部下が突然辞める本当の理由|優秀な上司ほど実践している「平時のマネジメント」
問題は、急に起こったわけではない
あなたは、部下から突然、
「会社を辞めようと思っています。」
と言われた経験はありますか?
あるいは、
「実はもう限界でした。」
そんな言葉を聞いたことがあるかもしれません。
私は現在、人事としてリーダーのコーチングや組織支援をしています。
その中で、現場のリーダーやHRBPから離職危機にある方、キャリアに迷いのある方など、さまざまな相談を受ける機会があります。
しかし、そのたびに思うことがあります。
「もう少し早く相談してくれていたら違ったかもしれない。」
時に、上司から、自分の部下がキャリアに迷っているのでコーチングをしてほしいと相談をいただくことがあるのですが、その時にはすでに遅く、本人の中で、退職の覚悟が決まっているケースがほとんどです。
なのでコーチとしてはニュートラルにかかわりつつ、本人の思考を整理していった結果、退職の後押しをする関わりにしかならないということがよくあります。
「有事」とは、見えない時間の積み重ねの先に起きたこと
HRBPや現場の上司が、現場メンバーのメンタル不調、退職リスク、ハラスメントなど「有事」の対応に奔走する姿をよく見かけます。
たいていが、コトが起きてから対処するという状態です。
しかし、コトは本人の中ではずっと前から起きていて、何回も、何十回も相談しようと悩んだ末に言えなかった言葉があったかも知れません。
「上司が忙しくて相談できなかった」
「相談しても変わらないと思った」
「こんなことを言ってはいけないと思った」
ということで、表には出てこない。
だから見えない。
でも、見えないだけで存在しています。
私は有事とは、この見えない時間が積み重なった結果なのだと感じています。
人は会社を去るのではなく、人のもとを去る
"People leave managers, not companies." (人は会社を去るのではない。上司を去るのだ。)
元ギャラップ社の研究員らが、1999年のベストセラー著書『First, Break All the Rules: What the World's Greatest Managers Do Differently』(1999年)の中で、伝えている言葉です。
より広く解釈すれば、人は人が理由で会社を去る。(People leave companies because of people.)
だからこそ平時の際に、如何に部下の心の揺れ動きを察して、そこに能動的にかかわるのかが大切であり、これはリーダーが持つべき重要スキルであると考えています。
以前にこちらの記事で、察する力について書きましたので、具体的な方法はぜひこちらを参考にしてください。
そして私は逆もまた真実ではないかと思っています。
People stay because of people.
人は、人によって会社に残る。
「この人と働きたい。」
「この人になら話せる。」
そんな存在が一人いるだけで、人は踏みとどまれることがあります。
だからこそ、リーダーの仕事とは、目の前の業務を管理することだけではなく、人心を扱い、マネジメントしていくことなのです。
私も、リーダー育成の一環でリーダーとのコーチングをしている中で、リーダーが隠していた深刻な悩みに触れ、その後継続的なコーチングに発展したことがあります。
そのかかわりから半年、元気を取り戻したそのリーダーが私に話してくれました。
「あの時かかわってくれていなかったら、私はとっくにこの会社を辞めていたと思います。誰も助けれくれる人はこの会社にいないと思い込んでいました。今は信頼できる仲間とこの会社で働き続けることに納得をしています。」
と言ってくれました。
誰にも相談できない悩みを抱えている人は、確実に組織に存在しています。
だからリーダーは、その見えないものを見ようとする感度が必要です。
一見何も起きていないように見えても、氷山の上でうごめいている人間の感情は、声にならない声で誰かに助けを求めています。
何も問題が起きていない時間こそ、リーダーは試されています。
大事なのは、「有事のマネジメント」ではなく「平時のマネジメント」なのです。
部下はあなたのことをどんな上司だと表現しますか?
あなたの部下は、あなたのことを「どんな上司」と表現すると思いますか?
「仕事のことに真剣で、いつも手いっぱいな上司」
「仕事の関係と割り切った関わりをしてくる上司」
「心から仲間として自分を必要としてくれる上司」
どんな認知を”意図せず”与えているでしょうか。
平時とは、問題が起きていない時間ではありません。
人との関係性に投資できる時間です。
世界は関係性で成り立っています。
関係性こそリーダーが管理すべきマネジメントの対象であり、時間をかけてしか育めない種類のものです。
その積み重ねが、
「この人になら話してみよう。」
そう思える組織をつくっていくのだと思います。
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