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【福岡】リッチでエレガントな夜行列車の旅 | 青春18きっぷツアー2005(前編) | 2005年アーカイブ


なかなか旅に出られないときは、他人の旅行記を載せたホームページをよく眺めている。その中で世代的に多いのは、やはり時間をたっぷり持て余している大学生。彼らは18きっぷやバイクなどで、あちこち駆け回っている。

時間に制約のある三十路過ぎの我々には、大学生のような時間と体力に贅沢な旅はできない。ならば、若さとは別の武器で対抗するしかない。
そんなことを考えあぐねていたところ、筆皇がふと口にした言葉が、今回の旅のコンセプトとなった。

大人の魅力――リッチでエレガント。

そう、我々に残された武器はこれしかない。


就業時間を終えた木曜日の夕方、名古屋駅で筆皇と合流し、米原で京都行きの快速列車に乗り換えた。

本来ならすぐに発車するはずだったが、強風のため列車はなかなか動き出さない。このままでは、京都から乗る予定の「ムーンライト九州」に間に合わないかもしれない。かなり焦ったものの、どうにか乗り継ぐことはできた。

ただし、まともな夕食を買う時間までは残されていなかった。思えば、これが旅のケチのつき始めだった。


京都駅で出発を待つ「ムーンライト九州」
京都~博多間の臨時夜行快速で、青春18きっぷでも乗車できるが、全席指定のため別途指定席券が必要である。
牽引するのはEF65形1000番台
昨年乗ったムーンライト高知と同じ。


客車は、「シュプール号」に使用されていた14系200番台
スキー客向けに改造された車両で、京都側の編成端には展望室があり、更衣室や大型の荷物置場も備えた特別仕様である。

そして何よりありがたいのは、背もたれが固定できない、いわゆる「バッタンコシート」ではないこと。これで今夜の安眠は約束されたようなものだ。

シート詳細は過去記事にて

車体側面の列車愛称表示器には、『ムーンライト九州』の文字。
田舎スナックの看板みたいだった。

展望室
全席指定なので、席にあぶれたわけでもないだろうに、すでに鉄ちゃんが展望室に落ち着いている。カバンからは、フルサイズ版の時刻表が顔をのぞかせている。

ちなみに自分も時刻表を持ってきていたが、ミニサイズ判なので、自分は鉄ちゃんではない。


走り出した列車の中でくつろぐ筆皇
今回の旅のコンセプトどおり、実にエレガントな雰囲気を醸し出している。事情を知らない人が見れば、どこぞの貴族が夜汽車の旅を楽しんでいると思うに違いない。


戦うサラリーマンの睡眠にパジャマは不可欠。もちろん足元は革靴。


展望室でエレガントなひと時を過ごすことにする。
ちなみに左側のおじさんは、ワラジカツ弁当を二つ食べていた。


小雨が止まない東海道をひたすら西へ。
雨で煙った景色を眺めるカップルと、景色を雨で煙らせたスーパー雨男、筆皇。


鉄ちゃんに写真を撮ってもらう。
カメラを返してくれる際、左のお兄さんに体当たりしたのだが、本人はまるで気にした様子もなく、そのままこちらへやってくる。
お兄さんの眉間のシワがみるみる深くなっていくのにも気付かず、何事もなかったかのようにカメラを差し出してくる。

撮ってもらっておいてなんだが、こちらがヒヤヒヤする。


明日に備え、自席へ戻って眠ることにする。

この写真を撮ってくれたお姉さんは、その約1時間後、途中駅から隣に座ったお兄さんと壮絶な口喧嘩を始めた。ようやく静かになったと思ったのもつかの間、今度はお兄さんが再びエキサイト。気の弱い自分たちはヒヤヒヤするばかり。
眠れない…。

しかし、生物学上、男は女には勝てないのだ。最後はお兄さんが捨てゼリフを残し、席を立って去っていった。

この列車は全席指定。しかも、この日は満席である。お兄さんに残された居場所は、トイレか展望室しかない。


隣席の龍虎の争いも終わり、少し落ち着いた頃、後ろのおじさんが、車掌さんに何やら文句を言い出した。

「ヨーロッパの列車は、こんなに揺れないぞ!」

うちの婆ちゃんベン・ジョンソンペ・ヨンジュンじゃないよ)を100m走で競わせるような、あまりに無茶な比較を持ち出され、困り果てる車掌さん。
その後、話す機会があったので、声をかけてみた。

「大変ですね」

「ええ。でも、文句を言われるだろうなとは思っていたんです」

どうやら、車掌さんも認めるほどの乗り心地の悪さらしい。

確かに、最初のうちは気にも留めなかった揺れも、長時間乗っていると、だんだん度が過ぎていることに気づく。列車が少し減速するたび、ものすごい音とともに、体が前へつんのめる。

眠れない……。

しかも、座席の暖房は尻が低温やけどになりそうなほど熱い。たまらず車掌さんに助けを求める。

「ええ。でも車両が古くて、うまく調整できないんです」

眠れない……。


5時半頃、本州西端の下関駅に到着。
ここで朝飯を調達する。


その名も「晋作弁当」
もちろん、中のおかずと何ら関係のないネーミングである。
萩駅で売るときには、「松陰弁当」になるのだろう。


6時過ぎ、目的地の小倉駅に到着。
さっそくモノレールに乗り、この日最初の目的地へ。


最初の目的とはもちろん、男の身だしなみである「入浴」だ。

エレガントなサラリーマンは、わざわざモノレールに乗ってでも風呂へ行くのだ。


次回、誰かが住む堡塁跡へ

<つづく>


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