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視点・視野・視座を変えるマネジメント─リフレーミング #109

人は、無意識のうちに何らかの「フレーム(枠)」の中で物事を捉えています。
そして、そのフレームを意図的に切り替えながら本質を見極める手法が「リフレーミング」です。

マネジメントの世界では、このリフレーミングをわかりやすく表現する比喩として、
虫の眼・鳥の眼・魚の眼・コウモリの眼という考え方があります。

それぞれの「眼」は、単なる視点の違いではなく、それぞれは、意思決定や組織運営の質を左右する重要な思考のレイヤーです。
決して先入観や思い込みの色眼鏡で優劣を決めつけてはなりません。

■ 虫の眼:現場に入り込み、現実を捉える

虫は地面に近い低い視座にいるからこそ、細部を詳細に観察することができます。
この視点は、いわゆる「三現主義」に通じます。
• 現場
• 現物
• 現実

机上の空論ではなく、実際に現地・現物に触れ、事実をもとに判断する。
これが問題解決の出発点です。

つまり虫の眼とは、
主観的でありながら、最もリアルに近い視点だと言えます。


鳥の眼:全体を俯瞰し、最適を考える

一方で鳥は、空高く飛び、広い範囲を見渡すことができます。

現場での最適解が、必ずしも組織全体の最適とは限りません。
部分最適の積み重ねが、全体の非効率を生むこともあるからです。

鳥の眼は、
組織全体を俯瞰し、客観的に最適解を導く視野です。

虫の眼を否定するものではなく、
むしろ両者を行き来することで意思決定の精度は高まります。

この往復こそが、いわゆる「メタ思考」です。


魚の眼:流れを読み、未来を見通す

魚は水の中で「流れ」を感じながら泳ぎます。
この感覚が示すのが、魚の眼です。

現代は「先が読めない時代」と言われます。
しかし、それは「読む必要がない」という意味ではありません。

むしろ重要なのは、
変化の流れを捉え、意思決定につなげる力です。

魚の眼には、次のような力が含まれます:
• 観察力
• 洞察力
• 考察力
• 兆しを察する力

物事を時系列で捉えることで、
「今の失敗が未来の成功につながる可能性」も見えてきます。

これは、経営において欠かせない視座です。

コウモリの眼:常識を疑い、価値を反転させる

コウモリは逆さにぶら下がります。
この特性が象徴するのが、コウモリの眼です。

つまり、
常識を反転させて物事を見る視点。

これまで当たり前とされてきた前提を疑い、
新しい価値や課題を発見する。

いわば、イノベーションの起点となる視座です。

「正解は一つではない」という前提に立ち、
常に視点を揺さぶり続ける姿勢が求められます。


視点は対立ではなく、補完関係にある

これら4つの眼は、それぞれ異なる方向を向いています。
時には、互いに噛み合わないように見えるかもしれません。

しかし、組織においてはどれも欠かせないものです。

重要なのは、
どれか一つに偏るのではなく、状況に応じて使い分けることです。

組織と役割によって求められる「眼」は変わる

従来の日本型雇用では、「適材適所」の考え方のもと、
経験に応じて役割が変化していきます。

その中で求められる視点も変わります。
• 担当者:虫の眼
• マネジャー:虫の眼+鳥の眼
• 経営者:虫・鳥・魚の眼

まずは現場で「虫の眼」を徹底的に鍛える。
その上で、組織全体を見る「鳥の眼」を身につける。

そして最終的には、
未来を見通す「魚の眼」が求められます。

特に経営者にとって、魚の眼は不可欠です。
日々の業務に追われ、この視点を失うことは致命的になり得ます。

だからこそ、
権限委譲によって他の視点を任せることも重要になります。

「経営者の見る景色」をどう共有するか

組織運営では「カスケードダウン(目標の階層展開)」が重視されます。
しかし実際には、上位の視点はその立場でなければ見えない部分も多い。

いわば、
経営者にしか見えない景色が存在します。

問題は、その景色をどう共有するかです。

見えているものの違いを前提に、
どこまで言語化し、どこまで任せるのか。

ここに、組織づくりの本質があります。

視点を持つことは、可能性を広げること

虫の眼・鳥の眼・魚の眼・コウモリの眼。

それぞれは単なる比喩ではなく、
思考の引き出しであり、意思決定の質を高める道具です。

どの立場であっても、
一つの視点に固執するのではなく、問い続けること。
• 今、自分はどの視点で見ているのか
• 他の視点から見たらどう見えるのか

この問いを持ち続けることが、
個人の成長と組織の進化につながっていくのだと思います。

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