歴史は韻を踏む~132年ぶりの復活大統領誕生。アメリカの黄金時代は再び?(side:Red)
前回は「負けに不思議な負けなし」をテーマに民主党カマラ・ハリス副大統領の敗戦理由を書き連ねました。
今回はアメリカの復活大統領と、トランプ再選(トランプ2.0)によってもたらされる「アメリカの黄金時代」は何によってもたらされるのかについて考えてみたいと思います。
1人目の復活大統領
今から132年前、米国史上初めて復活による2期目を務めたグロバー・クリーブランド大統領は民主党の大統領でした。

彼は米国独立時の最初の13州の一つニュージャージー州で生まれ、16歳の時に牧師だった父が亡くなると、家族を養うために学校を退学し、NYの伯父の元で暮らし始めました。
法律事務所で下働きをし、22歳でNY司法試験に合格。民主党所属の弁護士として活躍し、44歳の時に活動の拠点だったNY西部のバッファロー市長に選出され、汚職撲滅など行政改革で手腕を発揮。
翌年にはNY州知事に共和党からの支持も受けて選出され、2年後には民主党から指名を受けて1884年の大統領選挙に46歳で出馬。

競った共和党候補から不倫や隠し子疑惑を暴露され、それを認めるとその後の選挙戦は互いの中傷合戦となった末に大統領選挙に勝利。47歳で大統領となります。

1期目の任期半ばには、米国独立100周年を迎え、フランスから贈られた自由の女神の除幕式(1886年10月28日)へ参列した大統領でもあります。
自由の女神は現在でこそモニュメントのように扱われていますが、完成した当時は移民を含めて米国を多くの人が目指した際にNY港の灯台として機能していました。

米国の独立宣言は1776年7月4日
ちなみにクリーブランド大統領は歴代米国大統領として現在までで唯一、ホワイトハウスで自身の結婚式を挙げた大統領*でもあります。
ファーストレディとなったのは米国史上最年少21歳のフランシス・クララ・クリーブランド。結婚した時、クリーブランドは49歳でした。
その後、二人の間には子供が誕生。ホワイトハウスで生まれた赤ちゃんとなります。
*親族が挙げた例は幾つかある。
クリーブランドは民主党から擁立された大統領でしたが、共和党議員からの支持もあり、共和党に近い考え方(小さな政府志向)も併せ持ち、国民は政府に経済性・清廉さ・正義を求めるべきで、経済的対立への介入や公共事業などを求めるべきではないと考えていたとされています。
南北戦争の退役軍人への恩給(年金)削減、鉄道用地への優遇反対。閣僚には民主党支持者の母体である労働者や農民からばかりでなく法律・政治・ビジネス界からも幅広く器用。
一方で、自分で細部まで決定しなければ気が済まないとして大統領補佐官やスタッフを置かず、メディアとの接触も避け、法案への拒否権も1期目だけで414回*、2期目170回に及んだとされる強権的な大統領と記録されています。
*世界恐慌や戦時下大統領のフランクリン・ルーズベルトはニューディール政策などで拒否権を635回行使し歴代トップ。
1789~1990年までの大統領の拒否権発動は1375回、握り潰し拒否(署名拒否=実質の拒否権発動)は1011回、合計2386回
クリーブランド大統領の1期目の最大の公約は関税引き下げでした。
当時の関税には主に2つの目的がありました。南北戦争(1861-1865)が終結し、米国経済が活性化していく中で国内産業の保護をしなければ労働者が十分な賃金を得られず、輸入依存によって海外へ国富(金や銀*)が流出してしまうリスクを抑える事。
現在でいえば貿易赤字になってしまうリスクです。
また関税は今も昔も、政府にとっての貴重な税収でもあります。
*当時の米国は金銀複本位制。
関税が高いと商品を購入する時の価格に転嫁されるため、消費者にとっては購入時の負担が大きくなり、インフレ圧力となります。
当時は国が貿易によって他国に輸出をして金貨や銀貨など価値ある通貨を得ることで富を得るという資本主義の始まり、重商主義(帝国主義)全盛の時代でした。
南北戦争が終結し、米国では国内の労働力(供給)に対して需要が増大して追いつかない時代。輸入に頼った方が良い面があることは確かでしたが、あまり保護主義的になりすぎると国内で産業が育たない*という悩みもありました。
*国内産業の育成、一次産業(農業)から二次産業(工業化)の転換に様々な要因(汚職・腐敗等)をきっかけに先進国から途上国に衰退したのがアルゼンチン
建国してから西へ西へと領土の拡大をしていった米国は西海岸カリフォルニアまで到達。南北戦争の火種がそうであったように、また大陸横断鉄道(1862-1869)の建設が始まる頃に米国は農業大国から製鉄・鉄鋼業を中心とした本格的な工業国への変革の時期を迎えていました。

