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プラハで過ごすクリスマス🎄②Vは深夜のミサに紛れ込む〜プラハ二日目〜

 旅の二日目、朝食後散歩に出ようとOが言う。


 敷地内の公園は大変広く、愛犬は喜んで走り回る。30分ほど歩き回って、教会の前まで戻って見学をしようとすると、張り紙があった。

【12月24日 教会は閉まっているので見学はできません】
 そう、教会はここに限らず24日は閉まっているのだ。この修道院は敷地内の美術館、レストランや、醸造されているビールなどが飲めるバーにしても休み。クリスマスに来たからこそ入れない、というある種の思い出になったのだった。
 
 24日は閉まっているということに慣れてしまうと、逆に24日に開いている教会を見ると、観光客目当てのチャラい奴に見えてしまったりもする。
 いけないいけない、異教徒がキリスト教を知りもせず、気分で余計なことを発言してはいけない。

 神様、失礼しました。24日に開いていてもチャラくないです‥‥🙏


 レストランやバーは別に行かなくてもいいのだけれど、教会だけは観たかった! 昨日のうちに見学すれば良かったね、などと話しながらよく見ると、張り紙には続きがある。

【深夜0時よりミサが行われます。なお23:30より準備の為、教会は開いています】

 深夜のミサ!!!  行ったことない!!!  参加してみたい!!!
キリスト教徒じゃないけど潜り込みたい!!!
ここの宿泊者なのだから許されるんじゃないの?
こんな機会はなかなかない。

 Oに話すと、
「泊り客だから大丈夫なんじゃない? 行こうよ」
と同じ意見である。
 何よりこの有名な教会が、フロント横のドアを開けると目の前にある。正面玄関から出てぐるっと建物の周りを回らなくても、夜中もその便利なドアは開いているらしい。寒い中、移動の必要がない!
できるだけ歩きたくないVには大変ありがたい。

 神様、こんな機会を与えてくださってありがとうございます。異教徒ですが、宿泊者なのでお許しください🙏

 そういうわけで、夜の予定が決まった。見られないかもと思った教会の中が見学ができる。嬉しい♪
案外こういう外観がシンプルな教会は、内部が素晴らしく、見応えがあるものだ。期待が高まる。


 フロントでトラムやバス共通の一日券を買って出かける。駅や車内に券売機がない場合、ホテルで扱うことが多いので旅行者にはありがたい。
 修道院の敷地を抜け、通りに出るとトラムの駅が目の前にある。
 一度乗り換えて、ストラホフ修道院の近くで下車。この修道院は、世界一美しいと言われる図書館を併設しているのだ。他の多くの観光客に続き、長い坂道を上る。

 行ってみると予想通り図書館は本日休み。スイスのザンクト•ガレン修道院併設のあの図書館の美しさを上回るのだろうか。いずれにせよ、いかに教会が権力と財力を持っていたかを象徴する、素晴らしい図書館なのだろう。また次回に来てみよう。


*ザングトガレン修道院図書館はこちらで


図書館外観 この雰囲気は中がきっと凄い

 隣の教会は入り口が空いていて入れるものの、内側にある柵が閉められているタイプの教会だ。内部全体の様子を一応観られるようにしてあるのは、親切なような気もするし、どうせ入り口を開けるのだったら、中も普通に入場させて、という気になる。こちらは異教徒の我儘観光客だから。

 柵の内側にスマホを入れて撮影してみる。撮影をしている人の中で、いつもこれをやっているのはVだけで、周囲の人は柵が写り込む写真を撮って帰ってしまう。
 Vのこういうところが日本人的なのか、Vだからなのか。
 Oからは「いつもよくやるね」と少しだけ呆れられている。

パイプオルガン修復の為の寄付の依頼
天井の感じはバロック様式。この時代の建造物は、ロマネスクもゴシックも取り入れた雰囲気が多い

 神様、柵の内側にスマホを入れて撮らせていただきました。信仰がない為、無礼で失礼しました。
 異教徒Vは、何かと謝る必要を感じてしまう。

 修道院の敷地を奥に抜けると、そこは小高い丘の上であったことがわかる。市内を一望できる、見晴らしの良いスポットになっている。

左側にプラハ城が見える
振り返ると修道院の大きな建物が

 この丘をひたすら下り、またトラムの通りに向かって上がるころには、だいぶ冷えて一休みしたくなっていた。
 最初に見つけた古い街並みの一角にあるカフェは、我々と同じような観光客で大賑わい。

