『皇と公』第174話 『風立ちぬ』に見る公の精神〜「私」を超越する毅然たる「公」⚡
もうすぐ終戦の日ですね。この日が近づくと毎年テレビの放送内容に戦争関連のものが増えます。今年もいっぱいやってます📺。
なので今日は少し戦争の話をしたいと思います。そうジブリの不朽の名作映画『風立ちぬ』です。あなたは見ましたか?。私は10年近く前にレンタルで見ました。
天才設計士・堀越二郎をモチーフにした映画ですね。世界最強の戦闘機ゼロ戦の生みの親とも言うべき人です。西洋列強もゼロ戦の前では完全に歯が立ちませんでした!。
さて、そんな堀越二郎と映画『風たちぬ』です。内容については今更どうこう言うつもりはありません。
ただ一つだけ物凄く良かった場面があります❗。
その前に映画の内容を簡単に説明しますね。堀越二郎には不治の病とされた結核を患っている妻・菜穂子がいました。その為、菜穂子は山奥の隔離病棟での生活を余儀なくされていました。
そんな菜穂子は死期を悟って山奥の病棟から抜け出します。そして堀越二郎の元に行き2人は結婚しました。そんな2人が頼り、寄宿した家が堀越二郎の上司である黒川夫婦宅です。
堀越二郎の妻・菜穂子は人柄が素晴らしく堀越二郎の妹・加代とも凄く仲良くなります。また二郎の上司・黒川夫婦も菜穂子をとても気にいっていました✨。
しかし菜穂子は結核です。余命は短いです。ここにいれば周りに迷惑をかけます。そこで菜穂子は誰にも悟られる事なく静かに固く決意します。
菜穂子は黙って家を離れます。そして山奥の病棟へ一人帰っていきました。
義妹の加代はすぐに菜穂子の異変に気付きます。黒川の妻と一緒に菜穂子の部屋に行き、残された手紙を発見します。手紙には菜穂子が山奥の隔離病棟に帰った事が記されていました。
加代は義姉・菜穂子を連れ戻そうと主張します。しかし黒川夫人は毅然とした態度で断固反対します!!。
ここの場面が私は最高に好きです❗️
菜穂子を連れ戻そうとする加代に対して、黒川夫人は強く優しく次のように言います。
『駄目よ!。追いかけてはいけません!菜穂子さんが汽車に乗るまでそっとしてあげましょう✨』
『美しいところだけ好きな人に見てもらえたのね』
なんて凄い言葉なんだろうと思いました!。戦前の人達の強さや優しさ、覚悟が凝縮されたシーンだと思いました!!。
菜穂子は自分がこのまま残っていたら周りの迷惑(特に夫と黒川夫婦)になる事を理解していました。夫は戦闘機の設計士です。国家・社会の為に身を捧げるべき立場にありました。それを自分が邪魔する訳にはいきませんでした。
黒川夫人も菜穂子の秘めたる覚悟を瞬時に悟りました。だからこそ加代が菜穂子を連れ戻そうとするのを断固として止めたのです。そこには病魔に犯されて衰えていく姿を夫に見られたくないという女心に対する共感もありました。
そしてこのシーンで言える事が一つあります。それは、
『私情を超える公の精神⚡』
です。
当時の堀越二郎の立場は、もはや私人ではありませんでした。戦争を左右する戦闘機開発の最高責任者とも言うべき地位にありました。国家の運命、戦争の勝敗に直結する立場にいました。夫婦の私情を優先して堀越二郎の足手まといになる訳にはいかなかったのです。
黒川夫人もそんな菜穂子の覚悟に共鳴します。だから加代が菜穂子を追いかけようとするのを毅然とした態度で止めたのです。
『駄目よ!追いかけてはいけません!!』
この短い一言には黒川夫人の覚悟と強さ、優しさが込められています。本当の優しさとは強さという事をしみじみ教えてくれます。何て凄い覚悟なんだろうと感動せざるにはいられませんでした‼️。
現代の甘っちょろいヒューマニズムでは理解できない強さや優しさが、この場面には描かれています。
私は大河ドラマが大好きなんですが、悪口を言いたくなるところが一つだけあります(笑)。戦国武将は身内が死んだり不幸があっても人前で泣いたり悲しんだり絶対しないだろうよって突っ込みたくなります(笑)。
不幸な目にあっているのは周りも皆同じです。上に立つものが悲嘆しては下の者や周りに示しがつきません。まあテレビだから仕方ないのは分かっちゃいますが💧。
武士なら身内に不幸があっても人前では毅然として「名誉の戦死じゃ」の一言で終わらせた筈です。個人の私情を公然とさらけ出す筈ありません。そんな人に、人はついて来ないでしょう。
『風たちぬ』は戦前の人達の強さを教えてくれます。「私情」を超えた「公」の精神を教えてくれます。歴史が育んでくれた美学があります。日本人の持つ強さ、優しさ、美しさを教えてくれるのが名作『風たちぬ』です。
10年以上前の映画ですが色褪せない輝きを放っています。お盆休みに是非お勧めです。