最大の製鉄所ピッツバーグ・モンバレー製鉄所が1980年代に閉鎖され、
現在同社で最大の製鉄工場となった
クリーブランド大統領は一般関税の引き下げ(約20%)と原材料に対する関税の撤廃しましたが、これが2期目を目指した大統領選挙で共和党の対立候補ベンジャミン・ハリソンから「英国製品を国内に流通させるものだ」と追及され僅差で落選。
大統領を退いた後でNYで弁護士として活動をしていましたが、関税引き上げ(マッキンリー関税、関税率38%)によって国内でインフレーションが加速。
金・銀複本位制(1861-1933)から銀本位制に切り替えによる通貨膨張政策でインフレーションに対応しようとするハリソン大統領に強く反発。当時すでにイギリスやフランス、日本でも採用されていた金本位制を主張して、再出馬を決意。

共和党はカーネギー鉄鋼(現USスチール)のストライキの際に、企業(経営者)利益を擁護し、労働者を見放したのを観て、クリーブランドは労働者を支援し取り込み再選に成功。米国史上初の復活大統領となります。

一方で米国の領土拡張の正統性を示す「マニュフェスト・ディスティニー」は既に西海岸まで到達したことでフロンティアが消滅し、達成されていると考え前政権からの懸案となっていたハワイ併合を先送り。
砂糖などの輸入先でもあるキューバに関しては、戦略的に重要としながらも現地の独立運動や反乱には介入しないなど外交に対しての保守的な考え方も見られました。
大統領を退いてからは執筆や弁護士活動、地元プリンストン大学など公の場で講演をするなどで活躍。
自身の2期目の後任大統領となったウィリアム・マッキンリー大統領(共和党)が米比戦争によってフィリピン併合を掲げたことに反対し、アンドリュー・カーネギーらと共にアメリカ反帝国主義連盟(1898-1921)を結成。
労働争議に際してはセオドア・ルーズベルト大統領に進言をしたり、晩年の1905年には「公正なる社会保障協会」の再建に参画するなどに関わったとされています。
クリーブランドが2期目の大統領選挙で掲げた金本位制への完全移行は1900年に達成され、1907年に起きた恐慌をきっかけに中央銀行システムの構築が求められジョン・ピアモント・モルガン(JPモルガン創設者)らによって1913年に連邦準備制度(FRB)が設立されます。

クリーブランド元大統領は1908年に71歳で死去。その後、FRBによって1928年から発行された金兌換紙幣にその肖像画が描かれて親しまれてきました。

1928-1946年まで1000㌦紙幣の肖像画に描かれた
同時代に紙幣の肖像画に選ばれたのは500ドル紙幣にクリーブランドを引き継ぎ金本位制を達成した19世紀最後の、そして20世紀最初のウィリアム・マッキンリー第25代アメリカ大統領(共和党)。

初めて動画に記録された大統領であるマッキンリー
1901年に在職中に暗殺される
(1843-1901)
合衆国憲法を書いた一人ジェームズ・マディソンJr(1751-1836)

リンカーン大統領の元で財務長官を務め、最高裁長官も務めたサーモン・チェース(1808-1873)