 店の奥に進むと、いきなり穴があった。覗き込むと5mほどの深さ。この店のウリのようで、コインが沢山投げ込まれている。
 店の奥には地下に続く階段もある。この穴がかつてどんな使い方がされていたのか謎。
 網が被せられているが、ガラス板などはなく、何か落としたら大変!  それにリアルに怖い深さなので、Vはその上を踏むことができずにいたけれど、慣れた店の人は当たり前のように踏んで通っている。


ドイツではなかなか味わえない
日本的な柔らかいケーキ🍰美味

 近くの土産物な店で買い物をして、街の中心部に出る。プラハ城が好きなVは、常に行きたい気持ちはあるけれど、前回あまりの混みようだった為、今回はパス。予約すらする気になれず。
 実際他の国でも、人気のある観光地の年末の混みかたは酷いので、懲りてしまった。好きな場所でも嫌いになってしまう。

 この日は、そういうわけでOにしては珍しく予定は決めず、買い物や食事を楽しむことに。
 

トラムの中

 新市街へ。
 前日の教会の近くまで来て、Oが日本食を食べようと言い、向かうことに。

この店はいつも外壁に大きなオブジェが

 向かった先は、少し中心部から移動した先、日本食『泉』。

日本語を知らない人に書いてもらったという文字『泉』


 日本人オーナーとのお喋りを楽しむ。長くヨーロッパに暮らし、プラハで開業されたとのこと。
 3ヶ国語が堪能な方で、チェコ語を習得さえすれば、在留資格は割と簡単に取れたとのことだった。
 
 ヨーロッパで暮らす、と決め、自分でそれを実現させてきた人の、芯の強さや覚悟を言葉の端々から感じる。

嬉しいほうじ茶
日本の味の豚カツ💕美味

 大変美味しい豚カツ🎶 ドイツでは、シュニッツェル用の豚肉はあっても、日本らしい豚カツ用を作れる肉がなかなかない、という話をしてみた。

 すると日本人の調理担当の方が席まで来てくださり、豚肉の部位の選び方と、肉の下処理によって、日本の豚カツに近くなる、というあれこれを教えてくださった。
 「肩ロースの赤いところ、あそこは柔らかいので豚カツ向きですよ。で、叩いてください」

 教えてくださってありがとうございます🙇‍♀️

関西風うどん💕

 うどんは、各国のアジアンレストランで“UDON”として一般的になってはきたけれど、日本人が日本の食材で作っているわけではない。味はなんちゃって感が強い。

 こちらの店は、関西風のちゃんとした日本のうどん。大変美味しい♪  甘く炊いたお揚げも、自分で作る以外は食べられないので、こうして外で食べられるのは大変ありがたい。

Oのカツカレー

 豚カツも頼んだのに、Oはカツカレーまで食べていた。
 ドイツの豚肉事情をヒシヒシと感じる。脂身のある部位や薄切り肉は、肉売り場でいかに説明し、あちらが切り分けてくれるつもりになるかどうかによるのだ。薄切りに関しては、機械が空いていないからとよく断られる。

 モモの薄切りは何度かお願いできたけれど、「豚バラ肉の薄切り」はいまだに手に入らない。
 煮込み料理でも、日本のような薄切り肉を使う方が美味しいのに、といつもVは思う。
 
 お喋りもでき、楽しく美味しい昼食だった。
「また来ます」と挨拶をして店を出る。

 旅行は単に気晴らしなのではなく、こうして気分転換をしながら、日本の味を求めて食べたりすることは、健康の為にとても重要だ。毎日家で日本食を作って食べていても、外の味というものは、かなりストレス解消になる。
 また、たまたまこうして出会った、海外で暮らす日本人同士で話すことは、お互いの励みになるということを感じる。
 またプラハに来たら寄らせてもらおう。

お菓子屋さん

 特徴的な凝った外壁のお菓子屋さんの建物は、観光客に人気だ。

 そぞろ歩きをしながら、あちらこちらで買い物をして午後を過ごしているうちに、気づけば薄暗くなってきた。
 スメタナホール近くまで来たところ、いつも立ち寄るレストランは一杯。そういえば今日はクリスマスイブだ。
 すぐ近くのイタリアンレストランも予約席が多く中は一杯で、辛うじて空いていた外テーブルで軽く夕飯を取る。よく見ると外テーブルにも予約席が何箇所も。
 外と言っても、通路の上に暖房器具があり、上から温められて全く寒くない。

 クリスマスらしい可愛いツリー形のケーキを頼んだ(疲れていたらしく、ここでの写真は撮り忘れた)。
 プラハのレストランやカフェのデザートはとても美味しい。日本的な感覚で食べられる柔らかさ、控えめな甘みで好き。

 この近くにもクリスマスマーケットが出ているのでここにも立ち寄り、その後ホテルに戻る。
 深夜のミサという大事な予定が待っている。

トラムの通りから眺める修道院

 ホテルに帰り着いて、また浴室のサウナで身体を温めて一休み。お腹も膨れているし、かなり歩き回って疲れていた。
 真夜中のミサに行かれるのだろうかと些か不安に思っていると、気づけばOもVも爆睡。

 ハッと気づいて起き上がると、23:30、3時間爆睡してしまった。しかし眠ったので元気いっぱい。起きた時間も教会が開く時間にピッタリ! 

