可能性を既成概念で制限しない「出る杭は打たれる」 #93
自分の考えを、堂々と言えない。
あるいは、あえて言わない。
そんな空気が、少しずつ広がっているように感じます。
一方で、ネットの世界ではどうでしょう。
匿名であることを盾に、過激な言葉が飛び交う。
リアルでは沈黙し、匿名では攻撃的になる
——この歪さに、違和感を覚えます。
■ 既成概念は、いつの間にか「制限」になる
「出る杭は打たれる」という言葉があります。
目立てば叩かれる。
出過ぎれば制裁を受ける。
この言葉は、ある意味で現実を表しています。
しかし同時に、人の可能性に“見えない蓋”をしてしまう側面もあります。
「どうせ言っても無駄だ」
「目をつけられるくらいなら黙っていよう」
そうして、本来出るはずだった杭が、最初から出なくなる。
それは、組織にとっても個人にとっても、大きな損失です。
■ 私は常に「打たれる側」だった
私はこれまで、正しいと思うことは妥協せず主張してきました。
その結果、降格と左遷をそれぞれ2度ずつ経験しています。
まさに、「出る杭は打たれる」を体現してきました。
ただ、今振り返ると、問題は単純ではありません。
私は「打たれた被害者」だったわけではなく、
打たれる理由を自分で作っていた側面もあったのです。

■ 失敗の本質は「正しさの使い方」
当時の私は、正論をそのままぶつけていました。
現状を否定し、相手のやり方を切り捨てるような姿勢です。
確かに正論は正しい。
しかし、正しいことと、受け入れられることは別です。
既成概念に縛られた組織にも問題はありますが、
相手の立場や積み重ねを無視した伝え方もまた、
新しい可能性を閉ざしてしまいます。
■ 可能性を広げる提案には「順序」がある
試行錯誤の中で、提案には型があると気づきました。
1. 現状を正しく把握する
2. 望ましい状態(自分の提案)を示す
3. 現状とのギャップ=問題を明確にする
4. そのギャップを埋める課題を提示する
この順序を踏むことで、
単なる“否定”ではなく、“建設的な提案”になります。
以前の私は、いきなり理想だけを押し付けていました。
今は、現状を尊重した上で変化を提案するようにしています。
この違いが、受け入れられるかどうかを大きく左右します。
■ 既成概念を壊すのは、一度では足りない
提案が却下されることもあります。
しかし、それは可能性が否定されたわけではありません。
1度や2度の却下で諦めてしまえば、
自ら可能性に蓋をしているのと同じです。
大切なのは、
• なぜ却下されたのかを受け止める
• 原因を検証する
• 改善して再提案する
この繰り返しです。
この前向きな姿勢は、必ず周囲に伝わります。
そして、継続こそが、既成概念を少しずつ動かしていきます。
■ 組織もまた、可能性を制限してはならない
一方で、組織にも責任があります。
「前例がない」
「今までこうしてきた」
こうした既成概念で個人の可能性を抑え込めば、
新しい価値は生まれません。
重要なのは、
• 却下するなら理由を明確にすること
• 改善の余地を示すこと
個人の挑戦を“潰す”のではなく、
“育てる”視点が求められます。

■ 「出る杭」で終わらせない
「出すぎた杭は打たれない」という言葉もあります。
しかし本質は、高さではありません。
問われるのは、その杭に論拠があるかどうかです。
根拠のない主張は、ただの突出です。
しかし、根拠のある提案は、やがて価値になります。
既成概念は、必要なものでもあります。
しかし、それに縛られた瞬間、可能性は止まります。
組織は、可能性を受け止める器であるべきです。
個人は、可能性を磨き続ける責任があります。
「出る杭は打たれる」と恐れるのではなく、
既成概念を乗り越える杭になること。
それこそが、可能性を制限しないということだと思います。
