【ショートショート】置換撲滅
「おはよう」
「おはよー」
「おは……ぎゃーー!!」
平和ないつもの教室に、突如場違いな悲鳴が響いた。S君の椅子の上に、首の無いS君が座っていた。
ハイパー置換法。物質と物質を置換する方法が発明されてしばらく経つ。同質量の置換物があれば、人はどこにでもワープすることが可能になった。ただし、同質量であることが絶対条件である。
S君は昨夜、焼肉を食べ過ぎた。そして、測定を忘れた。毎朝置換する前に測定をする。すると教室の置換物は自動的に同質量に保たれる仕組みだ。
この悲劇的な事件に、置換撲滅団体が食い付かないはずがなかった。
曰く、『人間は己の足で歩くべきである』、『置換は悪魔の所業だ』、『子供たちの未来を守れ』である。
学校はハイパー置換を禁止した。困ったのは僕のように、学校までの通学時間が果てしない距離の生徒だった。遅刻が増え、今僕は落第の危機に瀕している。
「くそ、Sのせいで……」
何度となく繰り返した呪詛を、呪いを込めるように右手に持った爆弾に繰り返し呟いた。
「学校なんて……無くなっちまえ」
きのう、倉庫に忍び込みハイパー置換装置のスイッチをオンにして帰宅した。さっと行って爆弾置いて、さっと帰ってくればバレやしない。
僕は爆弾のスイッチを押し、ハイパー置換を開始した。次の瞬間、僕は真っ暗な倉庫の中に立っていた。右手の爆弾を床に……爆弾が、無い。僕は爆弾を持って、測定をしていない。
暗闇のなかで呆然と立ち尽くす。遠くの方でサイレンの音が聞こえた気がした。
終
爆破する前に引っ越すなりなんなり、方法はありそうですが……😅
たらはかにさまの毎週ショートショート【置換撲滅】に参加させて頂きました。
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