🌸早春のヴェネツィア②🌸〜フェニーチェ劇場、アカデミア美術館、サン ロッコ大使徒会、サンタ・マリア・ グロリォーサ・ディ・フラーリ教会〜
ヴェネツィア2日目、昨年夏に見学できなかった場所を中心に巡ってみる。
▪️フェニーチェ劇場
昨年、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場のオペラのチケットは、春には既に完売であった。おまけに夏に旅行した折は公演の期間中であった為、中の見学ができない。
中に入る必要性のあったVにとっては二重苦であった。ということで、その時は外観をぐるりと一周見て満足して帰るしかなかった。
案外早くリベンジの機会が訪れた。今回は公演は開催されていない期間なので、劇場の見学ができる。
中に入る必要性というのは、全くVの個人的な希望であり、理由は以下の記事による。
過去生を信じるも信じないも、証明しようもない話ではあるけれども、今の自分に繋がる何かとして想像することは楽しい。
「そこがあなたの過去の職場よ」
と具体的に言われれば、その場所に立った感覚を味わってみたいと思うのが、人情というものだろう。



午前中の見学を予約してあった。十数名ずつツァーガイドと共に見学するものと思っていたが、前の一陣は既に見学が始まっているのか、そのまま中へどうぞと案内された。Vの前後の人たちも個人で見学し始めた。
2階に上がり、舞台正面のバルコニー席に入り、ホール全体を見渡す。天井画やバルコニー、ボックスシートの水色と金色の装飾が上品で美しい。水色と金色の組み合わせは、Vが一番好きな色だ。
しばらく時を忘れて、ホールを眺め続けた。



ロイヤルボックスにいた見学者の殆どが出ていくのを見計らい、Vはゆっくりと壁の見事な装飾を眺めながら入って行った。
バロック様式のロイヤルボックスは3面に鏡がかけられ、それを取り巻く金色の装飾とベルベッドの装飾が豪奢である。首相や要人の為の特別な席だ。

























ロイヤルボックスの隣

ここまで載せてきた劇場内の写真は、Vが撮影したものである。
見学はツァーガイドがついて回るのが基本であるけれど、Vが入場してしばらくすると、この日は修学旅行の生徒達が十数名ずつ順番に入場していて、ガイドさんはどうやらそちらにかかりきり。個人で入場した人たちはそれぞれ見学して、写真撮影をしていた。
個人でゆっくり観られて、カフェで一休みもでき、大満足で帰りがけに入り口のショップに寄った。コンサートやオペラを観られなかったので、CDを選び、ガイドブックなどを買って窓口に並ぶと、前の人が係の人と内部の写真は撮れないという話をしていた。
『え?! 撮影禁止?!』
フラッシュが駄目なだけではなく?!
周りの人たちが当たり前のように全員撮影していたので、Vも普通に撮影してしまった‥‥
廊下にいた係の人から、誰も注意されていなかった‥‥見学者が多かった上に、全員撮影していたので、係の人は諦めたのだろうか?
『Vは、NEW YER’S CONCERT 2025のDVDとガイドブックと、絵葉書数枚と、栞と劇場のシンボルマークのマグネットを買ったので、お許しくださいませ‥‥』
と心でモゾモゾ呟きながら、Vは過去の職場(笑)を後にした。

中に入って、美しさに感動したものの、何か雷に打たれるような衝撃を受けたわけでもなく、普通に見学して楽しんできた。
あの舞台で歌った女性としての過去生は存在したのだろうか? そんなことを考えるだけでも楽しい。
2階のホールのプリマドンナ達の古い写真をじっくり眺めてきた。
そしてロイヤルボックスの隣の3つ公開されていたボックスシートで一人になれた時、昔お稽古をした「サンタ・ルチア」をイタリア語で、とても小さい声で口ずさんできた。見学コースでは舞台には近づけないので、バルコニーで我慢する。

外に出る。夏に来た時もそうだったが、Vは劇場を出て右側にあるレストランを見ると何か不思議な気持ちになる。
既視感? いやいや、気のせいなのか何なのか、それはわからない。

