ブダペスト最終日〜美しさと活気溢れる街〜そしてVはエリザベート像の前で立ちすくむ
ブダペスト3日目、夕方まで街を楽しむ予定だ。
車をそのままホテルの駐車場に一日置かせてもらい、地下鉄で出かけることに。
ホテルの近くには大きなオブジェのような美術館が。大きすぎて写真のフレームに収まらないので右側のみ。公園の中の道を挟み、左右にRを描いている。ローラースケートの練習場のような形だ。
観光客は階段を上がって、一番上まで行って、座ったり写真撮影をしたり楽しんでいる。




朝から大行列になっているのは、スケート場だった。列の皆さん、とても嬉しそう。スケートが大変お好きなようだ。こんなに寒いのに! 風を切って滑るともっと寒いのに!
他の国でも、クリスマスマーケットの横に特設で作られていて、いつも賑わっている。
ヨーロッパでのスケートは、何かとても特別な優雅な娯楽のように見える。絵本やカードなどによく描かれるスケートをする風景はとても素敵だ。

ハンガリー建国1000年祭の事業の一環で造られた広場である。
中央に立つのは建国1000年記念碑。柱の上の大天使ガブリエルは、ローマ法皇の夢に現れ、イシュトバーン(昨日の教会の、あのイシュトバーン王)に王冠を与えるよう告げた天使と言われている。


ブダペストの地下鉄の入り口は、こうした階段があるだけで、目立つような“U”の表示がなく、近づかないと分からない場所が多い。
そばの道端にチケットの販売機があって一日券を購入し、ホッとする。乗り物のチケットをどこで買うかは、いつも最初の課題だ。販売機も売り場もない駅も多いし、車内でも販売してはいない。ホテルフロントやたばこ屋さんで売っていたり、国によって様々だ。
ホームに降りてみると実に優雅だ。木製のドアに、木製の切符売り場、ホームの端には木製の棚が。古き良き時代の名残りを留めている。








国立オペラ劇場は駅の出口の目の前だ。ブダペストの目抜き通り、アンドラーシ通りにある。
この日の演目は、バレエ『くるみ割り人形』。クリスマスの時期のくるみ割り人形は特に素敵だ。
しかし、Oはチケットを予約しようとしていたけれど、何ヶ月か前に既に全席完売だったそうだ。
劇場の見学ツァーもあるが、公演のある日はお休みだ。
犬がいる為、OとVはいつも交代で別の時間帯で観る。旅行中、時間的な負担が大きいことも確かなので、観られなくてもそこは気にしない。


エルケル・フェレンツ

リスト・フェレンツ(フランツ・リスト)

劇場の外観を撮影していると、どうやら観光客が入っていく様子だった。Oが確認に行くと、観客のチケットの確認は、ホールに入る階段のところでやっており、ホールまでは誰でも見学に入れるとのこと。
建物入り口でチケット確認をするケースが多い中、何と太っ腹な♪ ここも観光地の一つとして見学させてくれるなんて。とても素敵だ🎶

玄関ホールでこの豪華さ、見応えのある装飾だ。1884年に建設されたネオルネッサンス建築の歌劇場である。
2015年、イギリスのオンライン雑誌
「The Telegraph」において、世界で最も美しい歌劇場の1つに選ばれたという。
天井の装飾画や金箔の美しさは、まるで教会や宮殿のような見事さ。








何とヘレンドの陶器🎶


贅沢すぎる
前日に、アンティークマーケットでヘレンドの小物を沢山買ったものの、カップ&ソーサーはこれ以上増やしてはならないと目を逸らした。
この機会にツリーを一周して、柄を眺めて楽しんだ。
こうしてオペラハウスのツリーに陶器をふんだんに提供するハンガリーの名窯ヘレンド、恐るべし。そしてとても素敵だ💕
(なお、ツリーのそばに、説明書きはなかったので、提供されたものではなく、オペラハウスのご購入&アイディアなのかもしれない。或いは毎年のことなので、当然の扱いなのかもしれない)
いずれにせよ、こういう形で見せてくれるのは贅沢で楽しい。
「我々は国を代表する陶器《ヘレンド》をこのように考えている」という体現だ。
外に出るとOが、
「お土産買って来た?」と言うので、慌てて逆戻り。
しかし、バレエの公演が始まる時間が迫り、入り口では、観光客はもう入れてもらえないし、ホールにいた大勢の人々も外に出るように、やんわりと伝えられている。
「お土産を買いたいのですが」と伝えると、それはOK。入れてもらえた。
奥の土産物コーナーに行き、折角なのでバレエ関連グッズを、とバレリーナのオーナメントや劇場限定グッズを買う。
ほんのひと時ではあったものの、オペラハウスの煌めく玄関ホールを眺められて気分は上々だ。







素敵だった。歴史ある劇場は人を惹きつける魅力に溢れている。いつか舞台もまた。
グスタフ・マーラーが音楽監督として指揮したこともあるこの劇場。初演された「交響曲1番」が不評で、マーラーは傷心のままブダペストを去ったという話は聞いたことがある。
マーラーが傷心のまま去ったブダペスト、モーツァルトが傷心のまま去ったオーストリア、ザルツブルク、ヨーロッパで活躍した音楽家たちは自分の音楽を作り出す為に、活躍の場を広げる為に、次々と暮らす場所を変えている。彼らの人生が関わった地は、いずれもドラマチックだ。
ほんのひと時ではあったものの、オペラハウスの煌めく玄関ホールだけでも眺められて気分は上々だ。




