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【ショートショート】チラ見バーガー

 丸く切り取られた視界の中に、数え切れないほどの星が散りばめられている。

 トムは南の空に浮かぶベテルギウスを探した。いつ爆発してもおかしくないと言われている星。それが観測できれば、アマチュア天文家冥利に尽きると言うものだ。

 丸い視界をチラリと何かが横切った。一瞬のことだったが、それはトムのよく知るものに似ていた。

「いやいや、そんなバカな。いくら好きだからって」と独り言ちながら、右手のダブルチーズバーガーを一口かじった。再び望遠鏡をのぞき込む。星空にハンバーガーが浮かんでいた。それは徐々に大きさを増していくと、望遠鏡の視界をバンズ色に染めた。

 望遠鏡から目を離し呆然と立ち尽くす。右手からダブルチーズバーガーが地面に落ちた。
 
 巨大なハンバーガーはトムの頭の上に停止し、静かに着地した。バンズとパテの間が開き、緑色のピクルスに手足が生えた宇宙人が出てきた。

 それはフォークのようなものをトムに突き出し、「美味しく食べてほしいんです」と、紛うことなき地球の言葉を発した。

 口をあんぐりと開けながら、トムはフラフラと彼に近寄った。突然目の前が真っ白に光り、トムはパテになっていた。

「美味しく食べてほしいんです」は、彼らの言葉で「動かないで両手を上げろ」の意味だった。

 パテになったトムは巨大なバンズとパテの間に挟まれた。宇宙人はハンバーガーに乗り込むと、再び夜空に浮かび上がる。

 トムは薄れゆく意識の中で、「ダブルチーズバーガーとして生を終えるのも、悪くない。美味しく食べてもらいたいものだ」と願った。それに応えるように、ベテルギウスがキラリと明るく光った。


 終


たらはかにさまの毎週ショートショート【チラ見バーガー】に参加させて頂きました。

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