紙幣の肖像画に選ばれるというのはその国を代表する偉人という事ですから、日本で言えば聖徳太子や伊藤博文、板垣退助、高橋是清、福沢諭吉、渋沢栄一らに相当することになります。
トランプ2.0
一方でドナルド・トランプ次期大統領の場合はどうでしょうか?
強権的で、不倫などの問題を抱え、工場労働者を味方に取り込んだという点では似ている面もありますが、グリーンランドを買いたいと申し出たり真意は不明ですが領土拡大と考えられる意欲があったり、2期目に向けた公約で対中関税の引き上げなど大きくクリーブランド大統領とは異なる点も目立ちます。
なぜマスク氏はトランプ支持?

2024年の米国大統領選挙では世界一の資産家のイーロン・マスク氏がトランプ支持を表明したことでも注目を集めました。
2020年の大統領選挙では民主党・バイデン候補を支持していたとされるマスク氏がトランプ支持に鞍替えをした理由についてもいくつかの疑問が残ります。
民主党の方針・政策やバイデン・ハリスが嫌い、見限ったという理由もあるでしょう。
また息子(当時18歳)が第二次性徴期に不安定だった際、処方された薬の副反応について十分な説明がされないまま「自殺してしまうかもしれない」と脅され性転換手術にサインさせられたとして行き過ぎたLGBTQに批判的になったとする報道もあります。
民主党は多様性を受け入れようとLGBTQやマイノリティ、D&I(ダイバーシティ・インクルージョン)などを積極的に推進しています。
またマスク氏が保有するテスラ社は脱炭素・地球温暖化対策を追い風に成長してきた電気自動車(EV)のメーカーでもあります。

それに対してトランプ氏は気候変動に対する「パリ協定」から離脱を掲げており、実際に1期目の途中で離脱をしていますし、トランプ氏を支持する企業・経営者の中には石油・ガスなどの化石燃料を扱う企業もあります。
しかもEVへの補助金などの廃止など、一見すると最大の支援者であるマスク氏にとって厳しい措置を公約に掲げています。
対中関税を引き上げる点についても、中国工場で部品を製造しているテスラにとっては価格高騰要因となり、テスラの性能が他EVメーカーより優れている自信*があって補助金は廃止に賛同したとしても果たしてどうでしょうか?
*テスラの電気自動車の最大の売りは自動運転車に段階的にアップデートできる点。法改正が進まないと完全自動運転の走行試験が始められない。
北京ではレベル4試験走行が2024年に解禁され、米国ではレベル3、日本はレベル2までしか解禁されていない。
また移民問題についてもバイデン・ハリス政権に対して演説や討論会などで散々応酬をしたように基本的に不法移民に対して厳しい措置を行うような口ぶりです。

この点も不法ではないものの、マスク氏が南アフリカで生まれて18歳でカナダ*へ、その後アメリカに進学のために渡ってきた移民であることを考えるとかなりギリギリなラインであるように感じます。
*母親がカナダ出身で、カナダは出生地主義だが、カナダ人の親から生まれた子供もカナダ国籍を有する。(二重国籍が認められている国)
バイデン政権下で730万人の"不法"移民がアメリカ国内には流入し米国経済の低賃金雇用などを下支えしてきました。
生活習慣も文化も異なる移民、しかも正規のルートではない不法移民が我が物顔でコミュニティを形成し、米国人や正規の移民に危害を加えたり、雇用を奪ったり、社会保障や社会福祉(生活保護)などを使い始めれば良い気分をしないのは当然です。
トランプ次期大統領はこうした不法移民の強制送還を掲げており、NYなどではこれ対する抗議デモも行われています。
彼らがいなくなれば米国経済の下支えしていた労働者がいなくなることを意味しており、米国経済の失速や賃金高騰によるインフレーションの再燃にも繋がりかねません。
一方でマスク氏とトランプ氏には共通する部分もあります。規模こそ異なるものの二人とも超が付く資産家である点や、情熱の傾け方が常人の比ではありません。
「言論の自由」に対しても、マスク氏が幼少期を過ごした南アフリカはアパルトヘイト(人種隔離政策)を推進するプロパガンダがまん延しており、彼自身にとってはトラウマとも呼べる体験であったことは、後にツイッター(現𝕏)の買収と経営改革につながっています。

