【ショートショート】簡単トーテンポール昼食
「トーテンポールって知ってる」
「なんか、アレでしょ。柱に顔がある守り神的な」
「そそ、それ」
私はお弁当を机の上に広げると、ご覧あれとばかりに包みをほどいた。
「今日お母さんがさ、簡単なものでごめんねぇって、私を送り出したわけよ」
「簡単なもの……のり弁か?」
「私もそう思ったのよ。どっこいよ。これよ」
そう言って私は弁当の蓋を開けた。白ご飯が敷き詰められた四角い弁当、そのご飯の上には、太いゴボウが3本。そのゴボウには精巧な顔や文様が彫られていた。
「……トーテンポール……だね」
「……トーテンポール……だよね」
私はなんとなくご飯の上に3本のトーテンポールを立ててみた。
「お、守られてそう」
「胃腸が?」
「……簡単て……なんだろうね」
「……簡単て……なんなんだろうね……」
白ご飯の上に立った3本のトーテンポールを見つめながら、私たちは簡単と言う言葉と、守り神と、母の愛について思いを馳せた。
昼休みが終わる頃には、トーテンポールは私の腹の中で、世界の平和を願っていた。
終
たらはかにさまの毎週ショートショート【簡単トーテンポール昼食】に参加させて頂きました。
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