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京極杞陽句集『六の花』を読む。

京極杞陽句集『六の花』より、好きな句、気になる句。



特に好きな句 十句選

美しく木の芽の如くつつましく 「くくたち上」

風の夜のポプラの空の花火かな

一羽にていそぎおよいでゐる鴨よ 「くくたち下」

妻いつもわれに幼し吹雪く夜も 「但馬住」

蠅とんでくるや箪笥の角よけて

雪国に六の花ふりはじめたり

うまそうなコップの水やフリージヤ 「花の日に」

ブラウスをつまんで涼を入れてをり 「露地の月」

親馬の腰に頬寄せ子馬行く 「さめぬなり」

スリッパもあたたかさうに父の部屋

ふらんす堂 京極杞陽句集『六の花』山田弘子編より抜粋  


好きな句 二十句選

よきことの一つ日脚の伸びしこと 「くくたち上」

汗の人ギューツと眼つぶりけり

目をひらけそしてこの草紅葉を見よ

打水の水の大きな塊よ 

鴨居先づ打つて入り来し兜虫 「くくたち下」

ねんねこやあかるい方を見てゐる子

睫毛伏せ鄙のをとめの雪に佇つ

編棒を三本挿せる毛糸玉

子供らに雪ふれ妻に春来たれ

すぐ泣く子今泣きさうに悴みて 「但馬住」

自動車の中で日焼けし指輪の手

ででむしの角の暫く一本に

はしりすぎとまりすぎたる蜥蜴かな

手に蕗を持ちて袂のさがしもの

夏帽をとりに走りぬうれしさに

秋水の汲みしと見えて揺れてをる

夏山の立てば鴨居にかくれける 「花の日に」

惜春や耳の形の噴火口 「露地の月」

手でひねり点けひねり消す秋灯 「さめぬなり」

紙漉いて九官鳥も可愛いがり

ふらんす堂 京極杞陽句集『六の花』山田弘子編より抜粋


驚いた句

ハンカチは美しからずいい女 「但馬住」

スエターの胸まだ小さし巨きくなれ

初湯中黛ジユンの歌謡曲 「露地の月」

アダムの夜短しイヴの夜短し 

山陰のじやじやじやじや雨や秋の雨 「さめぬなり」

猫の姫猫のごんたと恋をして

朝寝してスペースシャトル飛ぶがまま

ふらんす堂 京極杞陽句集『六の花』山田弘子編より抜粋


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note にて俳人の句についてを書かれている、Hideさん梅田 津さん、がともに挙げられた〈蠅とんでくるや箪笥の角よけて〉の句で、それまであまり目を向けていなかった京極杞陽氏に興味を持った。

ネットにて『六の花』がたまたま容易に手に入り、今回の旅(8/3-8/22)に持参。
「代表作を網羅し精選410句を収録」と書かれていたが、ほぼ一気。非常に面白く読んだ。

海外を感じさせる句もありつつも、それらにはあまり魅力を感じずの、三十句+七句を結果として今回は引いた。
妻や子へのあたたかな目線、虫や動物など生きものへの目線、独特な写生、など刺激的。
「驚いた句」に挙げた七句には大いに笑った。

今週初めより、少々心が病んでいるのだけれど、京極氏に慰められたような気分。ありがたし。


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トップ画像は、カナダ・アルバータ州、バンフ国立公園にあるペイトー湖(Peyto Lake)。まさに氷河湖の色である。

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