動けなくなってしまった思考に注油する ― フィードバック #16
目標を達成するために必要な機能、それがマネジメントです。
企業であれば、ヒト・モノ・カネ・情報・知識といった経営資源をどう活かすかが問われます。
なかでも最も扱いが難しく、そして最も可能性を秘めているのが「ヒト」です。
人材の能力は均一ではありません。
それぞれに強みがあり、同時に弱みもある。
マネジメントとは、異なる形のピースを組み合わせ、大きなパズルを完成させる営みとも言えるでしょう。
■ PDCAが機能しない組織の共通点
多くの企業で採用されているマネジメント手法がPDCAです。
• Plan(計画)
• Do(実行)
• Check(検証)
• Act(改善)
このサイクルを回し続けることで、行動の質は高まり、目標達成へと近づいていきます。
しかし実際には、「回っているつもり」で止まっているケースが少なくありません。
なぜでしょうか。
私は、その原因の一つがフィードバックの質にあると考えています。

■ フィードバックとは本来「制御装置」である
フィードバックはもともと制御工学の用語で、
「出力結果を入力側に戻し、目標値に一致するよう調整すること」を指します。
ビジネスに置き換えれば、
• 行動結果を評価し
• 必要な修正を示し
• 次の行動をより良くする
ための機能です。
しかし現場ではどうでしょうか。
• 数字を並べただけの指摘
• 感想レベルのコメント
• 感情優位のラジカルな批判
こうしたものが混在し、「調整機能」として十分に働いていないことも多いのです。
■ 最大の障害は「思い込み」
PDCAが滞るとき、まず疑うべきは当事者の思い込みです。
人は簡単に自分を見失います。
自分では客観的なつもりでも、実は強いバイアスの中にいる。
だからこそ第三者のフィードバックが、新しい視点をもたらします。
ただし、ここで重要なのは
受け手にインサイド・アウトの姿勢があるかどうか。
どれほど優れたフィードバックでも、受け入れられなければ意味がありません。
フィードバックは「場」と「言葉」で決まる
効果的なフィードバックには、環境設計が欠かせません。
• 多数から意見を得るオープンな場
• 1on1のようなクローズな場
目的によって使い分ける必要があります。
そして何より重要なのが言葉選びです。
「早くやってほしい」という催促の言葉は、
相手に抵抗感を生みます。
目指すべきは、
自発的に動きたくなる言葉。
フィードバックは、行動を強制するものではなく、行動を引き出すものです。
■ 上司がいない人に必要な「セルフフィードバック」
組織には上司がいますが、個人事業主や経営者には直接の上司がいません。
そこで有効なのがセルフフィードバックです。
• 事前に数値基準を設定する
• 行動を振り返る
• 改善点を言語化する
いわば、自分自身が自分の上司になる。
さらに未来志向のアプローチとして「フィードフォワード」という考え方もあります。
これは結果の反省ではなく、未来への対応策を設計する手法です。
■ フィードバックは「歯車への注油」
フィードバックの役割は何か。
それは、錆び付きかけた歯車に油を差すことだと思っています。
無理に回す必要はありません。
本来、歯車は回ろうとしているからです。
優れたフィードバックとは、
受け手がそれを受け取り、自ら高い次元へと発展させる対話。
定義にこだわるよりも、
「目的は何か」を明確にすること。
そして、PDCA・フィードバック・フィードフォワードといった手法を組み合わせながら、
マネジメントの機能そのものを高めていくことが重要なのだと考えています。

