なぜ人は、能力を発揮できなくなるのか #129
能力とは何かと問われると、多くの人は才能であったり、スキル、あるいは知識などを思い浮かべると思います。
しかしながら、本当に大事なのは、そこではないと捉えています。
どんなに稀に見る才能であったり、優れたスキルあるいは豊富な知識を持っていたところで、それを活かして成果に結びつけなければ何の意味もありません。
にも関わらず、持っているはずの能力を発揮できない人が少なくありません。
そもそも、なぜ人は、持っているはずの能力を発揮できなくなるのか―。
その問いのほうが、現実に近い気がしています。
■ ウサギは、速かったのに負けた
「ウサギとカメ」の話は、誰もが知っています。
圧倒的に速いはずのウサギが、ゆっくりとしか進めないカメに負ける―
理由はシンプルです。
ウサギは、自分の速さを過信して眠ってしまった。
カメは、自分の遅さを受け入れて歩き続けた。
ここで起きているのは、持ち得た能力の差ではありません。
持ち得た能力との謙虚な向き合い方なのかと思います。
■ 問題は「能力がないこと」ではない
現実でも同じことが起きています。
本来できるはずの人が、うまくいかない。
逆に、特別な才能があるわけではない人が、結果を出していく。
この差はどこから生まれるのかです。
それは多くの場合、能力そのものではなく、
• 自分を過信してしまうこと
• 逆に、自分を過小評価してしまうこと
このどちらかです。
特に厄介なのが、他人であったり、理想との比較です。
• あの人はもっとできている
• 自分はまだ足りない
• こんなレベルじゃダメだ
こうして、いつの間にか評価の基準が他人だったり、理想に対する完璧を求めて行きます。
すると、現実の自分との差に苦しむようになるはずです。
やがて、「できていない自分」を責めることにエネルギーを使い始めるのです。
この完璧主義が、能力を発揮できなくなる大きな原因だと捉えています。
成長意欲が高い人ほど、この罠にハマります。
• もっとできるはず。
• まだ足りない。
• 完璧じゃないと意味がない。
一見すると前向きですが、実際には逆です。
完璧を求めるほど、「できていない現実」が強調されてしまいます。
その結果、
• 行動できなくなる
• 続かなくなる
• 自信を失う
そして最終的に、自暴自棄に陥って止まる。
■ ポジティブとは、現実から目を逸らさないこと
ここで誤解されやすいのが「ポジティブ」です。
ポジティブとは、「大丈夫」と言い聞かせることではありません。
かと言って、できていないことを無視することでもありません。
それは、現実をそのまま受け止めて、次の一歩を選ぶことなのではないかと思います。
✅ウサギは、速いことを知っていました。
でも、それに甘えた。
✅カメは、自分が遅いことを知っていました。
それでも止まらなかった。
違いは、能力ではなく「現実の扱い方」です。
「ウサギとカメ」の話には、「負けウサギ」という続きの話があります。
カメに負けたウサギは、仲間から見放され、村を追われます。
しかしその後、知恵を使って村を救い、信頼を取り戻すのです。
ここで重要なのは、一度の失敗で、能力は失われないことです。
能力を失ってしまうときは、「自分はもうダメだ」と諦めてしまったときであるはずです。
■ 自分を見失わないために
経営の神様と言われる松下幸之助氏は、
「自分で自分を、あたかも他人に接するような態度で外から冷静に観察してみる。」
と言うメッセージと、このメッセージから「自己観照」という言葉を残しています。
自分を、他人のように観察すること。
感情に飲み込まれるのではなく、
一歩引いて、自分を見る。
• やるべきことは何か
• 今の自分はどんな状態か
• 何ができていて、何ができていないのか
• 次に何をやればいいのか
自分自身を冷静に捉えられる人は、何かに挑むときでも、仮に失敗したとしても、躊躇なく、次に向けて行動できるはずです。

■ 能力とは、「発揮できる状態」のこと
結局のところ、能力とは何かです。
それは、スキルそのものではなく、
“それを発揮し続けられる状態”のことだと思います。
そして、その状態は、
• 他人と比べすぎないこと
• 完璧を求めすぎないこと
• 現実から目を逸らさないこと
この積み重ねで保たれるものなのだと思います。
カメのように、歩みを止めないこと。
ウサギのように、失敗しても立ち上がること。
そして何より、やるべきこと、そして、自分を正しく見ること。
人は、能力がないから止まるのではない。
自分との向き合い方を間違えたときに、止まる。
だからこそ必要なのは、能力を増やすことよりも、やるべきことをやり切るために、
能力を発揮できる自分でい続けることなのだと思います。