白人種集団に属する者専用とされる」と
英語、アフリカーンス語、ズールー語で併記された1989年撮影の標識
またトランプ氏の場合も、過激な発言で注目を集める一方でフェイスブックやツイッターから連邦議事堂襲撃事件を扇動したなどでアカウントの停止処分を受け、自身でSNS「トゥルーソーシャル」を立ち上げるなど言論の自由に対する保護、つまり米国修正憲法第1条の保護*を掲げる点では価値観が近いと言えそうです。
*マスク氏の立ち上げたアメリカPACによる1日1人100万㌦をあげる条件が修正憲法1条と5条(銃を保持する自由)と有権者登録をしている人であること。
過去3度あったアメリカ黄金時代
歴史は韻を踏む
一般的にアメリカの黄金時代を指す時代は、景気循環に基づくとこれまで大きく3つあります。

一つ目は南北戦争終結後(1865)から1893年までのいわゆる「西部開拓時代」、奇しくもクリーブランド大統領はまさにその時代の節目に2期目の大統領を務めました。

この時代をアメリカでは『トムソーヤの冒険』などの作者マーク・トウェインの同名著書から名付けられ、『Gilded Age』と呼んでいます。米国の経済、産業など様々なものが急速に発展をした時代でした。

完成したのは1883年。アメリカの富と産業の象徴となる
ただ同時にこの時代は成金主義、拝金主義としても扱われ、何かと装飾を金色に塗りたくる"Gilded"とも揶揄される時代でもありました。
彼の名言の中にはこんなものがあります。
”History never repeats itself, but it does often rhyme.”
(歴史は繰り返さないが、韻を踏む)

米国史の中ではこの黄金時代が終わると、「1893年恐慌」と記憶される時代がその後7年続くことになります。
もう一つのアメリカの黄金時代は、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』Part1に登場する1950年代半ばからの時代です。

第二次世界大戦が終了し、親世代は戦争から帰ってきて家庭を築き、そして子供たちは戦後の平和を享受していた古き良き時代。

劇中では「アメリカがもっともアメリカらしかった時代」と表現され、一般の家庭では頑張れば白黒テレビがなんとか買えるようになったばかりの時代。

この1950年代後半から1960年代終わりの宇宙開発競争、有人月面着陸を達成したアポロ計画までがアメリカの第二の黄金時代です。
景気循環でいえば、1961年2月~1969年末までの106か月。小さな景気後退期を挟みながらも、これまでの米国の第二次世界大戦後で最も長い景気拡大期とされています。

ちなみにBTTFの悪役ビフ・タネンのモデルは、ドナルド・トランプと脚本家が語っているそうです。
脚本家も認めてるけどビフのモデルはドナルド・トランプ。ビフのカジノビルもトランプ・プラザホテルにそっくり。この時はまさかこの人が大統領になるなんて誰も予想してなかっただろうね…#バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2 #バックトゥザフューチャー2 #BTTF2 pic.twitter.com/QENCU5SuTM
— 樺さん。 (@22_crychris) June 19, 2020
またその時代は「Nifty Fifty」と呼ばれ、その後はベトナム戦争の泥沼化、二度のオイルショックなどにより米国の財政は焦げ付き不況の時代を長く過ごすことになります。

MAGA
3つ目のアメリカ黄金時代は、ここまで来ると想像できる方もいらっしゃるでしょう。

BTTFの舞台となった3つ目の時代は、まさに映画が公開された1985年…主人公のマーティー・マクフライたちが暮らしていた時代です。

2016年を含めた大統領選挙の中で、トランプ氏は自らのキャッチコピーとして繰り返してきたキーワードがあります。
"Make America Great Again"
(偉大なアメリカをもう一度取り戻せ)