夏、道に迷って、運河脇の歩道をぐるりと周り、橋を越えて、やっと劇場の裏側に辿り着いた。
その時見た劇場の裏口、運河側の風景がガイドブックに載っていた。ヴェネツィアにはよくある風景なのに、実はこの写真を見る度に胸がズキリとする。

▪️アカデミア美術館
午後は、サン・マルコ広場を抜けて、ヴァポレットに乗って、アカデミアに行く。










ヴェネツィア・アカデミア美術館は、アカデミアの船着場のすぐ目の前。運河沿いで木製の橋(内側は鉄骨)が架けられているので、大変絵になる風景で、撮影スポットの一つでもある。
14〜18世紀の「ヴェネツィア派」絵画を中心に展示されており、ティツィアーノ、ティントレット、ベッリーニ、ヴァロネーゼらの傑作が揃う。



フェニーチェ劇場でのこともあり、写真に気をつけねばと思っていたが、こちらはフラッシュ以外は問題なかった。
しかしながら、OもVも宗教画は嫌いなわけではないものの、端から端までオール宗教画だと些かキツさを感じる。
その中でも、ティントレットやティツィアーノの旧約・新約聖書のテーマの迫力ある絵は好きだが、虚空に目線を向ける表情のない天使、悲痛過ぎるキリストの磔刑、嘆き悲しむ弟子や使徒たち、眺めていると、全ての悲しみが身体にどんよりと澱のように溜まっていく。
次第にぐったりしてきた。1時間弱見学したものの、写真はこれしか撮っていない。
1階から3階までの順路がわかりにくいのも疲れの要因だ。
Oと交代して見学し、美術館の前のカフェでお茶を飲んだ後、本島へ戻る。



















▪️サン・ロッコ大使徒会

1560年に創設されたルネッサンス建築、サン・ロッコ大使徒会はキリスト教徒達の組合の会館で、ティントレットもここの組合員だった。
ヴェネツィアでは、聖ロッコ(ペストに対する守護聖人)が厚く信仰されている。
内部はティントレットが約20年かけて描いた壮大な壁画・天井画が圧巻だ。
1階、2階の大広間に旧約・新約聖書の場面が描かれたティントレットの作品が68点も展示されている。
























建物の内部構造、絵画、天井画いずれも見応えがあり、ティントレットの絵画に囲まれて大広間の中心に立っていると、16世紀の世界に入り込んだような気分になる。
▪️サンタ・マリア・ グロリォーサ・ディ・フラーリ教会
サン・ロッコ教会からほど近い、サンタ・マリア・グロリォーサ・ディ・フラーリ教会。
こちらも見応えがある教会だ。祭壇手前の円形の壁など内部の造りが珍しい。祭壇はいずれも高さがあり装飾も美しい。
また、象嵌の聖歌隊席のオリジナルが現存するのはこの教会だけだという。
ティツィアーノの「聖母被昇天」も圧巻の素晴らしさだ。


ティツィアーノは20代後半でこの作品を描き、「ヴェネツィア絵画の王」として名声を不動のものにしたと言われる。






旅の二日目は劇場、美術館、教会、この他にも幾つか教会を回ったり、店を眺めたり。
閑散期だからこそ歩き回りやすい、故に歩き回りすぎて疲労が嵩む。閑散期の落とし穴だ。
橋を渡って運河を越える度に、疲れのカウントダウンが進んでいく。
疲れでぼんやりする頭の中に、ふと午前中のフェニーチェ劇場の天井画の上品な水色と金色の美しさが浮かぶ。
あんな色合いの布地で、日本の家のソファを張り替えたいものだ。カーテンやベッドカバーもいいな‥‥イタリア製の手織りベルベットの布地をどこかで探そう。
フェニーチェ劇場に行くことができて良かった。Vがこれまで観てきた、どの劇場よりも好きだと改めて思う。
あそこは、Vの過去生、一代か二代前の時代の女性が歌っていた場所だったのだろうか?
永遠にわからない謎ということにしておこう‥‥
次回
③「22年ぶりの偶然の出会い、奇跡の光景」に続く
