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#221 漫画感想②『天人唐草』

私の好きな漫画家山岸凉子さんの作品の感想です。

『天人唐草』
(山岸凉子著、文春文庫、2018年)

この本には、表題作「天人唐草」のほか、4作が収められています。解説は中島らもさん!

どのお話も、心理的に怖い。
暗い。
異様な話ばかりです。

でも、記憶に残る。
山岸凉子の世界。


「天人唐草」を読んだ私の感想を書いてみます。

古臭く厳格な父親の、「女の子は慎み深くあらねばならない」という価値感で育てられた響子が主人公。

母親は、夫に従うことこそ美徳という態度の人物。

学芸会に着物姿で連れだってやってくるこの夫婦は、
上品で立派な親に見え、周囲の評判もよい。

一人娘の響子は、幼いころには、無邪気にのびのびと発言している場面もあるが、父に否定され怒鳴られることで、「自分が悪いのだ」と思いこんで、委縮していく。
深く考えず、抵抗もせず、父の言葉に従順な女性へと成長していく。

父の価値観を受け入れ、それに従うことが、
彼女には唯一の正解に見えている。


それでも、響子父の呪縛を解くチャンスが二度あったように、私には思えた。

一度目は、中学生の時。
好きになった男子に、響子はラブレターを出している。

行動力あるじゃん!
しかし、相手が悪かった。

「青白いガリ勉の典型」宮島くん
なんと、ラブレターを出した日の夜に、
宮島くんの母親から、電話がかかってくるのです。

「・・・でね 響子さん、聞いていらっしゃる?
貴のいうとおり わたしもね こういったことは まだ早いと 思うのね
まだまだ お勉強に 一生懸命に なってなくてはいけない時でしょう?

『天人唐草』26頁

貴くんっていうんだね、宮島くん。
母ちゃんに相談したのか・・・。
貴くんも貴くんだが、この母ちゃんも母ちゃんだ。
ああ、貴くんの将来が不安。

ラブレターを出したことがばれ(これも、電話をとった母親が夫に告げ口したものと思われる。この母ちゃんも母ちゃんだな)、響子は父に「はしたない」と叱られ、罪悪感にさいなまれる。

もう、このくだり、
あっちもこっちもアホかと思いながら、読んでます。

そもそも響子に男を見る目がないのはしょうがないとして。(父親を理想像にしているからな・・・)

しょーもない男でも、相手の出方しだいでは、
響子が親の価値観をけっとばして、
自分の喜びを優先する時間が持てたのでは、と思ってしまう。

恋愛って、そういうものじゃん!私見だけど。


二度目のチャンスは、お勤めしだしてから。

先輩社員の佐藤さんに、響子はこう言われる。

あんたさあ みえっぱりだよなあ
中略
「なんでもうまくやれるすばらしい女だ!」
と あんた いわれたいんだよね だれかに・・・
「だれかにそう見てもらいたい」
それが ”みえ” なんだよ
他人の目を・・・
他人の評価を 気にし過ぎるんだよ

『天人唐草』49-52頁

「あたしはみえっぱりな女にはなるまいと心がけて来た」「一生懸命やっているけど、うまくやれない」と泣き崩れる響子に、誠実に言葉をかけた佐藤さん

響子に惚れてるわけでもなく、
そんなことをわざわざ教えてあげる義理もないのに。
いい人だー!

今まで誰も示してくれなかった観点
響子の心に、この時一瞬、ひびが入ったように見えた。

でも。佐藤さんは見た目へらへらしてるタイプ。
父親の「お父さんはああいった若者は好かんな・・・」という言葉でアウト。

つくづく、男を見る目がない

それを響子自身のせいにするのは、
酷なのかもしれないけど。

恋愛でなく、友人でもいいから、
彼女のかたくなな思い込みかち割る出会いがなぜなかったのかと。
私は、ひたすら、もどかしく感じました。

ラストの不幸に追い打ちをかけるような事件がなければ、もしかして、まだ、彼女が自分自身を生きなおすチャンスがあったかもしれないのに・・・。
人生長いんだから。くやしい。

どこまでも容赦ない、残酷な結末だと感じました。


私の感想では、なんのことやらわかりにくい部分が多々あると思います。

天人唐草」がどのような作品なのか。
ぜひ、ちびたぬきさんの記事をお読みください!
作品世界の読み解きがすばらしいです。

今回私が「天人唐草」を読めたのは、
そしてnoteに感想を書いてみようと思えたのは、
ちびたぬきさんの記事がきっかけです。

山岸凉子さんの漫画、たくさん読んできました。
聖徳太子がモデルの『日出処の天子』ではまり、
バレエ漫画『アラベスク』を読み、
ほかの作品も買い漁りましたが。

なんと『天人唐草』が本棚にない!
ちびたぬきさんの記事を読んで、本棚をみたら、ない!
手持ちの作品集には「天人唐草」収録されてない!
速攻で注文し、読みました。
未読作品でした。読めてよかった。

ちびたぬきさん、ありがとうございました。


~おまけ~
私の本棚、山岸凉子コーナー✨

私の本棚。山岸凉子文庫版。


全集、全部はない。


最近の作品。

何を血迷ったのか、
『テレプシコーラ』を手放したのがくやまれる・・・。

今日もよんでくださって、ありがとうございました。


*Amazonアソシエイトとして、うだよしこは適格販売により収入を得ています。




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