通称"MAGA"と呼ばれるこのキャッチコピーは、元々1980年のアメリカ大統領選挙における共和党ロナルド・レーガンのものでした。

大統領任期1981-1989
レーガンは前政権ジミー・カーター大統領時代(民主党)のスタグフレーションからの脱却を掲げ、インフレーションと失業率の低下、オイルショックからの回復、日米貿易摩擦に代表される「双子の赤字」解消に向けて日米通商交渉での圧力、プラザ合意による通貨高政策への転換。
いわゆるレーガノミクスによって米国史上3番目に長い92ヶ月の好景気*を謳歌しました。
*82年11月〜90年7月
トランプ氏は度々、レーガン大統領をなぞらえる政策を掲げているように思えます。
(今となっては何度かの暗殺未遂事件を含めて)
ちなみにレーガン大統領の副大統領はジョージ・H・W・ブッシュ(父ブッシュ)でレーガンが2期目を終えると、これを引き継いで大統領(1989-1993)となりました。
その後、レーガノミクスの反動とばかりに訪れたのは1989年のブラックマンデーに始まる米国経済の不況でした。

そしてその不況から脱出をしようとしてだったのかは定かではありませんが、嘘の証言をきっかけに世論を動かし湾岸戦争に突入していきます。
トランプ2.0閣僚
ロバート・ライトハイザー
第1期トランプ政権(米国通商代表USTR)に引き続き、ロバート・ライトハイザー(77歳)を要職に登用する事が決定しました。

(1947-)
ライトハイザー氏はプラザ合意の際のアメリカ合衆国通商代表を務めており、現在の米ドルの通貨高をトランプ氏は選挙戦中も是正を掲げている事からも第二のプラザ合意(協調介入)が行われるかに注目が集まっています。
(しかしトランプ2.0の掲げている政策は多くが米国内のインフレ圧力を高める要因が多く、思惑通りに上手くドル高が定着するかは何とも言えない)
残念ながらニュージャージー州にあったカジノホテル「トランプ・プラザ」は2014年に閉鎖、2021年には解体されています。
しかし協調介入が行われれば場所はともかく「トランプ・プラザ」と呼ばれることになるかもしれません。

トランプ政権は元より「アメリカ第一主義」を掲げており、自国の産業や雇用を守る保護主義的な傾向が強く働く事が想定されます。
これはアメリカ国民にとっては頼れる力強い大統領かもしれませんが、国際社会としては立ち位置を誤ると振り回される最悪の大統領かもしれません。
第1期トランプ政権の頃は世界的に観ても中露などのような権威主義国家を除けば、こうした発想を大っぴらに掲げる政権は少なかったのですが、今や欧州では右派政権が台頭してきています。

イタリアのメローニ首相は極右政権と呼ばれ対外的には煙たがられていますが、左派に偏ったEUの方針と対立し、イタリア国民からの支持が集まっています。

フランスでも極右のルペン氏に代表される国民連合が勢力を伸ばし、マクロン政権(中道)を脅かし始めています。
ドイツもメルケル前政権から引き継いだ体勢を維持できず、年末〜2025年3月を目処にショルツ首相は総選挙へ突入する見込み。
2024年に行われた欧州議会選挙でも極右政党の躍進が進みます。

