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「申し上げにくいのですが」
「じゃ、申すなよ」
え?
「言いにくいんでしょ?無理して言うことないよ、じゃ、そう言うことで」
うわぁ、待って!
「言います、言わせてください!」
「言いたいの?」
「はい」
議会で却下されたが諦めきれない。
「1万5000人収容できるサッカー専用競技場を作りたいんです!客席に屋根付きの…」
これじゃ、さっき却下された時に言った言葉のままではないか。
「なんで?」
え?今日の議会出席でしたよね?
これは普通に話しても通じないタイプか?
それなら
「プロサッカーチーム、持ちたくないですか?」
大雑把にざっくり、結論からだ。
「持ちたい、いいね、それ。じゃ、そう言うことで」
え?いいの?だったら……
「こちらに印鑑をいただいてもよろしいでしょうか?」
急に紙を渡され戸惑っているのがわかる。
さすがに渋るよな、冷静になるよな。
「どこ?ここ?」
え?押印の場所探してたの?
「はい、こちらです。」
なんの迷いもなく角印は押された。
「あの?意味わかってます?」
「押した後にそれ聞いちゃう?」
だって、いとも簡単に押すと思わないじゃないか!
「欲しいね、新たな風、人々の集う場所」
遠い目をした知事が一瞬別人に見えた。
「あ、でも、まだ何か足りないよね?目玉になるような何かが。じゃ、そう言うことで」
知事は穏やかな顔でちょっと微笑みながら言った。
はっ、すぐ川淵さんに連絡しなくては。
川淵さんの反応は意外なものだった。
「作るって言ったって人口4万5000人の町に1万5000人のスタジアムを作って一体何になるんですか?」
へっ?
その条件出したの川淵さんですけど?
「強化面に不安がありますね。いい選手を外国から獲得してファンを増やすのはどうですか?」
外国人選手?これだ!知事の言ってた目玉は!
「アドバイスありがとうございます」
気づいたら走っていた。

川淵は後に「鹿島がプロに参加できる可能性はどのくらいあるか?」と聞かれたとき「100%ない」と答えればいいものを、それでは身も蓋もないと考え、「99.9999%は無理です」と答えてしまった、と回想している。
0.0001%しかない不可能としか言いようのない難題を解決、更にジーコを地球の裏側から招致することに成功。こうして鹿島アントラーズは彗星の如くJリーグに誕生したのである。

(引用・参考図書『采配力』川淵三郎【著】 PHP新書 2010年)
*この物語はほぼフィクションです。

#一言で表せない感動

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