うたう子ども vs. 泣く三十路 @Nコン予選会
(TOP画像はAI生成イメージです)
ふらっと寄った合唱コンクールで、子どもの生身の歌に打ちのめされた体験を書こうと思う。
BGMはこちらでお楽しみください。
感動は受け入れる土壌が必要
鳥のさえずり。休日の朝はおだやかな幕開け。今日のスケジュールを発表しよう。
AM→予約した病院に直行。タローマンのごとくVIOにビームを浴びせ、毛根との我慢比べをする。看護師さんにあられもない姿を見られたり、クリームを塗りたくられたりして過ごす。(ただのデリケートゾーン脱毛です。)
PM→エステ+個室サウナをキメる。エステなどただの水分の移動に過ぎない。素人がいくらもみほぐしたって効果などないと思っている(個人の感想です)。
ではなぜ行ったのか。期限間際のホットペッパービューティーポイントが1万円分あったから。AMの医療脱毛代がポイントになり返ってきたという訳だ。毛という野原を焼き払い、サウナという熱波でとどめを刺す。今日のわたしはほぼ太陽の塔。
★#タローマン 奇獣ずかん★
— 映画『大長編 タローマン 万博大爆発』公式 (@eiga_taroman) August 29, 2025
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奇獣 #太陽の塔
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■全長 70メートル
■体重 25万トン
たくさんの顔をもっている奇獣。
あらゆるものをなぎたおしながら進み、ビームをだしてこうげきしたり、こうげきをうけてもぶんれつして再生する、さいきょうの奇獣だ。 pic.twitter.com/v4FtpFxJZt
▲タローマン、太陽の塔とは?という方はこちらをぜひ。
聴覚がクリアになる、ととのい後。
エステとサウナの中身は想定内なのでガサっと割愛。
話は変わって、平日は視覚が優位である。店のギラギラした看板や電車の中吊り広告など、「これを買え・これが正しい」という情報ばかりキャッチしてしまう。もっとだ。まだ足りない。そうやって際限なく不安を煽る言葉たち。色と文字に疲れてしまい、脳みそをシャットダウンしたくなる。
対してサウナに行った後は、とくに聴覚がクリアになる。リンリンと鳴く秋の虫、路肩を流れる水の音、風でざわめく木の葉の音。普段聞き逃している自然音の1つ1つが、手に取るようにはっきりと入ってくる。耳から入る音がいつもより大きく聴こえるのだ。
こうしてみると、人間には五感があり、きちんと機能しているんだなあと感心してしまう。
視覚優位で困っている人は一度サウナを試していただきたい。
知り合いゼロの合唱コンクールにとびこむ
そんな感じで街をただよっていたら、通りがかったホールでNHK全国学校音楽コンクール(Nコン)地区予選が行われていた。
NHK全国学校音楽コンクール(Nコン)は、
小学校・中学校・高等学校の児童・生徒を対象とした日本を代表する合唱コンクールのひとつです。
毎年新しくNHKが制作する課題曲と自由曲で競い合う教育イベントとして、子供たちの心身を育てることに寄与しています。
面白そうなイベントに出合ったら必ず飛び込むようにしている。迷ったら行け。それがポリシーだ。
お手並み拝見
地区予選といえど、きっと何十校の中から実力で選ばれた学校だろう。なんのゆかりもない私だが、せっかくの休日の1コマ、楽しませてもらおうと席にどっかり座る。すでに大半は歌い終えており、残るは高校2校の演奏だけだった。
1校目は商業高校だった。
制服といえど白シャツにパンツ。それぞれの体型によってシルエットは丸かったりシャープだったり。髪型も伸ばしっぱなしでボサボサの子、ふんわりと前髪を上げている子、つまり各々の個性が表れている立ち姿だった。素朴で飾らない様子が、この子たちの心を映しているように思えた。
発表するのは2曲。
全学校同じ課題曲→それぞれ違う自由曲だ。この課題曲が一癖も二癖もあるもので、歌詞が気になってまさに“気もそぞろ”だった。一度聴いてみてほしい。
▲課題曲『惑星そぞろ』

「なんだこのひっかかる言葉選びは」と思ったら作詞は野木亜紀子さんだった。ドラマ・逃げ恥などヒット作を連発している脚本家の方だ。(NHKインタビューより)
商業高校の演奏に戻る
わたしの思う合唱部のイメージがある。かなり偏見もあることをお許しいただきたい。
・みな眉毛が上がっている
・飛び出るほど目が開いている
・こちらに倒れそうなほどの前傾姿勢
・まるで軍隊のよう
でも商業高校では一切そういうこと無かった。全員で歌っているけれど、個々の集まりだった。揃っていないわけではない。例えるならお米の粒がひとつひとつ艶があって立っているような。男子も女子もいて、ひとりひとりの人間の個性が、色が輝いていた。こんな合唱は初めて見た。耳で聴いたというより、個々の輝きがはっきりと目に飛び込んできた。
他人のために飾ることをしていない、今起きたような顔の子もいる、真っすぐに歌の世界だけを見ている子。そのままの人間ってこんなに美しかったんだ。それに気づかされて驚いてボタボタ泣いていた。知っている生徒など誰もいないのに。彼ら彼女らの生きざまに打たれたのである。
自由曲のチョイスも良かった。
私が歌うわけは
いっぴきの仔猫
ずぶぬれで死んでゆく
いっぴきの仔猫
(中略)
私が歌うわけは
ひとりの子ども
目をみはり立ちすくむ
ひとりの子ども
こんな内容を選んでいいんだと思うと同時に、歌う姿から歌詞の光景がありありありと浮かんできた。なんて救いがないんだろう。透き通る声にのせて絶望の姿を描く。この歌詞もあってわたしは泣いていたのかもしれない。この先何があっても我が子を守りたい。この先大きくなる子ども、今歌っているこの子たちを守りたいと思った。
結果について
1校目の商業高校と2校目の学校を聴いて会は終わった。一時間後に結果が出るようだった。帰宅してなんとはなしに検索してみる。金賞=優勝したのは2校目だった。金賞は全国大会に進む。商業高校は奨励賞。最下位だった。一瞬「なにを?!」を怒りが湧く。だが思い返してみると、2校目は非常によくできた “軍隊” だった。一ミリの乱れもない様子、私たちを見て!というアピールに私は目を背けたけれど。きれいにパッケージングされた正解=優勝ならば、軍隊が一番だったろう。でもとても見ていられなかったし、窮屈で可哀想だった。
機械化されてはみ出たものは排除される。薬まみれの統率。残念ながらそれぞれの個性なんて微塵も残っていなかった。それが正解だなんて、悔しすぎる。
商業高校の美しい米粒たちの方が、わたしには美味しそうだった。結果を聞いて彼ら彼女らはどう思うのだろう。決して自分たちが間違っていたんじゃない。ルールが、基準が自分たちに合わなかっただけなんだ。
一番艶々していたのは君たちだよ。個性ってにじみ出るものなんだって見せてもらったし、その場に立ち会えて本当に良かった。わたしは君らを応援するよ。
おまけ。
Nコンは別に好きでも嫌いでもなかったが、過去に偶然聴いた課題曲『虹(森山直太朗)』がとても胸を打ったのを覚えている。2006年のこと。
フジロック2025での森山直太朗も見たかったな~。
▲僕らの出会いを 誰かが別れと呼んだ / 僕らの別れを 誰かが出会いと呼んだ
当時、ポップミュージシャンが課題曲を作る前例がほぼなかったという。このインタビューも興味深いのでぜひ。
▶(森山直太朗へのインタビュー/ NHKサイトより)
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