2020年2月にEUを離脱したイギリスでも、保守党のリシ・スナク首相が解散総選挙に臨み、キア・スターマー党首が率いる労働党に14年ぶりとなる政権交代。
もはや各国がそれぞれの得意ジャンルを分担し合うソ連崩壊以来のグローバリゼーションに翳りが出始めています。
トランプ政権はTPPだけでなく、NATOからの離脱をする懸念もあり、これが進むと国家・地域間の分断が進み、世界の枠組みが大きく変わる可能性があります。
具体的には、投資先として日本でも人気を集めている全世界株式(オールカントリー)、先進国株式など米国株式に比重の大部分が偏っている組み合わせタイプのファンドの運用に翳りが出る懸念。
ファンド内のバランスが崩れて米国に一層偏重するか、可能性は低いもののロシア制裁の時のように欧米であっても分断や運用の強制終了(繰り上げ償還)がされるリスクが中長期的に生じるかもしれません。
何しろトランプ大統領ですから、何をし出すのかわかりません(苦笑)
もっともトランプ2.0の任期は4年だけなので、そこまでの分断がこの間にそこまで進むことは殆ど無いと思いますが、リスクは完全にゼロではありません。
個人的には5〜20%くらいかなと。(意外と高い?)
これを株価の割安な時期と捉えられるかは、4年後の米国大統領選挙で誰が選ばれるのかになる訳で、誰にも長期的な見通しが立てづらい…そんな状況です。
これをBTTF的に表現するなら、これでしょうか。
It means your future hasn’t been written yet. No one’s has.
(誰の未来もまだ白紙だってことさ)
Your future is whatever you make it, so make it a good one, both of you.
(未来は自分たちで作り出すものだ。だから良いものにしなさい)

またハリス氏の敗北宣言ではありませんが…
暗闇の、暗黒の時代かもしれません。
しかし闇が深いほど、星は輝くのです。
ディープステイト
日本では陰謀論のように扱われているディープステイト(DS、影の政府)ですが、国民から選ばれた議員によって政治、政策が行われるのが本来の民主主義国家における政府の在り方です。
アメリカでもディープステイトやQアノンは日本同様にもっぱら陰謀論として軽視されてきました。
しかしトランプ候補などが散々言うものだからそうした悪い奴らが本当にいると信じている人たちもトランプ支持者の中には一定数います。

しかしディープステイトは有権者から選ばれていない官僚やそこと繋がる権力者、力の行使ができる組織(FBIやCIA)などが実質的に政府に代わって政策決定をして国家運営を行う状態を指します。

またディープステイトは明確に組織だって存在するものではなく、資本主義社会における影響力のある人の意見が通りやすいという当たり前の現象に名前をつけ、それを社会の現状などに対する不満の受け皿にしているとも語られます。
(米国では類似の陰謀論の一つにQアノンという極右組織を含む場合がある。)
冒頭、オールドメディアの劣化について触れましたが、これもメディアの影響力を利用したディープステイトの一つと呼ばれています。
メディアコントロールは民衆の世論を意図的に誘導するのに適しており、ナチスドイツのヒトラーが普及の始まったばかりのラジオやテレビを活用したことでも知られています。
日本はGHQによる3S政策、Sports,Screen,Sexが戦後に行われたなどメディアコントロールが電波利権を握る総務省によって行われているとされる。テレビは商売、テレビの情報を鵜呑みにするのは情弱であり、思考・価値観を奪われる危険性が高い。
さて、こうした問題は「地球平面説」や「天動説」、「アポロ月面着陸捏造」「911テロ自作自演」などを一定数信じるアメリカ人の中では非常に根深い問題で、一概に馬鹿にもできません。
そしてディープステイトを潰すと豪語していたトランプ候補が大統領再選となった場合に、果たして本当にこうした存在をどう扱っていくのでしょうか。
その一つの解というか逃げ道とも呼べるものが、オールドメディアの今日の在り方はトランプ氏やマスク氏の考える「言論の自由」への弾圧であり、これを是正するためにイーロン・マスク氏はトランプ政権で新たに創設される「政府効率化省」の初代トップとして任命される見込みです。
政府の官僚制解体や規制撤廃、無駄な支出の削減を目指す政府効率化省はDepartment of Government Efficiency、頭文字を取ってDOGEと呼ばれるのですが、明らかにマスク氏の保有する暗号資産ドージーコインを彷彿とさせます。

