【毎週ショートショートnote裏】チラ見バーガー
「チラ見バーガー」が話題だと聞いて、行ってみた。
運ばれてきたバーガーには、奇妙な注意書きが添えられていた。
《バーガーの中身は“チラ見”する程度にしてください》
最初は宣伝用のジョークかと思った。
紙をめくり、少しだけのぞく。見えた中身はなんだか嫌な感じがして、一瞬で目をそらした。
パンの間に、蠢く影のようなものが見えた気がした。
周りの客も同じように、チラッと見てはすぐに目を逸らし、なんでもないようにかぶりついていた。
恐る恐る口にすると、これがとてもおいしい。スパイスの奥に、形容しがたい旨味が広がっていく。
「これはクセになるな」
そう思った瞬間、好奇心が入道雲のように湧いてきて、どうしても中身を確かめたくなった。
再びそっと紙をめくり、長めに覗き込む。
しばらく見ていると、突然、影の塊がぎょろりとこちらを向いた気がした。
「ーーーっ!」
慌てて紙を閉じる。冷や汗と鼓動が止まらない。
やがて皿を下げに来た店員が、にこやかに言った。
「大丈夫でしたか?じっくり見すぎると……中に、引きずり込まれてしまうんです」
チラリと奥を見た店員の視線の先には、大きな業務用の冷蔵庫があった。
ちょうど開いた扉の中から、「バーガーの具材」になった客たちの目が、チラチラとこちらを覗いていた。
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