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#15 でんぐり

私は朝からぷらぷらにいる。

そう、有無を言わさず、強制連行されたのだ。

理由は、「さかだちできた」。

どういうこっちゃ…

おそらく私に自慢したいのだろう。

広い草原。

周りには何もない。

ここで披露するようだ。

「みてて」

すごいどや顔で言ってくる。

「はいはい、がんばって」

すると、かうぽんは大きく腕を上げ、勢いよく地面に手をついた。

そして――

くるん。

そのまま一回転して、仰向けになった。

(…?)

かうぽんは賞賛を求めるように、こちらを見る。

だがその時、私は大人げなく言ってしまった。

「これさ、逆立ちじゃなくて『でんぐり返し』じゃない?」

すると、かうぽんはむっとした顔で、

「さかだち」

と言い張る。

多分この日、私は虫の居所が悪かったんだと思う。

朝から小さなことが全部うまくいかなかった。

靴下は片方見つからないし、
牛乳はあと一口しか残ってないし、
出かけようと思ったら、かうぽんに連行されるし。

なんだかイラっとして、さらに言い返してしまった。

「いやいや、逆立ちは転がらないもん。
無理やり連れてきたのに全然できてないじゃん」

言ったあと、
少しだけ胸がちくっとした。

…でも、もう引っ込められない。

すると、かうぽんは何も言い返してこない。

あれ?と思って見ると、
目にいっぱい涙をためていた。

「え!?なんで??私が悪いの??本当のこと言っただけじゃん!」

かうぽんは、ついに大声で泣き出した。

「なんでそうなるの…」

その姿を見ていたら、私まで無性に悲しくなってきた。

ぎゅっとこぶしを握る。

「私だって泣きたいもん!!」

うわぁ~~~~~~~~ん

草原の真ん中で二人そろって大号泣。

* * *

気が付くと、私たちは泣き疲れて寝てしまっていた。

私が起きると、かうぽんもつられて起きた。

なんか気まずい。

すると、かうぽんはポケットをもぞもぞ。

中から冷えた牛乳を2本取り出し、
1本を私に差し出した。

「あ、どうも」

とりあえず開けて飲む。

大声で泣いてカラカラになった喉に、
冷たい牛乳がじんわり沁みる。

「ぷは~~~~」

一気に飲み干してしまった。

すると、かうぽんがぼそっと言った。

「…でんぐり」

「ん?」

「かうぽん、でんぐりめいじん」

「もしかして、『でんぐり返し』気に入った?」

「でんぐり、でんぐり、かうぽん、でんぐり」

なんだか嬉しそうに、うねうねしている。

その光景がおかしくて、
思わず吹き出してしまった。

気まずかった空気が、一気に消えていく。

「そうだね。かうぽん、でんぐり名人だ。すごく上手だった!」

「ふむ」

「は~、私もでんぐりしちゃおうかな!」

「ふむ」

「行くぞ!!!」

数年ぶりのでんぐり返しをすると、
目の前いっぱいに青空が広がった。

なんだか、
心の中まで一回転した気がした。

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かうぽん|思考の散歩をする牛 ご支援ありがとうございます🐄🍀 いただいたチップは、かうぽんのおやつ代として大切に使わせていただきます☺️