もっともDOGEは時限的に設けられるようで2026年7月4日までの予定。この日はアメリカの150周年の独立記念日になります。
2兆㌦もの莫大な削減効果を掲げていますが、日本の民主党政権時代における「事業仕分け」などの例を見ていると単なるパフォーマンスになってしまうとの指摘も。
それともマスク氏の手腕にかかれば世界中が膝を打つようなウルトラCの「こんなコスト削減が!?」実現できるのでしょうか。
RFKジュニア
イーロン・マスク氏のポジションも気になりますが、歴代大統領の中で今も人気を誇る民主党のジョン・F・ケネディ大統領を伯父に持ち、その政権の司法長官を務めたロバート・ケネディを父に持つロバート・ケネディ・ジュニア(愛称ボビー)の動向も気になります。

王室のないアメリカにおいて元大統領ファミリーは、ロイヤルファミリーに近い存在として扱われます。
敬礼で思い出したのはJ・F・ケネディの葬儀で長男ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ・ジュニアが父の棺に敬礼する姿。こんなに幼くしてしっかりとした態度が涙を誘う。この日が彼の3歳の誕生日だったそうだ。 pic.twitter.com/ttwYyuzxf3
— Green Pepper (@r2d2c3poacco) August 21, 2016
ケネディ家は伯父、そして父までも相次いで暗殺事件で亡くし、その他数々の事件・事故等によって「ケネディ家の呪い」と呼ばれることもある曰く付きの一族。
伯父が民主党大統領だったにも関わらず、2024年の大統領選挙でバイデン大統領が選挙に出るとなって民主党から出馬できないと分かってから民主党を離党し無所属で出馬を表明しました。
ケネディ家の親族らはこれに猛反対。元より反ワクチン(小児ワクチンや新型コロナワクチン)などを陰謀であると言ってはばからず、一族の中でちょっと変わった人物(異端児)ではありましたが、この出馬によって「ケネディ家の面汚し」とまで呼ばれることに。
無所属で選挙活動を続けてきましたが、8月23日に選挙戦からの撤退、そしてトランプ氏を支持すると表明しました。
彼が第二次トランプ政権で、どんなポジションに付くのか。
一説には公衆衛生に関するポストに付くとされ、ワクチンの安全性について検討する立場となればコロナ禍における新型コロナウィルスワクチン(mRNA型)など世界的に接種の広まった副反応の範囲が解明され、製薬会社が責任を取らない問題などへ変化が起こる可能性があります。
また一期目でJ・F・ケネディ暗殺事件の資料の部分公開を承認したトランプ氏が、二期目では全文書公開を公約*に掲げており、そうした意味でも引き続き注目の人物となります。
*エリア51やアポロ計画の秘匿されている情報など含む
マスク氏との共通する政策面
米国初の復活大統領となったクリーブランド大統領が金本位制を掲げた点に重ねると、ドナルド・トランプ次期大統領は暗号資産への支持を表明*している点がその暗示のように思えます。

イーロン・マスク氏もドージーコインやビットコインを大量に保有*しており、今後の世界経済の行方を考えるうえで暗号資産は極めて重要と言えそうです。
*トランプ氏は自身で暗号資産の会社を所有している。
彼らにとっては資産のほんの一部かもしれないが。

何故なら今やグローバルサウスやBRICSプラスなど米ドルの基軸通貨体制(ブレトンウッズ体制、通称IMF・世界銀行体制)を取り崩そう挑もうとする陣営が、新たな基軸通貨(共通通貨)を作ろうとしています。

