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邦楽の森に迷い込み“尺八の沼”にハマる|ジャズとの融合から究極の「春の海」まで

困った~、困ったなぁ~

山本リンダみたいに「こまっちゃうナ」と甘えるわけにもいかないし・・・。

そうです。わたしが還暦過ぎてやがて5年になるゆーしんけんです。

あ、いかんいかん。『「高齢化に歯止めがかからない」って表現どうなの?』とか書いたそばから不適切にもほどがある。


前置きで滑り倒したから、そろそろ本題に入らせていただきますわ。


投稿コンテスト「#ハマった沼を語らせて」にNegiccoの記事で参加したのですが、複数の作品投稿も可能だとか。

こんな機会はそうそうないので、もう一つ“沼”を明かすことにしました。

それが「尺八の沼」です。

なんて宣言したものの、どのように書いてよいかわからず困っています。

これは本音なのですが、頭の中にごちゃごちゃした“想い”はあるので、とりあえず書き始めてみるとしましょう。

最後はちゃんと締めるつもりなので、どうかお付き合いください。


和楽器バンドの功績

詩吟師範でもあるボーカルの鈴華ゆう子が「伝統芸能をよりポップに世界へ広げたい」という思いから呼びかけて、邦楽器の若手奏者で結成した「和楽器バンド」。

ボカロ曲をカバーした『千本桜』などのヒットにより琴、三味線、和太鼓そして尺八を広く知らしめました。

一般的にJ-POPなどを「邦楽」、海外のロックやジャズなどを「洋楽」と呼びますよね。だから「邦楽バンド」では紛らわしくて「和楽器バンド」としたのではないでしょうか(個人的見解)。とにかく「和楽器」を冠して正解だったと思います。

ライブや配信ではボカロ曲カバーやオリジナル曲だけでなく「純邦楽」曲も披露しています。お正月に流れる琴と尺八でおなじみ『春の海』を大胆にアレンジした「春の海 Remix」は和楽器バンドならではのパフォーマンスでしょう。

忌野清志郎が「最高のロックンロールだぜぃ!」と坂本九の『上を向いて歩こう』をRCサクセションでカバーしたときも賛否の声はありました。当時、わたしがカーステレオで流したら助手席に乗っていた同僚が「これは許せない」と憤慨したものです。わたしはキヨシローなりのリスペクトを感じてロック調『上を向いて歩こう』も大好きなのですが、人それぞれですね。和楽器バンドの「春の海 Remix」も同じようなリスペクトを感じます。

そんな「邦楽界」にとって貴重なバンドが2024年大みそかをもって活動休止したのは残念です。


ジョン・海山・ネプチューン

時は遡って1979年。ビートルズをよく聴いていたわたしは、そのアレンジの斬新さから「三味線や尺八もロックに使ったらおもしろそう」と考えました。高校三年生のとき、学校近くにあるレコード屋で目にとまったのが「尺八」のイラストをデザインしたアルバムです。

LPレコード『バンブー テクスチュアーズ』


『バンブー テクスチュアーズ』(ジョン・ネプチューン 海山)を買ったことで「尺八の沼」のほとりに足を踏み入れたというわけです。

「私は尺八の作曲にあたって、努めて音楽的な綾を探索するよう心掛けている。尺八は私にとって神秘的にさえ思われる。単に竹に五つの穴があけられた縦笛でありながら無限の音を秘めている。

尺八による表現に限界があるだろうか・・・我我人間がこれに接し得る時間に限界が存在するのみである。

『バンブー テクスチュアーズ /ジョン・ネプチューン 海山』より
『バンブー テクスチュアーズ』ライナーノーツ


それから10年以上を経てインターネットが普及してからネットで調べる時代が到来。わたしは彼のことを詳しく知ることができました。

ジョンが大好きなサーフィンを極めようとハワイの大学に行っていたときのこと。近くに住む禅僧と出会い、尺八の手ほどきをうけたそう。

大学を休学して日本に渡ると、京都で都山流家元・三好芫山(げんざん)門下に入門。正座して挨拶をするところから学んだといいます。

やがて都山流師範の免許をもらい雅号「海山」を授かり「ジョン・海山・ネプチューン」を名乗ります。


山本邦山

大学生になったわたしは、邦楽部の先輩に誘われてすんなりと入部しました。「ジョン・海山・ネプチューン」が好きだと話したら「おお、なかなか見込みがあるぞ」と言われて悪い気はしません。邦楽部には琴や三弦(三味線)のパートもありましたが、もちろん尺八を選びました。

