経営理念の浸透「インターナルブランディング 」 #176
人が一人で成せることには限界があります。
だからこそ、同じ目的を持つ人たちが集まり、力を合わせる。
その仕組みこそが「組織」であり、その典型が企業です。
経済学者のチェスター・バーナードは、組織を次のように定義しました。
「意識的に調整された、2人またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステム」
そして組織が成立するためには、3つの要素が必要だとしています。

■ 組織を成り立たせる3つの要素
① 共通目的
組織に参加する人たちが、同じ目的を共有していること。
② 貢献意欲
その目的を実現するために、自ら貢献しようとする意欲があること。
③ コミュニケーション
目的や価値観、情報を共有するためのコミュニケーションが取れていること。
企業において、この「共通目的」にあたるものが 経営理念 です。
経営理念を共有し、その実現に向けて個々の貢献意欲を高めること。
これが企業の発展において、とても重要な要素になります。
■ 経営理念のあり方
人に人格があったり、多様性と言われるように、経営理念も企業によって様々であり、その表現も異なります。
近年では「Purpose(パーパス)」という言葉を掲げる企業も増えてきました。
パーパスとは、企業の存在意義を明文化したものです。
そもそも企業とは、社会や顧客から必要とされて初めて存在できます。
その意味でも、企業の志とも言えるものがパーパスだと言えるでしょう。
私が経営する会社では、経営理念を、
✅実現すべき目標(Vision)、
✅実現するために遂行すべきこと(Mission)、
✅遂行するための価値観(Value)
で建て付けております。

■私の会社の経営理念
2016年に、分社化したことから、それを機に会社の経営理念を刷新しました。
影響を受けたのが、2025年の国連サミットで採択されたSDGsです。
持続可能な社会を目指す、その考え方に共感して、経営理念に反映させました。
⚫︎ ビジョン
社会における存在意義を高め〝サステナブル企業〟を目指します
⚫︎ ミッション
現在だけでなく未来を考えた 配管の開発と供給を通して 信頼あるライフラインの構築をご提案します

⚫︎ バリュー
私たちは ビジョンの実現に向けて〝誠実〟に ミッション遂行に取り組みます
■ 理念があっても、価値観が揃うとは限らない
実際には、その企業で働いているからといって、すべての社員が同じ価値観を持っているとは限りません。
例えば、
• ミッションを遂行する上で価値観が低い
• 価値観が時代に合っていない
こうした状態では、理念を共有したとしても貢献意欲が高まることはありません。
また、どれほど素晴らしい企業理念があっても、
• 組織が硬直化している
• 社員が保守的になっている
• チャレンジ精神を失っている
このような状態では、理念は単なる言葉で終わってしまいます。
その意味でも、経営理念において、私が最も大切にしているのは、行動する価値観である「Value」 です。
なぜなら、ビジョンやミッションを実現するすべての行動は、最終的に 価値観から生まれる と考えているからです。
そのバリューは、“誠実”であることです。
社内では、誠実の定義を次のように定めています。
「誠実とは、伝えたことを実現すること。あるいは、伝えたことを実現するために努力し続けること。」
私は、組織の力を信じています。
なぜなら、人が一人で成せることには限界があるからです。
だからこそ、社員と価値観を共有しながら
同じビジョンの実現に向かう必要があります。
■ インターナルブランディングという考え方
ここで重要になるのが インターナルブランディング(インナーブランディング) です。
もともとブランディングとは、企業が顧客や消費者に向けて行う 社外向けの活動 でした。
しかし近年では、
• 企業の信頼
• 企業の信用
• 経営理念
といった要素もブランドの一部と考えられるようになり、経営において重要度が高まっています。
それに対して インターナルブランディング とは、
社員など社内に向けて行う活動です。
具体的には、私自身が講師となっての経営理念勉強会の開催です。
理念の背景を正しく理解してもらうため、全社員を対象に 5〜10人単位の勉強会 を毎年1回以上実施してきました。
さらに、社員一人ひとりと向き合うために1対1の面談(1on1ミーティング) も行ってきました。

■ 取り組むなかでの課題
経営理念勉強会や1on1ミーティングを続ける中で課題も見えてきました。
インターナルブランディングの活動を、私一人が中心になって行っていたこと です。
その結果、
• 管理職の経営意識が育ちにくい
• 社員が私を直接見る組織構造になる
• 管理職の存在意義が弱くなる
という状況が生まれてしまいました。
フラットな組織であれば良いのかもしれません。
しかし、当社の組織形態とは合っていませんでした。
■ 現在の取り組み―組織の最適化
そこで現在は、私が講師となる経営理念勉強会は管理職まで としています。
一般社員への共有は、管理職から伝える形 に変えました。
もちろん懸念もあります。
直接伝えないことで、伝言ゲームのように内容が歪む可能性 があるからです。
しかし、ここを乗り越えなければ、本当の意味での理念共有にはならないとも思っています。
組織は生き物であり、常に変化し続けます。
だからこそ、
• 共通目的
• 貢献意欲
• コミュニケーション
という 組織の三要素 を最適化し続ける必要があります。
そのためにも、状況を見ながら、これからも 最善のインターナルブランディング を続けていきたいと思います。
