「でも」「だけど」で止まる現場は、なぜ変われないのか
属人化を分解すると、次に見えてくるもの
前回の記事では、
属人化している仕事を
認知 → 判断 → 実行
の3つに分解できる、という話をしました。
そして、
どこが人に依存しているのかを見極めない限り
標準化も、マニュアルも、機能しない
というところまで書きました。
では次に出てくる疑問は、これです。
「判断」は、なぜいつも特定の人に集まるのか?
その答えは、
“現場の会話”の中にありました。
改善の話をすると、必ず止まる瞬間がある
現場で改善の話をすると、
ある瞬間から空気が変わります。
「でも…」
「だけど…」
否定の言葉が増え始める瞬間です。
私はこれまで、現場で作業改善や仕組みづくりを進める中で、
必ずこの反応に出会ってきました。
「なんでこうやるんですか?」
「例えば、こうしたら楽じゃないですか?」
そんな会話をすると、返ってくる反応は様々です。
「そんなことできるんですか?」
「でも、こういうパターンはどうするんですか?」
「このように教えられてきたので…」
改善に前向きな反応もあれば、
できない理由が次々と出てくることもあります。
現場の反応は、大きく2つに分かれる
私が見てきた現場では、
反応は大きく2つのパターンに分かれていました。
1つは、
現状の制約の中で最善を尽くしている人。
もう1つは、
現状維持が前提になっている人。
ただし、ここで重要なのは、
どちらも“悪意”ではないという点です。
現場はすでに忙しく、
今ある仕組みの中で仕事を回しています。
だからこそ、
「このパターンはどうするんですか?」
「でも…」
「だけど…」
という反応が出てくるのです。
否定の言葉は、すべてが間違いではない
ここで重要なのは、
それらの反応がすべて間違っているわけではない、という点です。
中には、本当に回避が必要な問題も含まれています。
現場は、実際に起きたトラブルや例外を知っています。
だからこそ、
「この場合は?」
という視点は、本来とても重要です。
ただし、問題はここからです。
本当に必要な課題と、
単なる思い込みや慣習が、
同じ重さで語られてしまう。
そして議論が止まります。
なぜ議論が止まるのか
多くの改善が止まる理由は、
現場が変わりたくないからではありません。
議論が進まなくなる本当の理由は、
“判断の構造”が整理されていないからです。
現場では、
誰が判断するのか
どこまでが現場判断なのか
何を基準に決めるのか
が曖昧なまま仕事が回っています。
その結果、
否定の言葉が出た瞬間、
議論が「個人の感覚」同士のぶつかり合いになります。
判断が個人に集まる構造
多くの現場では、
優秀だから判断しているのではありません。
キャリアが長い人が、
経験を積み重ねた結果、
判断を担う位置にいるだけです。
基準がない
分岐が定義されていない
例外処理が構造化されていない
だから判断が集まり続けます。
そして改善の議論も、
「その人の感覚」
対
「提案者の感覚」
という構図になり、
前に進まなくなります。
問題は否定の言葉ではない
「でも」
「だけど」
これらの言葉そのものが問題なのではありません。
本当の問題は、
その言葉を
構造として分解できていないことです。
それは、
本当に回避が必要な課題なのか
単なる思い込みなのか
構造で吸収できる例外なのか
それを整理しないまま議論すると、
改善は止まり続けます。
次にやるべきこと
改善を進めるうえで必要なのは、
否定を止めることではありません。
否定の言葉の中にある
判断のポイント
判断基準
例外処理
を抽出し、構造として整理することです。
ここを整理しない限り、
判断は個人に集まり続けます。
次回予告
現場が変わらない理由は、
「やる気」でも「意識」でもありません。
多くの場合、
どこで問題が起きているのかが
見えていないだけです。
次回は、
あなたの現場が
認知・判断・実行のどこで
止まっているのかを確認できる
「簡易セルフ診断」
を公開します。
まずは、自分の現場を
構造として見るところから始めましょう。