現役だけでなくOBの先輩もよく部室に顔を出しては“邦楽談義”に花を咲かせるんですよ。それを聞くのが楽しみでした。なかでもわたしの脳みそに刻まれたのが「山本邦山はすごい」ということです。

すでに都山流尺八の第一人者として知られていた山本邦山。なによりジャズとコラボした先駆的な活動は若手演奏家たちの血をたぎらせました。

2002年に人間国宝と認められるのですが、数々の実績を思えば誰もが納得したことでしょう。

そんな山本邦山がジャズオーケストラと『Take Five』を演奏したときの映像を見つけました。尺八一本でビッグバンドとセッションする姿が印象的です。

ちなみに現在の邦楽界で活躍めざましい尺八の“雄”藤原道山は10代で山本邦山に師事しました。積極的に洋楽とコラボする姿は師の意思を引き継いでいるかのように感じます。

さて大学の邦学部時代、諸先輩たちがよく語っていたもう一つは「尺八三本会」でした。山本邦山、青木鈴慕、横山勝也の三人で結成して尺八界を牽引したと言われます。

わたしは当時、もっと尺八を知りたくてLPレコード『青木鈴慕の尺八』(1982年)を買いました。


尺八はわたしが購入した木管です。


金田一春彦氏による解説では「琴古流尺八の名手、青木鈴慕」について次のように書かれています。

その演奏は、あたかも目の前の真っ白な和紙に太い筆で思い切りよく品格の高い文字を書き記していくように、ほかの演奏家には見られない特徴のある太い音色を、とことんまでコントロールし、大胆さと繊細な音楽性とがみごとにバランスのとれた、実に骨太な音楽を常に感じさせる。
(中略)
青木鈴慕がこれまで尺八界に果たしてきた役割は大変に大きい。古典は言うに及ばず現代邦楽においても、横山勝也、山本邦山等の秀れた演奏家と結成した尺八三本会での活躍は目覚ましい成果を残している。

『青木鈴慕の尺八』金田一春彦氏の解説より


このレコードアルバムに収録されている『鹿の遠音』(琴古流本曲)は青木鈴慕と横山勝也が“呼び返し”という二つの尺八によるカケ合い形式で演奏したものです。

わたしは今回、この「#ハマった沼を語らせて」に向けて記事を書くため、ネットでさまざまな動画を探しました。

『鹿の遠音』を映像で視聴して、改めて実感したのです。「俺って、今でも沼ってるな」と。さらに箏・宮城喜代子、尺八・青木鈴慕による『春の海』を聴いたとき、「ああ沼は深いな」と思いました。

ジョン・海山・ネプチューンが「尺八による表現に限界があるだろうか・・・」と唸ったのはこういうことなのでしょう。


さて、困ったなぁ~といいつつ「尺八の沼」について書き始めた記事もなんとか終わりそうです。ここまでお付き合いいただき誠にありがとうございます。

最後は関連映像を紹介して結びにしたいと思うのですが、一度に全部見るのは目も疲れるしなにより時間がかかります。どれか一つだけと言われましたら、箏・宮城喜代子、尺八・青木鈴慕による『春の海』をおすすめします。でも本当は全部見てほしいのですよ。
ではまたなにかの「沼」でお会いしましょう。

【関連映像】

☆和楽器バンドによる「春の海 Remix」


☆ジョン・海山・ネプチューンの紹介映像


☆山本邦山がビッグバンド「ブルーコーツオーケストラ」と『Take Five』を演奏


☆『鹿の遠音』(青木鈴慕、横山勝也)


☆☆『春の海』(箏・宮城喜代子、尺八・青木鈴慕)


▽おまけ(文中で触れた純邦楽でない楽曲の関連映像)
【超貴重映像】山本リンダ こまっちゃうナ レコード売上50万枚突破記念パーティ +α


THE RC SUCCESSION - 上を向いて歩こう【FROM THE VAULT】


【参考文献】



※この記事は「騙り部」(カタリベ)活動に参加しています


【お知らせ】
小説投稿サイト「エブリスタ」に連載中なのでよろしくお願いします。



#ハマった沼を語らせて


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