たとえば50年に渡った原油価格を米ドルに限定して決済するペトロダラー協定(ワシントン・リヤド密約)が終わったとする報道もあります。

これがすぐに米ドルの弱体化を意味するわけではありませんが、米国一興に対抗するBRICSプラスの掲げる共通通貨は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)*となる可能性が高く、その価値の裏付けにできるものは金の他は暗号資産*くらいしかなく、金は世界に遍在していて埋蔵量が多い地域(南アフリカ等)が主導権を握ってしまう課題があります。
各国が互いに主導権を握りたがる中で、また地理的にもバラバラなこれらの国々が当初は表明しているように金本位制を採用したとしても、金本位制が何故現在は主要国で使われていないかを考えると、将来的には金以外の何かを担保とする必要が出てきます。
CBDCにおいてインドは「eルピー」の試験導入を2022年末から行っていますが結果は芳しくありません。他方、既に技術的にも市中での決済でも様々な課題をクリアしているとされるのが中国で「デジタル人民元」と呼ばれたりしています。
地域を超えて、またこれらの国々の中には国際決済システムなどから締め出されている国もある現状を考えると、暗号資産は有力な候補となりますが、これにトランプ氏やマスク氏などの暗号資産へ前向きな人たちが関わることで米国が取り組むことになるかもしれないと考えるからです。
*暗号資産ならどれでも良いわけではなく、価値の裏付けができないと難しい。またリスクをどう考慮するかという課題も残る。
また暗号資産は米国にとっては現在の基軸通貨のポジションを脅かす諸刃の剣でもある訳ですが、米国証券取引員会(SEC)が2024年1月に暗号資産を取り入れたETFの承認など証券化したことで大きな節目を迎えていると言えそうです。
トランプ再選によってこれが更に加速すると考えると、マスク氏の支援はどうもこっちが本命ではないかという気もします。
(SpaceXの有人火星探査などに向けて規制撤廃などもあるだろうが)
もしトランプ次期大統領によって米ドルが暗号資産技術を用いたCBDCを発表した場合、紙幣と違って肖像画はないかもしれませんが「トランプ・コイン」やカードに関連する名前(♣︎♤❤︎♢、KingやQueenなど)が付けられるのかもしれません。
もっとも…個人的にはトランプ再選によって「アメリカの黄金時代」がやって来たとして、それはそれとしてドナルド・トランプ暗殺などあってはならないことがいつでも隣り合わせの時代であり、「強い大統領」がいてこそ成り立つものです。
もし暗殺など起きようものなら、それこそ内戦による分断や黄金時代が暗黒時代にひっくり返りかねません。
クリーブランド大統領が二期目を終える時に、アメリカの最初の黄金時代が終わった*ように…。
*歴史は韻を踏む
2028年米国大統領は?
また仮にそれらが起きなかったとして、4年後のアメリカ大統領選挙がどうなるのか。JDヴァンス副大統領か、最後まで大統領選挙の共和党候補争いで粘ったニッキー・ヘイリー候補(元国連大使)か。

ニッキー・ヘイリー候補の場合、初の女性大統領のお株さえ民主党は奪われることになる訳で、もし彼女が就任となれば民主党はいよいよ解党レベルの危機かもしれません。
それとも全く別の、新たな人物が大統領候補として名乗りを上げてくるかもしれません。
未来を予言していると語られることもあるアメリカの「The Simpsons」の中では2028年にトランプ次期大統領の娘イヴァンカの名前を思わせるものが…。

もっともこの作品の通りだとするならハリス副大統領によく似た服装の女性が初の女性大統領になっているし、ドナルド・トランプは2024年に亡くなっているし…と必ずしも当たっているわけでもないようですが。

可能性は低いと思いたいですが、シンプソンズの予言を実現するには民主党が在職中のバイデン大統領を消すか、体調不良や認知症など何らか理由をつけて辞任させ現副大統領であるハリスを繰り上げで大統領にしてしまうとか。
またこの低い可能性の中で民主党の尊厳を守るために最もあり得そうな路線は、バイデン自らがハリスへの大統領への移譲を自主的にすることで「女性初の大統領誕生を自ら退くことで実現した偉大な大統領」として名を遺す事ができます。
(もはやなんでもありの破れかぶれならば)
よもやトランプ氏だって憲法改正して連続2期に変えて、3期やるとは今時点では誰もが思っていない訳ですが…いや、まさか…2期目の任期満了時にトランプ氏は82歳ですよ?やらんでしょ?任期満了時86歳ですよ?

どこかの国の皇帝じゃあるまいし…。