教会を見学したりしながら、Oが前日行きたいと言ったNew York cafeに向かう。
「寒いけれど大人気の店だから、頑張って並ぼう」とOは話しながら歩く。
あと200mほどで到着する、と話したその時、左側にラーメン屋さんが現れた。
「うわっ! ラーメン屋がある!!!! どうする?!」
とOが騒ぐ。
「どうするって、New York cafeに行きたいって言ったのパパだから、決めてよ」
と、Vが言い終わる前に、Oは
「入ろう!」
あれだけ大人気のNew York cafeは、ラーメンに敗北した。
この寒さの中、お腹もぺこぺこ。ラーメンに抗える訳がない。
日本人スタッフが奥にいるようだ。店頭にはアジア系のスタッフが。
“WAFU - Japanese gastro pub -”
Budapest, Kazinczy u. 3, 1075
日本の味が恋しくなった人にはお勧め。“WAFU”
ヨーロッパにある日本料理店は、大抵こういう傾向の店名が付けられる。


外国人は北斎が大好きだ





懐かしや
寒い中、こちらの店のラーメンは大正解だった。おそらくレシピは日本人によるものだろう。
美味しい日本のラーメン🍜だった。麺も日本で出されるような食感の、スープによく絡む麺。
店の自家製麺かもしれない。
他によく見かける、日本人不在のなんちゃって感のあるラーメン店や日本料理店の麺の場合は、フォーに近かったり、乾麺だったり、何とも言えないものが出される。極端に不味くはなくても、日本のラーメンではない。
O もここで良かったとご満悦。
店を出てNew York cafeの横を通り過ぎる。列は更に長くなっており、何の未練もない。
前日もこのNew York cafeの横を通った。連日大賑わいである。
New Yorkといっても、モダンな店内ではなく、がっつり中世の建物で、大層広く、凝った造りなのだという。
200人を超える列に並ぶか、他の観光に切り替えるか、Oが選んだのは後者だった。正解だと思う。
天気は晴れ上がっているものの、風があってとても寒い。気候に関係なく行動するOですら、
「この寒さでは、あの列に並ぶのは嫌だ」
というくらい寒い。





✨✨☕️✨☕️✨☕️✨✨
地下鉄でドナウ川沿いに移動。

Oは市場が大好き。どこの国でも市場にお出かけする。
ハンガリーのあらゆる食材が集まる市場だ。市内にある数カ所の市場の中でも、ここが最大で、名産のパプリカやソーセージなどの加工肉など、チーズやワインや、フォアグラ、魚介、野菜や果物、とても豊富な食材が並ぶ。
食べ物以外には、カロチャ刺繍や民芸品などお土産物も沢山。










楽しかった🎶
さて、New York cafeに行かなかったことにより、市場に出かけ、まだ時間は余る。
Oは何か計画があるようだけれど、Vには話さない。何だ何だ。
地下鉄で移動して、市場でも結構歩いたので、疲れてお茶が飲みたい、と思った時だった。目の前に美しきカフェが。

5区にある、カフェ ジェルボー、1858年創業。
エリザベート皇妃が訪れたこともあると伝えられる有名店で、店内は19世紀の華やかなブダペストの雰囲気をそのまま伝えているような調度品の数々。
Vはcafe New Yorkより、勿論こちらの方が好きと大喜び💖。オタクだもの。Oも大満足のようだ。






ケーキは「ブダペストでも屈指の美味しさ」と言われている。
豪華な味わい、日本のケーキのような柔らかさ、繊細な甘みで大変美味。










歴史あるこのカフェ、美しさと美味しさと居心地の良さ、いつまでも座っていたかった。
エリザベート皇妃は店内のどの辺りに座ったのだろう。甘いもの好きの皇妃は、こちらのケーキをさぞかし気に入ったことだろう。
広い店内は満席で、帰る頃には列ができていた。来ようと思えばいつでも来られるブダペストの地元の人たちが羨ましい。
ウィーンに夜までに着かなければいけない。そろそろ出発しなければ。
ホテルまで帰り、出発する。去り難い。ブダペストはまだまだ沢山の魅力的な場所がある。1週間くらいゆっくりしたいものだ。
4時を過ぎると、あたりは薄暗くなってくる。ウィーンを目指す前に、ブダペスト最後に訪ねる場所、エリザベート橋を渡って、最後の、そして最大のVが訪れたかった場所に行くのだ。









ここから先、ドナウ川のほとりの公園で、エリザベート像に対面したエピソードは、番外編として、本編より先に投稿した。
魔の刻にここを訪れた、Vの衝撃の体験は是非こちらで。

皇妃像の中で唯一と思えるほど、リアルな皇妃に近い表情。
豪華な衣装、動きのある表現、名作である
公園から離れて、車はぐるりと回って元の道に戻り、ウィーンに向かう。

最後にもう一度エリザベート橋を眺める。それからウィーンまでの244km、Vはエリザベート像の表情を思い出す度に湧き起こる、背中の寒気を止めることができなかった。
ブダペストの沢山の思い出は、最後のエリザベート像に持っていかれた。生涯忘れることはできそうにない。
—了—
【次回の予告】
ウィーンで旅の最終日を過ごすV。街の最後のお買い物はいつものアレ🍡。お楽しみに!