 愛犬には良く言い聞かせて留守番を頼み、フロント横の出口を抜け、教会へ向かう。

 既に多くの人が集まり、続々と中に入って行く。Vたちが入っていっても、特に見咎められることもない。既に席は埋まり、予備の椅子も両脇に並べられていたがそこもほぼ一杯。
 後ろの方にはかなり人が立っている。Vと同じように観光で来た人たちだろうか。まだ椅子には若干余裕はあるが、座ろうとはしないので、やはり地元の人ではないのだろう。


 教会内部は予想通り、荘厳で美しい。ミサの前なので、祭壇の方には近づかないが、目に入る彫刻や装飾の美しさに圧倒された。
 ロマネスク、バロック様式の複合型のようで、重厚さと華やかさもある。
 明日の朝、帰る前に改めて見学に来よう、と思う。

 12月25日深夜0時、ミサは始まった。
 静謐な空気の中、神父様の穏やかな言葉が響く。チェコ語であるので理解はできなかったけれども、想像はつく。
 イエス・キリストの誕生の日、キリスト教徒は、こうして深夜に集い、ここで祈るのだ、Vは初めてその空気を味わう。
 パイプオルガンの響き、讃美歌を歌う声、祈りの声。

 大変な寒さの中、深夜にこの場所までやってくる人々、中には足の悪い人もいた。正門を入って、敷地の中だけでもかなり歩くのだから、徒歩であったり、トラムを使ってやって来るにしても、大変なことと思う。

 どれだけ教会を訪ねてみても、キリスト教徒ではないVには、信仰というものが根本的にわからない。

 宗派の争いであったり、長年の混沌とした時代を経て、キリスト教の長い変遷の歴史がある。
 キリストは民衆を導いたカリスマであるのか、或いは神であるのか、というそもそもの議論や、後に神と認定したのは多数決であるとか、キリストの血脈の謎であるとか、教会が持った権力であるとか、キリスト教にまつわる文学や絵画にしても、世の中に溢れる情報は大変興味深い。
 Vは「ダ・ヴィンチ・コード」などキリストを題材にした本を今でも時々読み返す。
 
 しかしこうして静かに教会に集まり祈る人々の姿を見ると、そうした情報は何と下世話に思えるのだろう。まるで別の次元の話だ。
 科学の発展と宗教は背中合わせでありつつも、共存する。どんな世の中の発展を見ても、信者の心は信じ続ける限り、神の国へと向かうのだろう。

 信仰とはこういうものなのだ、クリスマスとはこういうものなのだ、とVはそれだけを思い、教会を後にした。
 


 翌日、ホテルを出発する前に、再び教会へ。
明るい日が差し込む教会は、ミサの時とはまた別の清々しい朝の美しさに包まれている。
 

彫像がどれも見事

 昨夜は隅々までよく眺められなかったが、こうして朝の光の中一回りしてみると、改めて感動が湧き起こる。
 
 特にパイプオルガンの置かれたバルコニーの美しさは、これまで見たどの教会よりも美しかった。

 パイプオルガンのバルコニーには、周辺に装飾的なものは何も置かれていない教会が多い中、ここは何ということだろう✨

 バルコニーを取り巻く天井画、沢山の天使たちが乗り、4本の柱に支えられた天蓋。パイプオルガンの両側でラッパを吹く黄金の天使像、バルコニーの手すりには両側に天使像まで乗っている。
 これほど見事なバルコニーは初めてで、美しさに圧倒され、涙が滲む。

 それにしても、手すりにまでこうした遊び心ある像が飾られているのは初めて見た。
 作者の感性に拍手しかない👼
 


このように壮麗な装飾のあるパイプオルガンのバルコニーは
滅多にない。本当に観ることができて良かった👼✨


 
 プラハの思い出はいろいろあるけれども、おそらくこの美しすぎるバルコニーの風景は一生忘れないだろう、とVは思いながら、出口の扉を開けた。




               —了—



 
    次回はウィーンへ! お楽しみに

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