【ショートショート】ファースト奇襲 (1000文字くらい)
──さあ、今年もこの季節がやってまいりました。アルティメット甲子園が始まります。全国の球児が、今か今かと固唾を飲む音が放送席まで聞こえてきそうです。殺し以外は何でもあり、究極の試合が始まります。解説は私、河豚沢が務めさせていただきます。
「プレイボール!」
──さあ、両校準備が整ったようです。PS学園ピッチャー投げました。打った!打球は左中間を抜ける……これは、バイクだ、原付だ!50ccが風のように1塁に向かっていく!あ〜〜っと、1塁落とし穴だ!バイクが消えた!1番バッターの坂口くん、女手ひとつで育てられた母親思いの孝行息子、無事なのか?無事なのか──セーフだ!穴の底の1塁をタッチしている!さあ、打者は2番の金澤くんです。
「必ずお前をホームベースまで返してやる」
──お〜っと金澤くん、予告ホームランの構え。どうなるんでしょう……ピッチャー、振りかぶって、投げた。あ〜っと、なんてことだ!金澤くんが新庄に代わっている!元プロ野球の選手を突然出してきた!これは汚い!打ったー!!打球はグングン延びていく!──入らない!入らない!さあ、大きく跳ね返ったボールを外野が追いかけているうちに、原付を失った坂口が二塁を踏んだ。あ〜トリモチだ。靴が脱げているがあまり効果はない。坂口走る、坂口走る。三塁に頭から滑り込んだ──電気ショックだ!坂口動けない!これは辛い!
「坂口ー!動けー!」
──さあ、ベンチからも掛け声が飛びます。外野はボールを投げた──大暴投だ!どうしたらそうなる!さあこの隙に坂口が起き上がった。痺れる体を引きずってホームを目指す。あと5m……3m……1m……今、ホームベースにタッチダ──どうした坂口?坂口止まっています。
「坂口ー!どうしたー?」
──なんていうことだ!ホームベースがパンティにすり替えられている!白いパンティをタッチすることは高校球児には荷が重いぞ!どうする坂口!あーっと、まごついていた外野がボールを投げた!レーザービームのようにボールがホームに向かっています!
「坂口ー!いいから触れー!」
──ナインの悲鳴がベンチから聞こえます!ボールがキャッチャーの手に渡った!坂口飛び込んだ!──砂煙で見えません……ボールは……坂口の頭に…………坂口、被っている!白いパンティを頭からしっかり被っています!1点です!坂口やりました!
こうして今年も青空の下、高校球児たちは青春の火花を散らせる。
終
すいません。長くなりました。
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