、過去の過ちを真摯に受け止め、そこから学びを得ようとする姿勢が伺えます。
V字回復への道筋。「ユーザーに喜んでもらう」という信念
最も重要なメッセージが込められているのは、Noteの後半部分です。
赤字が続く現状に対し、ユーザーからの信頼を得る必要性を強調しつつ、手元資金は潤沢であり、当面の間は事業継続に問題がないことを説明しています。
その上で、過去2年間の経験から得た教訓として、「価値ある物に長期的な視点で投資する事の重要性」を挙げ、「短期的な数字の追求よりも、ユーザーに喜んで貰う事が最終的に良い結果に繋がると言う強い実感があります。
これは何と言われようとも、信念として持ち続けるつもりです」と力強く宣言しました。
現在、VoicyはV字回復の真っただ中にあり、パーソナリティが喜ぶ新機能の投入や、収益基盤確立のためのプラットフォーム全体への課金導入も視野に入れているとのこと。
これにより、Voicyの黒字化と持続可能なプラットフォームとしての安定を目指します。
さらに、パーソナリティとリスナーの密な関係性を構築できる機能の強化や、声ならではの温かく人間味溢れるコンテンツを大切にする方針も改めて示されました。社内には多くのアイデアがあり、停滞感はなく、前向きな雰囲気が広がっていると言います。
最後に緒方さんは、「もう一度皆と一緒にVoicyの未来を作って行きたい」「声を透して人々の日常を豊かにし、声を1つの産業として確立する」という力強いメッセージを発信し、ユーザー体験の向上と、パーソナリティとリスナーがより深く温かく繋がれる場所を作ることを約束。ポッドキャスト市場の成長にも触れ、競合ではなく共存しながら、Voicyならではの価値を提供していくと締めくくりました。
ユーザーへの説明責任と今後の具体的な打ち手に期待
この緒方さんのNoteを読み解くと、過去の失敗を真摯に反省し、今後の事業展開に活かそうとする強い意志が感じられます。
特に、西野亮廣さんからのVoicy放送内での強い指摘を受け、ユーザーへの説明責任を改めて意識し始めたのではないかと推察されます。
しかし、記事内でも触れられているように、過去の失敗から得た学びについては、もう少し具体的なタイミングかつ具体的な今後の打ち手をユーザーに説明する機会があった方が良かったかもしれません。
記事内でユーザー(リスナー)が増えているのかどうかや物議を醸した2024Voicyフェスに対する言及は特に無く、パーソナリティ・チャンネル数は増加と書いてありましたが、ユーザーが増えなければあまり意味がないと思っています。
そもそも毎月、誰かしら審査を通している時点でパーソナリティは増えるのは当たり前です。
パーソナリティ目線からの視点でも、この2年間はリスナー心理を理解していないアップデートが多い印象があります。
特に最近のプレミアムリスナー色分けバッジの機能が実装されて以降、あくまで他のパーソナリティさんの放送内での言及や個人的な体感値ですが、Voicyのユーザー離れが顕著に進んでいる気がします。
そして何より、今後のV字回復に向けて、具体的にどのような打ち手を講じていくのか、その詳細こそがユーザーにとって最も関心のある部分でしょう。Voicyのような属人性の強いプラットフォーム運営において重要なのは、ユーザーへの丁寧な説明です。
なぜその施策を行うのか、なぜ今それができないのか。そうした背景をしっかりと説明することで、ユーザーからの理解と共感を得られ、更なる意見交換や議論が生まれるはずです。
新機能のサプライズ要素も時には必要かもしれませんが、Voicyのような一種のコミュニティ的特徴が根強いプラットフォームにおいては、透明性の高い情報開示こそが、ユーザーとの信頼関係を築き、共に未来を創っていく上で不可欠と言えるでしょう。
今後のVoicyが、具体的な施策と丁寧な説明を通じて、更なる成長を遂げることを期待したいと思います。
記事の元となった放送はこちら↓
